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スティーヴィー・レイ・ヴォーン伝説のギター「ナンバーワン」の謎

1990年8月27日、一人のギタリストがこの世を去りました。
わずか35歳の若さで生涯を終えてしまった彼の名前はスティーヴィー・レイ・ヴォーン。

プレイスタイルや楽曲、そして歌声の素晴らしさはもちろんのことですが、筆者がもっとも強く惹きつけられたのは、その強烈なサウンドでした。
少しでもその音に近づきたい…今でも多くのギタリストが彼のサウンドを追い続けています。筆者もその一人です。
ここでは、機材を中心に魅惑のSRVサウンドを研究して行きたいと思います。

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しかし、彼の機材はどれも特徴的なものですので、一度にそのすべてを語りつくしてしまうことはできません。
ですので、数回に分けさせていただきたいと思います。まず、その第一回目は不動のメインギター「ナンバーワン」についてです。

伝説のギター、ナンバーワンとは?

生涯にわたってレイのメインギターだったのが、ナンバーワンと呼ばれるフェンダー・ストラトキャスターです。

フェンダー・ストラトキャスター

まず、このギターの基本的なスペックを確認してみましょう。
ボディはアルダー、ネックはメイプルにスラブボードのローズウッドという定番の組み合わせとなっています。
50年代後半から60年代前半のヴィンテージであるという点を除けばどこにでもあるごく普通のストラトがベースとなっています。

このヴィンテージストラトに彼は独自のカスタマイズを施しました。代表的な改造点としてよく語られているのは以下のようなものです。

・フレットにジムダンロップ♯6100(通常はベースなどに使われる超ジャンボフレット)を使用。
・左利き用トレモロアームユニットへの交換。
・フロント・センターピックアップの交換。(詳細は後述)
・ピックガードを黒、金属パーツをゴールドのものに交換。

このようなカスタマイズによって、定番の60年代スタイルのストラトはSRV使用になり、後にナンバーワンと呼ばれる名機になったと噂されています。

スティーヴィーが使用したピックアップの謎

ナンバーワンに搭載されていたピックアップに関してはさまざまな噂が飛び交っています。その中でも長年にわたって有力な説とされてきたのは
「リアピックアップが60年代のフェンダー純正であり、センターとフロントは後に交換された」
というものです。

しかし、この説は多くの人に語られているにも関わらず明確な根拠が示されていませんでした。そして、どうして彼がピックアップを交換したのか、という理由に関してもはっきりとした答えは出てきません。

そこで、筆者は彼のサウンドからピックアップの正体や交換した理由について考察してみました。

サウンドからピックアップの特徴を考察する

まず、音の太さからかなり出力の高いものであったと考えられます。もちろん、スラブボードの指板や、良質なアルダー材の影響も考慮しなければなりませんが、その振動を拾うピックアップの出力自体が高くなければあれほどまでに太いサウンドを作ることは難しいでしょう。
この点から、彼が使用していたピックアップはかなりハイゲインなものであったと推測していました。

特徴に関してある程度予測することができたら、二つの選択肢が浮かび上がってきます。
一つはフェンダー以外のピックアップ、そしてもう一つがオリジナルのピックアップのコイルの巻直しや巻足しです。
筆者は他社のピックアップへ交換したのではないか、と推測しました。
彼はこのナンバーワンの他にも、ナンバーツーやレニーという愛称のつけられたストラトを数本所有していました。

ナンバーツー

レニー

そして、これらのサウンドの傾向がとても似ていたことから、すべて同じピックアップに交換していたのでは?と考えたのです。

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どうして交換してしまったのか?

ある程度正体が見えてくると、気になるのがエレキギターの心臓部とも言えるこのパーツをどうして交換してしまったのか、という点です。

可能性としては、オリジナルのピックアップが故障してしまったことから、仕方なく交換した、というものと、より好みのサウンドに近づけたい、というものが考えられます。
筆者はまず、前者の説はほとんどないと考えました。もし、故障が理由で交換したのであれば、当時はまだ一般的ではない他社製の交換用ピックアップにわざわざ交換する必要はありません。
まして、オリジナルとはまったく異なるハイゲインなものに換えてしまうなんてことはあり得ないでしょう。

そう考えると、彼はより太く、ハイゲインなサウンドを求めてピックアップ交換を行ったという説が有力でしょう。

ピックアップ問題を一蹴したフェンダーの驚きの発表

2007年にフェンダーから、ナンバーワンを精密に再現した復刻モデルが限定発売されました。
なんと、このギターはスティーヴィーの実兄であるギタリストのジミー・ヴォーンの協力のもと、オリジナルのナンバーワンの実機を解剖し作られたのです。

ナンバーワンを精密に再現した復刻モデル

特徴的なステッカーやピックガードはもちろんのこと、痛々しく刻まれた傷まで細かく再現されたこのレプリカモデルは大きな話題を呼びました。

しかし、発売時の開発者の言葉が、多くのSRVマニアにさらに大きな衝撃を与えました。

「ナンバーワンのピックアップは一つも交換されていないし、巻直しや巻足しが行われた形式もない。」

フェンダーオフィシャルサイトに掲載されたこの文章を読み、筆者も大きなショックを受けました。
では、どうやってあのサウンドが生み出されているのか…見えかけていた真実が一気に遠のいて行くのを感じました。

最終的にはどこでギターサウンドは決定付けられる?

最終的に筆者がたどり着いた結論は、ギター本体だけではなくエフェクターやアンプ、そして弾き手のテクニックまで考慮しなければサウンドについて語ることはできない、というものです。

SRVが愛用していたことでよく知られているダンブルアンプは幻のアンプと呼ばれています。

ダンブルアンプ

個人製作によって作られていたものですので、極めて入手は困難です。もちろん、筆者もこのアンプから音を出したことはおろか、現物を見たこともありません。

彼の使用する機材、そして使用方法、奏法まで徹底的に研究しなければそのサウンドの正体を見極めることはできないでしょう。
ピックアップだけでそのサウンドの決めてを見つけ出してしまおう、という筆者の浅さを思い知りました。

こうして、好きなギタリストの音について徹底的に研究してみることは、自分自身の音作りにも活きてくるはずです。
一度、考えてみてはいかがでしょう?
では、SRVの機材研究、今回ははこれで終わりにしたいと思います。

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