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エレキベースの木材による音の違いはなぜギターよりもシビアーなのか?
ギターの木材の話を先日させていただきましたが、ベースの場合はどうなのでしょう。エレキギターとエレキベースは似ているようでまるで異なる楽器です。
なので、当然木材に求められるものもまったく違ってきます。ギター編ではさまざまな木材の特徴のみをお話しさせていただきましたが、ベース編はそこにベースとギターの違いなどをプラスしてみたいと思います。
エレキベースに使われる木材はフェンダーが決めた?
初めて製作された、初めてアイデアが出された…そこになってしまうとさまざまな説があり、揉めてしまいますが、初めて普及したエレキベースは何か?であれば答えはすぐに出すことができます。
それはフェンダーのプレシジョンベースとジャズベースでしょう。この2種類のベースが広く普及したことから、「エレキベースの音=フェンダーの音」という公式が出来てしまいました。
ですので、アルダーまたはアッシュボディにメイプルネック、というスタイルがエレキベースの定番になったと言われています。このサウンドを求めるために材が選ばれたのではなく、この材によって出てきたサウンドがスタンダードになったのです。
エレキベースに使われる木材はフェンダーが決めた。まさにそう言えるでしょう。
スタンダードにはなり得なかった材構成
上記の組み合わせ以外のエレキベースが存在していないわけではありません。各メーカーがそれぞれ工夫をしてさまざまな材構成のものを作っています。
リッケンバッカーの4001などはネックだけでなくボディまでメイプルで構成されています。サウンドはとても硬質で抜けの良いものでした。
筆者としてはとても好きなサウンドなのですが、前述のスタンダードとなってしまったフェンダーと比較すると固すぎる、という烙印を押されてしまい、あくまでエレキベースの亜種という扱いにとどまってしまいました。
ギブソンもまた異なった材構成のエレキベースを製作しています。代表機種のサンダーバードなどは、ボディ、ネックともにマホガニー材で構成されています。
ブーミーなサウンドでこれもまた魅力的なものです。しかし、前述のリッケンと同様にスタンダードにはなれませんでした。
また、マホガニー材はメイプルに比べて弱いことから、スケールが長く、さらに高いテンションのかかるベースのネック材には決して適しているとは言えません。
ネック折れやネック起きのトラブルが多く、ヴィンテージになるとほとんど良い状態のものが残っていません。これも、ギブソンがベースの世界ではフェンダーほどの成功を収めることができなかった原因の一つなのではないでしょうか。
最初からスタンダードになることを狙わないベース
近年のハイエンドブランドの場合、最初からフェンダーとはまったく違った形でエレキベースという楽器にアプローチをかけています。
最初から量産することを前提として考えてしまうと、どうしても大量に供給が可能で、加工も容易である材を選ぶ必要があります。フェンダーはこの点からアルダーやアッシュ、メイプルといった定番になった材をチョイスしました。
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しかし、少量生産であれば、希少な材や加工の困難な材を使用することも可能となります。ですので、ハイエンドな工房系ベースブランドではあまり耳馴染みのない材が使われることがあります。
トバイアスが使用するパーフェロー、フォデラの代名詞的存在であるバックアイ・バールなどは決して大量生産には向いていない材ですが、音響的な特性はとてもおもしろいものです。
定番から外れたベースをプレイしてみたいと考えているのであれば、こういった材を使用したものを選んでみるのも良いのではないでしょうか?
ギターよりも材による違いがシビア?
一般的に、ギターよりもベースの方が材による音の違いが大きいと言われています。その理由はいったいどこにあるのでしょう?
考えてみると、その理由はとてもシンプルなものです。ボディが大きく、スケールも長いことから木材の振動もその分大きくなります。
もちろん、木の振動は弦の振動にも当然影響してきますので、サウンドへの影響が大きくなるのです。
つまり、これはベースの場合はよりシビアに材を選ばなければならないということを意味します。
ですので、より深く木材の特性を知る必要があるのです。
レオ・フェンダーは適当に材を選んでいた?
フェンダー社のさまざまなギターやベースを生み出したレオ・フェンダーですが、実はまったく楽器の演奏もできず、知識もほとんどありませんでした。ですので、特に木材の音への影響など気にすることはなかったと言われています。
その証拠にフェンダーを退社後に立ち上げられたミュージックマンの代表機種、スティングレイにはさまざまな材が使われてました。
カタログ上の表記は「セレクテッドハードウッド」です。つまり、選ばれた堅い木…その時によってアルダーであったりアッシュであったりバスウッドであったり…さまざまな材のものが混在していたのです。
前述の通り、エレキベースは材質によってサウンドが大きく変わってくるものです。それなのに、適当に材を選んで作られたものがエレキベースのスタンダードに…。偶然が生んだ奇跡なのでしょうか。
サウンドを追求する上で、材に関する知識は必ず必要となってくるものです。誰もがレオ・フェンダーのように奇跡を起こすことができるわけではありません。基本的な材の特徴だけでも頭に入れておきましょう。
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