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エレキベースの2種類のピックアップ~パッシブとアクティブの違い

エレキベース登場以前のウッドベースはボディか大きい割に音量が小さい弱点があり、これを補う目的でエレキベースが開発されています。

フェンダー社からオリジナルのプレシジョンベースが発表されたのは1951年ですが、実は最初のエレキベースは、これより15年も前にオーディオボックス社というメーカーから1935年に発表されているのです。

楽器としては比較的新しいとされるエレキベースは、その後パッシブとアクティブという二つのピックアップ回路のタイプによって分類されています。

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その電気的な違い

ピックアップ回路の電気的な違い▲その違いは電気的な点を見るとすぐに理解できるでしょう。

パッシブとアクティブの違いとしては、まず単純にピックアップだけが搭載されているのがパッシブベースで、プリアンプとそれを駆動するための電池を搭載されたものがアクティブベースという分類になります。

パッシブ(passive)というのは、もともと受身の、受動的な、受動態、などの意味を持つ英単語で、対するアクティブ(active)は、自ら能動的に外部に働きかける状態を表した言葉なのです。

楽器のパッシブベースというのは(受動的)という意味で使われていて、ピックアップのマグネットとコイルを弦の振動のよって発生した電力をそのまま出力するタイプのものになります。

ピックアップ自体が発生する電力は非常に小さく、ベースとしての出力も小さくなるので当然インピーダンスも高くなる構造になっています。

オリジナルのジャズベースやプレシジョンベースタイプは基本的にこのタイプになり、本体に付いているトーンコントロールは高音を絞る機能しかありません。

対するアクティブタイプというのは音を「能動的」に出すもので、前述したようにプリアンプとそれを駆動するための電池を必要とするものですが、実はこのアクティブには、ピックアップ自体に電源が必要なものと、パッシブのピックアップを使って別にプリアンプを搭載したものの2種類があります。

どちらのタイプでもプリアンプの働きでインピーダンスのコントロールが可能になっています。

ほとんどのアクティブベースはトーンコントロールの代わりにイコライザー(equalizer)を搭載しているので、パッシブよりも幅広い音作りができるのが特徴といえるでしょう。

1976年頃から次第に一般的になってきたアクティブベースの代表は、スティングレイやアレンビック、B.C.Richあたりになります。

メリットとデメリット

トラディッショナルなシェイプのモデル▲トラディッショナルなシェイプのモデルにもさまざまなピックアップが使用されています。

高域と低域が強調された「ドンシャリ」と表現されるアクティブベースのメリットとデメリットを説明します。まず筆者がアクティブの一番の利点と感じているのがノイズが少ない点になります。

これは、プリアンプを電池で駆動するシステム特有のメリットですが、他には音の全帯域がフラットでバラツキが少ない点、それによってEQやエフェクターのノリが良く加工しやすく点、音の出方が安定している点、レスポンスが早い点などになります。

逆の大きなデメリットとしては、音がフラット過ぎて微妙なニュアンスが出しにくい点があり、この部分がパッシブ崇拝のベーシストがアクティブを敬遠する理由なのです。

ただ、メーカーも技術によって細かいニュアンスも表現できるアクティブベースの開発を重ねていて、今後の展開が期待されているのです。

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各々の代表的なベース

アクティブベース▲アクティブベースはさまざまなスタイルに対応してくれます。

世界初のアクティブベースとして、当時話題を呼んだアレンビック(Alembic)ベースはスタンリー・クラークが使用したことで有名です。

このアレンビックはアクティブとはいっても、現在のようなイコライザーで特定の帯域をブースト&カットするタイプではなく、ローパスフィルターを用いています。

つまり楽器本来のトーンから高域をカットしていき、特定の低域のみを強調するシステムだったのです。

いわゆる、アクティブベースの代表的な音といえば何といってもマーカス・ミラーが愛用しているサドウスキーベースの音ではないでしょうか。

このマーカスがメインのベースとして使用しているのは、もともとパッシブの’77年製のフェンダー・ジャズベースで、ロジャー・サドウスキーによってアクティブ回路搭載に改造されたものなのです。

バルトリーニ製の旧型TCTピックアップが搭載された、このベースは、本体側でイコライザー調整によってキメ細かく音作りができるようになっているのです。現在のアクティブベース全盛の風潮に大きな影響を与えたのが、このマーカス・ミラーのベースともいえるのです。

一方のパッシブベースの代表としては、何といってもフェンダー社製のジャズベースやプレシジョンベースといったスタンダードモデルといえるでしょう。

R&Bからハードロック、JAZZやカントリーまで幅広いシーンで活躍を見せてきた、この二種類のベースは正にエレキベースの主流ともいえるのです。

後発メーカーが、こぞってフェンダー社ベースのシェイプを取り入れたことから分かるように、発売当初の1960年代には究極のプレーしやすいスタイルが完成していたのです。

ライブで併用する場合

ラインセレクター▲ラインセレクターを遣えばスムーズに持ち替えができる?

ここまで述べたように、そもそもパッシブとアクティブのベースは出力インピーダンスが大きく違っていてベース自体の出力に大きな差があります。

こうしたタイプの違うベースを同じステージで併用する場合には少々工夫が必要になってきます。

まず、一番シンプルな方法は本体ボリュームやボリュームペタルで音色に影響しない範囲で調整ですが、少しのコントロールミスで2本のベースのボリューム差が大きく異なってしまうリスクがあります。

安全な方法としては、バッファ内蔵型のラインセレクター(BOSSのLS-2など)を使って事前に2本のベース間のボリューム差を調整してセッティングしておくことです。

こうしておけば、持ち替えのときも余計な神経を使うことなくプレーに集中できるのです。

時代の流れの中での変化

ミュージックマン製▲ミュージックマンは多くのアクティブベースを世に送り出しました。

そもそも筆者が若い頃はいまほど安価なアクティブベースはなく、初めて所有したミュージックマン製のスティングレーベースでも約20万円位だった記憶があります。

それでもハイエンド機種のアレンビックベースよりは安かったのです。このスティングレーベースを使用していたベーシストとして有名なのは、ブラザーズ・ジョンソンのルイス・ジョンソンです。

長い間ベースを弾いている筆者を含めた40~50才位のベーシストは、ある一時期にアクティブのベースを使用していたり現在でも仕事によってはアクティブを使いますが、基本的には昔ながらのパッシブベースに戻っている傾向があります。

逆に、ある楽器店スタッフによると、最近の若い購買層のベースを購入する人は圧倒的にアクティブベースを選ぶそうです。

その理由として、試奏の時にベースをブーストしてローが強調されて音が太く感じれば、彼らにとって即購入を検討するほどの決定力があるのです。

また、アクティブは安価モデルでもプリアンプで一定の音も出せて、イコライザーによる可変効果もわかりやすいので、ビギナーから中級ぐらいまで層での支持が厚いといわれています。

年齢層や好みの音楽、そして購入予定額によって手にするベースが異なってきます。30年程前なら高くて手が出せなかったアクティブベースは、いまやビギナーの高校生の人気の的になっているのです。これも時代の流れといえるでしょう。

さまざまな違いがありますが、結局は好みです

いろいろなタイプのベースが楽器店に並んでいますが、ビギナーが価格の差を考慮しないとすれば好みの音楽や好きなベーシストが使用しているタイプを選ぶ方法が無難です。

何といっても「音を楽しむ」ことが音楽の原点なのです。

by JJ

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