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Empress Effects(エンプレス・エフェクツ)が目指す究極の機能美
エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)の製品には、建築物において目的に沿ったデザインをすべきとした機能主義や、20世紀初頭に始まったモダニズム建築あたりの影響を感じます。
究極の機能美を目指しているように思えるのです。
※タイトル画像のエフェクター
ネビュラス (Nebulus)。コーラス・ビブラート・フランジャーが一体化したもの。簡単に説明するとこうなります。
この名前、どうやら80年代の古い海外ゲームそのままなのですが、何か意味があるのでしょうか。このゲーム、8ビットのコンピューターであるコモドール64用として発売されました。高性能とは真逆な世界のネーミング、なかなかシャレています。
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エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)というメーカーはカナダの首都であるオタワにあるエンジニア集団です
▲ハイゲインの歪み系であるヘヴィ(Heavy)
どうやら、カナダの首都であるオタワにある会社のようです。会社というよりも集団でしょうか。公式サイトでは「We」という言葉がよく出てきます。エンジニア集団って感じです。
同じく公式サイトには「The Team」という項目で、5名の名前と略歴のようなものが書いてあります。
このヘヴィ(Heavy)、多くのノブやミニスイッチが付いています。ただの歪み系なのに、この複雑さ…このメーカーの比較的、新しいモデルなのですが、エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)のペダルに対する象徴みたいに思えます。
エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)のつくるエフェクターの特徴はノブとミニスイッチの数が多く、多機能であることです
▲タップテンポ対応のトレモロであるトレモロ2(Tremolo2)
とにかく、ノブとミニスイッチの数が多いです。超多機能です。レコーディング機材のレベルを目指している、という宣伝文句はウソではありません。
説明書を読んでいるだけで頭が痛くなってきます。
このトレモロの売りは、普通のトレモロにある波形…スクエア(square)とトライアングル(triangle)…だけじゃないことです。
加えてチューブ(tube)というモードが付いています。1965年製フェンダー社の、ブラウンフェイスのバイブロラックス(Fender Vibrolux brown face)に付いているトレモロを再現したとか。本物を見たことも聞いたこともないのですが…。
右上の波形を選ぶミニスイッチがそれですね。
エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)の製品はすべてにおいてエンジニアらしい機能美を追求しています
▲タップテンポ対応だけでなくレシオコントロールまで付いたフェイザー(Phaser)
いさぎよいネーミングです。トレモロ2よりも表面にあるノブとミニスイッチが1つずつ増えています。右から2つ目のノブで8つの波形を選ぶことができることが、他社の製品との大きな違いでしょうか。
ここまで見てもらえれば分かると思うのですが、エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)のエフェクターは、ノブやミニスイッチの配置、フォントの位置、すべてが機械的な図面のようです。
「絵心もないし、ネーミングセンスもないから、エンジニアらしく機能美を追求しようぜ」なんて話し合っているのでしょうか。
この機能美は、どのエフェクターにおいても、まったくズレることがありません。
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エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)は、たとえ古臭い音を狙っても超多機能であることに変わりはなく、計算されたインダストリアルデザインを貫いています
▲3モードのテープ・ディレイ(Tape Delay)
最も左のミニスイッチに、ニュー(new)、ヴィンテージ(vintage)、オールド(old)と書いてあります。
順に、デジタルなディレイ、アナログテープエコーを再現したディレイ、そのテープヘッドの汚れまでを再現したディレイ、になっています。
すべてが使える音色になっていて、アナログ特有のゆらぎさえ、決してにごることはありません。ここまでくると、ただ、ただ、技術力に脱帽するだけです。
インダストリアルデザインという概念があります。
日本語に訳すと工業デザインとなるのでしょうか。見た目の美しさはもちろん、人間工学を元にした使いやすさや、使用者に性能を分かりやすくするために考えられた、総合的に製品の構成を多方面からとらえる考え方です。
一見、そういう概念とは無縁のように思えますが、この機能美は完全に計算されたものでしょう。そう、1ミリの狂いもないくらいの計算です。
さりげなく、テープ・ディレイ(Tape Delay)のフォントが羽根ペンで書かれたようなスクリプトです。ちょっとした遊び心でしょうか。
エンプレス・エフェクツ(Empress Effects)の自信作であるスーパーディレイの表面の模様にはバウハウスとも関連のあるカンディンスキーの影響を感じます
▲「超」が付けられたモンスターマシンのスーパーディレイ(Superdelay)
公式サイトを読んでいても分かるのですが、かなりの自信作のようです。ペダル本体の性能については書きません。
ダウンロードできるマニュアルは、日本語版が各ノブとミニスイッチだけの説明だけで8ページ、英語版は20ページのPDFになっています。
このペダルだけ、表面に模様のようなものが描かれています。まるでそれはバウハウスの影響を感じます。具体的な人物を1人挙げるとするならば、ワシリー・カンディンスキーあたりでしょうか。
カンディンスキーはバウハウスの講師も務めたロシア出身の画家です。抽象絵画の父(創始者)と呼ばれています。
もちろん、スーパーディレイ(Superdelay)は、色が2つしか使われていませんし、直線の組み合わせだけという単純なものです。カンディンスキーの直線や曲線、円などを何色もの配置した絵画とは比べ物になりません。
たとえコンパクトなサイズのエフェクターを作製しても、そのメカニカルデザインに迷いはありません
▲左からディストーション(Distortion)、ゲルム・ドライブ(Germ Drive)、ファズ(FUZZ)
小さなサイズになってもシンメトリック(対称性)は変わりません。名前の素っ気なさも、です。良い意味でいうとクール、悪い意味でとらえると冷淡さを感じるデザインにやはりブレはありません。
インダストリアルデザイン。機械だけに限定するとメカニカルデザインと呼ばれる場合もあります。
個人的には、こちらの言葉のほうが好みです。何か、ロボットでも作りそうな響きに聞こえます。電化製品が故障したときなど、ドライバーを持って分解してしまう自分には、こちらのほうが好きですね。よく出来た製品は中身も美しいです。
いつか、本当に、ロボットを制作しそうなメーカーです。勝手に充電して、曲に合わせてオンとオフを切り替えて、自ら動いてくれるエフェクター…悪くないじゃないですか。
by yosh.ash
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