世界に１本～あなただけのオーダーギターの魅力とその落とし穴

いつかは自分の理想のギターをオーダーメイドで作ってみたい…そんな考えを持っているギタリストは少なくありません。

市販されているモデルでは満足することができない、または、他の誰も持っていない自分だけのギターが欲しい…そんな夢を叶えてくれるオーダーメイドギターについて考えてみましょう。

カスタムオーダーの持つメリット

オールメイプルボディのソリッドボディにマホガニーネック、P90ピックアップ、そしてフロイドローズアームユニット…。
かなり極端なスペックになってしまいましたが、おそらく市販品でこのようなギターは存在していないでしょう。

こんな変速スペックのギターを手に入れることができるのがカスタムオーダーの最大の魅力です。
唯一無二のルックス、そしてサウンドを得ることができますので、より自分の個性を強調することができるはずです。

デメリットだってないワケではない

しかし、オーダーメイドには致命的なデメリットがあります。それは、実際に完成するまでその音を聴くことができないという点です。
材やパーツなどからある程度の予想を立てることはできますが、それらを組み合わせた時にどんな化学反応が起こり、どんな音が出てくるのかを知ることができないのです。

結果としてそのサウンドが気に入ったものであれば良いですが、まったく好みでなかった場合でもギターが完成した後にキャンセルすることはできません。

ほとんどの場合、市販ギターよりも高額になってしまいますので、相当なギャンブルになることは覚悟しなければなりません。

手軽なセミオーダーシステムを利用する

フルオーダーの場合、費用もかなり高額になってしまう上、前述のようなギャンブル的な要素も出てきます。

そんなデメリットやリスクを背負わなくても気軽にオリジナルギターを手に入れることができるシステム…それはセミオーダーシステムです。
各メーカーの主力モデルの材やカラー、一部のパーツを指定してオリジナルギターをオーダーすることのできるシステムですので、自分だけのオリジナルギターでありながら、費用は安く、そして完成前からかなり正確に音の予測をすることができます。

自分だけのギターが欲しい…だけど予算もそんなにかけられないし、ギャンブルになってしまうのは嫌だ…そんな方はこのセミオーダーシステムを検討してみてはいかがでしょうか？

信頼できる工房選びのコツとは？

特殊な材を使用したり、オリジナルシェイプを使いたい場合には前述のようなセミオーダーシステムでは対応することができませんので、やはりフルオーダーをすることになるでしょう。

フルオーダーでギターを製作する際に失敗しないためには信頼することのできる工房を選ぶことがもっとも重要となります。

まず、第一に考えなければならないのが製造工程をしっかりと見せてくれるか否かという点です。完成するまで一度もギターの姿を見ることができない…そんな工房はできるだけ避けた方が良いかもしれません。
ネックやボディの形状に関しては実際に手にしてみなければ自分にフィットするかどうかを判断することができません。
ですので、それぞれのパーツが完成するたびに、実際に持たせてくれる、確認させてくれるかどうかはとても重要なポイントとなります。

次のポイントは材やパーツ選びの自由度です。工房によっては入手することのできない材やパーツが存在するケースもありますので、まずは自分の理想とする形をしっかりとまとめた上で、それが実現可能であるかを確認するようにしましょう。

特に材に関しては工房によって在庫にバラつきがあります。ハカランダやホンジュラスマホガニーなどの希少な木材の仕様を考えているのであれば、できるだけ材のストックの多い工房を選ぶようにすべきです。

オーダーはある程度自分の音が固まってから

最近では、初心者がいきなりオーダーギターに手を出すというケースも少なくないようです。
しかし、自分の理想とするサウンドやプレイスタイルが固まっていない段階でオーダーに手をだしてしまうのはとても危険なことです。

できれば、ある程度の種類のギターを実際に手にし、木材やそれぞれのパーツの持つ特徴を把握した上ではじめてオーダーに挑戦すべきです。

もちろん、工房やメーカーによっては音のニュアンスを伝えることによって、それを実現することのできる材をチョイスしてくれることもあります。
しかし、「堅い音」にもかなりの幅があります。アッシュボディのテレキャスターとメイプルボディのリッケンバッカー620、これらはまったく違った音ですが、どちらも「堅い音」と表現することができます。
できるだけ、自分の理想とする音を実現するためにも、ある程度ギターという楽器について、そしてサウンドについても深く理解しておかなければなりません。

オーダーメイドギターはとても魅力的なものです。誰もが一度は憧れたことがあるでしょう。
しかし、あまりに簡単に考えていると後で後悔することになるかもしれません。