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ギターは古ければみんなヴィンテージ?~中古品とヴィンテージの定義

ジミー・ペイジの愛用する50年代のレスポールや、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのメインギターである60年代前半のストラトキャスター。これらがヴィンテージギターと呼ばれることを否定する人はほとんどいません。

しかし、60年代、70年代のものはどうでしょう?リッチー・ブラックモアがステージで破壊しまくったラージヘッドはヴィンテージなのでしょうか?

実はこの定義はギターによって異なっているのです。

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ヴィンテージレスポールの線引きはどこにある?

画像2▲50年代のレスポールを惜しげもなくステージで弾きまくるゲイリー・ムーア。

一般的にヴィンテージレスポールと呼ばれているのは、1953年から1960年までに製造されたものになります。

その理由は60年に一度レスポールの生産が一度うちきられてしまったためです。次に生産がスタートしたのが68年。8年間もの空白期間があり、さらに再生産されたレスポールは大幅なスペックチェンジがおこなれ、完全な別物となっていました。

ここがはっきりとヴィンテージと中古品との境目となっています。

ただ、レスポールカスタムだけは例外で、68年製がヴィンテージとしてとても高い評価を受けています。50年代のカスタムは通常のレスポールとは異なるオールマホガニーボディが採用されていましたので、いわゆる「レスポールサウンド」を出すことはできません。

それに対して68年に再生産されたものはスタンダードモデルと同様にメイプルトップボディが採用され、あの精悍なブラックボディ+レスポールサウンドをはじめて実現することができたのです。

この年代のカスタムはジョン・サイクスや鮎川誠などに愛用され強烈なインパクトを与えてくれました。

画像3▲ブラックの68~69年製カスタムはロックンロールの象徴です。

90年代後半以降は70年代のレスポールもヴィンテージとして扱う楽器店が登場しはじめています。

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この年代ならではのパンケーキ構造ボディや、メイプルネックなどの特徴を考えると、50年代のヴィンテージとはまるで別物です。なので「70sヴィンテージ」と区別して呼ぶべきでしょう。

80年代以降になると50年代のレプリカモデルが主流となりますのでもうヴィンテージと呼ぶことはできません。

リッチー・ブラックモアの70年代ラージヘッドは?

画像4▲ミスターラージヘッドといえば、ディープパープルのリッチー・ブラックモアでしょう。

続いてはフェンダーのストラトキャスター、テレキャスターのヴィンテージについて考えてみましょう。

まず、もっともそう呼ぶのにふさわしいのは1964年以前のモデルです。この年にフェンダーブランドは売却されてしまい、代表的なギターが大幅にモデルチェンジされてしまいました。

売却される以前の「オリジナル・フェンダー」と呼べるのが64年以前のものになります。クラプトンのブラッキーも、レイ・ヴォーンのNo.1、ジョン・フルシアンテのカスタムテレキャスターもすべて64年以前のモデルです。

では、リッチー・ブラックモアやジミ・ヘンドリクスが愛用していた60年代後半から70年代のラージヘッドストラトキャスターはどうなのでしょう?
画像5▲ジミヘンといえば60年代後半製ストラトキャスターです。

もちろん、現在は楽器店で「ヴィンテージ」として売られています。しかし、実はこの年代はフェンダーの暗黒器と言われています。加工機器の老朽化や、経営不振によるコストカットによって、質がもっとも落ちた時代でした。

あまりの質の悪さに激怒したブラックモアはステージで破壊しまくり、ジミヘンは燃やしてしまった…そんな冗談が真実味を持って語られるほどに粗悪品も多かったようです。

事実、筆者がかつて所有していた70年代後半のモデルの加工精度はとても低いものでした。ネックポケットの隙間にピックが2~3枚入ってしまうほどです。おかげで頻繁にセンターズレを起こしてしまい、とても苦労しました。

ただ、加工精度が低い=音が悪い、とも言いきれません。実際に筆者のストラトはアッシュボディならではのタイトなサウンドをアウトプットしてくれていました。

ただ、メーカーの暗黒器のモデルを「ヴィンテージ」として持ち上げてしまうことに、筆者はやや疑問を感じてしまいます。

90年代の前半までは単なる中古品という扱いで、10万円を切った価格で売られていることも少なくありませんでした。これを知っている人は、現在の価格高騰や、「ヴィンテージ」として持ち上げられている状況に違和感を感じるのではないでしょうか?

少なくとも筆者はラージヘッド期のストラトをヴィンテージとはあまり呼びたくありません。

定義することに意味はある?

2大エレキギターブランドにおけるヴィンテージの定義を考えてみましたが、そもそもこれを考えることに意味はあるのでしょうか?

筆者は大きな意味があると考えています。ヴィンテージをしっかりと研究し、定義することによって今や楽器のスタンダードの一つとなったエレキギターの創生期のモデルを守ることができると考えています。

ヴィンテージと区分けされていなければ、単なる古い楽器とみなされ、新しいものによってかき消されてしまう危険があります。事実、小さなブランドが生み出した素晴らしいヴィンテージギターの多くが失われつつあります。

素晴らしい楽器は次の世代に受け継ぐべきものです。守るべきもの、価値のあるものを仕分けるのが「ヴィンテージの定義」の持つ役割です。

もちろん、楽器店は商売ですので、できるだけさまざまなギターに付加価値をつけ、少しでも高く売ろうとします。これも仕方のないことなのかもしれませんが、そこに「ヴィンテージ」という言葉をあまり使いすぎると本来の価値がぼやけてしまうのではないでしょうか。

今こそ、改めてしっかりとした定義を考える必要があると筆者は考えています。

Byチリペッパー眞木

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