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キーボード初心者がすぐにバンドで主役になるためのアレンジテクニック
今回は、キーボード初心者がバンドの中ですぐに主役になるための具体的な演奏法やフレーズについて、くわしく解説します。
キーボードプレイヤーの多くは「子供の頃にピアノを習っていた」という、クラシックピアノ出身者が圧倒的に多くなります。
コードなど和声学について多少の知識があるなど、他の楽器に比べると体系的に音楽を学習している人が多い印象があります。
それゆえ音楽全般にくわしいと勘違いされてしまいがちです。しかし、バンドでの演奏が未経験の場合は、ロックやポップスを前にして「何をしていいのかわからない」という状態であることがほとんどではないでしょうか。
そこでキーボードプレイヤーがすぐにバンドに入って、キーボードならではの魅力的な演奏ができるよう、ポップス、ロックなどに共通するテクニックやフレーズについて解説します。
ぜひあなたの演奏スタイルに取り入れて、楽しくバンドでプレイしてください。
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演奏前に「縦」にするか「横」にするのかを決める
▲演奏を始める前に2つのスタイルのどちらで演奏するのかを決めるだけでアレンジがまとまりやすくなる。
バンドで何かを演奏する時、もともとキーボードのパートが用意されている曲なら楽譜通りに演奏すれば良いのですが、オリジナル曲やキーボードのパートがない曲を演奏するときには、演奏者が自分のアイディアでプレイする必要があります。
また自分のバンドの楽器構成にはないブラスやストリングスセクションのフレーズをキーボードが担当することや、複数トラックに打ち込まれたシンセサイザーなどをキーボードが再現することも多くあります。
こんなとき、あなたが初めに考えつくのは「コードを弾く」ことだと思いますが、実践してみれば、そのコードをどう弾くのが問題であることに気づくでしょう。
こうした状況の中、楽器で曲を演奏するとき、大きく考えて2つの表現方法からアプローチすると、全体的に調和の取れた音楽性が高い演奏をすることができます。
それは「縦」を意識して曲のリズムを強調するように演奏するのか、「横」を意識して曲のイメージを広げるように流れるような旋律を演奏するのかという、「縦」と「横」の選択です。
以下に縦と横、2つの表現方法について、くわしく解説します。
縦のリズムを意識して曲をアレンジする方法
▲リズムを意識して演奏する場合は周りをよく見て(聞いて)足りない部分を補う気持ちで演奏する。
『縦に演奏する』方法は一言で言うなら、リズムに合わせコードを刻んで演奏する方法です。
うまく演奏するコツはドラムなどのリズム楽器と同様に、メロディのリズムを意識することです。
状況にもよりますが、旋律のリズムは音程を変えながらもある程度のシークエンス(決まったパターンの繰り返し)であることが多いので、そのリズムの裏を打ったり、強調することを意識すると全体的に調和のとれた演奏になりやすいです。
上の画像をご覧ください。画像の中の楽譜は、メロディと「縦」のリズムを意識してアレンジしたピアノパートです。
1小節目と2小節目の旋律は3拍目が2拍目裏からのタイで結ばれ、さらに4拍目は休符なので後半の2拍に広く空間ができる感じがします。
それをカバーするようにピアノが3拍目4拍目においてシンコペーションで変化をつけるアイディアで対応しています。
さらにメロディが四分音符になった3小節目と4小節目では、リズムのシークエンスを(リフ)をキープしながら、シンコペーションを四分音符に変えてメロディに合わせています。
このようにメロディをよく理解することができれば、リズム的なアプローチでも決して単調には感じられず、全体を通して聞き飽きない、楽しい印象になります。
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横の流れを意識してアレンジする方法
▲ある程度決まったパターンのシークエンスにしてしまえばまとまりやすい。
『横に演奏する』方法は1小節もしくは2小節程度のフレーズを繰り返して演奏する方法が一般的です。コードを変えながら同じフレーズを繰り返すので、テンポが早い曲では、一定の小気味いいリズム感も生まれてきます。
上の楽譜では、あえて「縦」の演奏例と同じメロディを使ってアレンジをしていますが、曲の印象が一変している点にお気づきでしょうか。
この譜面ではメロディの1拍目と2拍目にピアノの3拍目4拍目で応答するような旋律を弾いています。呼び掛けに応える、または合いの手を入れるようなイメージですね。
横を意識した演奏で重要なポイントは、あくまで旋律を意識はしていてもメロディのもつリズムを活かすように演奏することです。
上の楽譜では3拍目以降にリズムの変化が少ないメロディに対してピアノが3拍目4拍目で8分音符のアルペジオを弾いて対応しています。
特にキーボードは表現力の高い楽器なので、メロディや他の楽器の演奏をよく聞いて、薄くなるところは補うようにしてください。
この他にも「横」を意識した演奏例は、メロディの後ろでアドリブに近い状況で美しい旋律を演奏する方法などがあり、とても自由度の高い表現方法です。
曲全体を通して演奏者のイメージを表現することができるので、曲に対するアイディアを充分に発揮することができるテクニックです。
ブルースのフレーズを取り入れて注目を集める
▲一般的なブルースのフレーズを覚えておけばイントロやエンディングなどさまざまな状況で便利に使える。
ピアノでロックやポップスなどを演奏している場合は、ブルースのフレーズを取り入れると、とても印象的で格好の良い印象を与えることができます。
スローなロック調の曲などで、ブルースのフレーズがかっこよく使えれば、大抵の方は「できるピアニスト」だという印象を持つのではないでしょうか。
ただし、挑戦したことがある方ならお分かりでしょうが、やみくもにブルーノート・スケールを弾いてもまったくブルースには聞こえません。
そこでイントロやエンディングに使えるフレーズ、シャッフルに使えるフレーズ、バラードに使えるフレーズなど、あらかじめいくつかのパターンを習得しておくと便利です。
自分の気に入ったブルースのフレーズをキーを変えて練習しいつでも使えるようにしておきましょう。
例として上げた楽譜はブルースではよくあるパターンのフレーズです。
Ex1はシャッフルのパターンで使うコードとブルーノートを使った例です。ブルースプレイヤー以外が演奏すると「こんなに?」「やり過ぎでは?」と思ってしまうほど3連を多用するのが本格的なブルースの雰囲気を身につけるコツです。
Ex2はブルース以外でもよく使われているおなじみのフレーズです。このフレーズはエイトビートやシャッフル以外でも使えるので、さまざまなリズムパターンで練習しておくと便利です。
キーボードは左手でベースを表現し、右手はトランペットやバイオリンを表現することができる可能性がとても高い楽器です。とくに初心者のバンドなら、キーボードプレイヤーがいるだけでバンドのクオリティは格段に上がります。
ぜひこのアレンジ方法をマスターして、バンドで楽しく演奏してください。
By 内藤孝昌
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