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そもそも高級ギターは値段に見合った価値があるのか?
ギター選びの基準となるのは何でしょう?もちろん、ほとんどの人がその音や使い勝手を中心に考えるのではないでしょうか?
しかし、自分にとってベストなサウンド、使い勝手の良いものを見つけることができたとしても、大幅に予算オーバーしてしまっていてはどんなに欲しくても手に入れることはできないでしょう。
楽器の中にはとても高額なものも多く存在しています。同じ用途のギターであっても値段に大きく幅があるケースもあるでしょう。
とりあえず一番安いモノを…と購入してしまっても、奮発してもっとも高いモノを購入したとしても後悔してしまうことがあります。ここではそんなギターの値段について考えてみましょう。
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高ければ高いほど良い?ギターの都市伝説
同じエレキギターでもその価格には大きな幅があります。1万円以下で売られているような初心者向けの廉価モデルから、1000万円を超えるヴィンテージギターまでとても広い価格帯がカバーされています。
単純に値段が高ければ高いほどサウンドも使い勝手も良いのであれば、悩む必要はありません。予算内でもっとも高価なものを購入すれば良いということになります。
ギターに限った話ではありませんが、何でも高ければ良いというわけではありません。もちろん、高価なものには高価な理由がありますので、何らかのメリットを多く持っている可能性は高くなりますが、それがすべての人にとって良い選択肢であるとは限らないでしょう。
現在の市場価格が1000万円を超えるギブソン・レスポール「オリジナル・バースト」。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが使用したことによって人気に火が付きました。
100万円より40万円?
実際に筆者も、1万円から100万円前後までの幅広い価格帯のギターを弾いてきました。その中で一番気に入っているのは一番高いものだったか、と聞かれるとそうでもありません。
具体的な話になりますが、筆者が所有するものでもっとも高価なギターは1962年製のフェンダー・ストラトキャスターです。
交換パーツが多く、リフィニッシュされているというあまりコンディションのよくないものでしたが、それでも100万円近い値段で購入しました。
もちろん、ヴィンテージならではの低出力ながら前に出てくるサウンドは素晴らしいものです。初めてこのギターを弾いた時は震えるほどに興奮してしまったのを覚えています。
ですが、これが筆者のメインギターというわけではありません。
このストラトキャスターのサウンドは確かに素晴らしいものです。ですが、筆者のメインギターはその半額以下の値段で購入した1965年製のグレッチ・テネシアンです。
この2本は全く異なった特徴を持っています。同じ60年代のヴィンテージエレキギターですが、ボディの材質、構造、パーツの構成まですべてがまるで違っています。
これだけ違った特徴をもっていれば、出てくるサウンドがまるで違っているのは当然のことでしょう。
こうなると、どちらが良い、ではなくどちらが好きか、という問題になってしまいます。
100万円のギターから出る音も、50万円のギターから出る音も、それぞれが魅力を持っており、筆者の場合はグレッチのサウンドの方が好きだったということです。
300万円を超えるものも少なくない1964年以前のフェンダー・ストラトキャスター。スティーヴィー・レイ・ヴォーンのメインギターである通称「ナンバーワン」もこの年代のものです。
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音楽にマッチするギターがある
高価なエレキギターがすべてのジャンルにマッチするとは限りません。筆者はオールド系ロックンロールやブルースを演奏しますので、高価なヴィンテージギターのサウンドが必要となってきます。
ですが、100万円のストラトや50万円のグレッチには対応することのできないジャンルも少なくありません。
以前、友人のやっているメタル系バンドにサポートで参加した際にはこの2本はまるで使いものになりませんでした。
これらのギターの魅力である豊かな倍音、そして控えめな出力が、メタルというジャンルで要求されるへヴィなサウンドを作る上では邪魔になってしまいます。
メタルサウンドの基本は深く歪んだドンシャリ系です。こういった音を作る上で必要とされるスペックはできるだけ出力の高いピックアップ、そして倍音を極力抑えることのできるボディになります。
これは前述のヴィンテージギターとはまるで真逆の特徴と言えるでしょう。
結局、筆者メタル系バンドでプレイする際には10万円前後のアイバニーズのRGを使用しました。
価格はストラトキャスターの10分の1程度ですが、このジャンルにおいてははるかに良いサウンドをアウトプットしてくれました。
へヴィ・ロックギタリストのダイムバック・ダレルは生涯にわたってディーンMLを愛用し続けました。決して高価なギターではありませんが、このギターでなければこのサウンドを出すことはできなかったのです。
値段は気にしないのがベスト
こう言ってしまうと、ギターに関しては値段なんてアテにならないものなんだな、と思われるかもしれません。
ですが、値段によって左右されてしまう部分があることも確かです。
例えば、エレキギターの指板材や、アコースティックギターのバック・サイド材として昔から使われてきたブラジリアンローズウッド(ハカランダ)などは年々採れる量が少なくなっていますので、価格も高騰しています。
現在ではインディアンローズウッドなどの代替え材も登場し、安定して供給されるようになりました。
ですが、やはり材が違えばサウンドも異なってきますのでブラジリアンローズウッドにこだわるという人も少なくありません。
このように希少な材・高価な材を使用しているギターはその分だけ高額になってしまいます。
パーツに関しても同様で、製造にコストがかかってしまう複雑な構造のものや、精度の高い加工技術が必要とされるものは高価になります。
そして、こういったパーツを使用しているギターはやはり高くなってしまいます。
「EMGピックアップさえ取り付ければどんな安物でもナイスサウンドが出てしまうんだ!」と豪語するザック・ワイルドのギター。見た目重視の特殊なシェイプになっています。
材やパーツによって出力される音はもちろん違います。ですが、明確にどちらの方が優れているとは言えません。
最終的には、出てくる音が気に入るかどうかで、その人にとってベストなギターになれるかを判断することになるでしょう。ですので、ギターを探す場合は一度値段を気にせずに試してみるべきでしょう。
高ければ高いほど良いというものではなく、だからと言って安くても同じというわけでもない…だからギター選びは難しく、同時に楽しいことでもあります。
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