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レディオヘッドがカバーした女性アーティストたちと彼が感じた想い
あこがれではなく「憧憬」という言葉をつかったのは、身体の深いところにある感情なのかな、と思ったからです。微妙なニュアンスの違いです。
「この歌、趣味(のジャンル)じゃないんだけど、なぜだか好きなんだよな…」
そんな経験、ありませんか。見かけだけに惹かれるアイドルじゃなく、身体に染みついてしまったようなマイ・アイドル。誰にでも、そんな人がいるんじゃないかと思うのです。だから、男性が女性のカバー曲を選ぶとき、すぐに思い浮かぶのが、その人それぞれのマイ・アイドルではないかと。
そんな観点から、レディオヘッドがカバーした曲を、何曲か選んでみました。
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「涙のユニオン・シティ(ユニオン・シティ・ブルー)」ブロンディ
ブロンディのボーカル デボラ・ハリー
「涙のユニオン・シティ(ユニオン・シティ・ブルー)」は、1979年の「恋のハートビート(イート・トゥー・ザ・ビート)からのシングル曲です。邦題のセンスが最悪です。同年に、シングル「ハート・オブ・グラス」で大ブレイクしたわけですが、この曲が収録されたアルバムのタイトルは「恋の平行線」。
で、原題は「パラレル・ラインズ」。もう、ひどすぎる、と絶句するしかありません。そういう時代だったといえば、それまでですけど。
ブロンディはニューヨーク・パンクの流れでデビューしたのですが、なぜか、アメリカよりもイギリスでの売れ行きが良いというバンドでした。
魅力はボーカルのデボラ・ハリーに尽きるでしょう。ディーバ(歌姫)というよりは、歌声によって船人を惑わしたセイレーンのように感じます。おそらく、レディオヘッドの年齢からいって、ギリギリ後追いか、思春期の初めぐらいに聴いたはずです。
ブロンディを選んだのは、この頃の、色気ある大人の女性への思いってやつが推したのでしょうか。
肝心のカバーですが、イントロは「このあと、このまま静かに行くの?」と思わせつつ、一気にパワーポップ調アレンジで最期まで疾走していきます。トム・ヨークの声は女性ボーカル曲に、よく合います。
初期レディオヘッドのアルバムに収録されていても違和感なく収まりそうです。個人的にも、このアルバムは好きなのですが他の曲、たとえば「ドリーミング」や「シェイラ」あたりもカバーしてよ…と思ってしまいます。
「ノーバディ・ダズ・イット・ベター(Nobody Does It Better)カーリー・サイモン
カーリー・サイモン
邦題は「私を愛したスパイ」でいいのでしょうか。1977年公開の映画「007 私を愛したスパイ」の主題歌です。カーリー・サイモンは70年代に活躍したシンガーソングライター。
なぜ、同時代のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルではなく、カーリー・サイモンを選んだのかは謎です。レディオヘッドのイメージからするとジョニ・ミッチェルの「カッコ良さ」を選択しそうな気がするのですが。
原曲は前半がピアノ、途中からストリングスが盛り上げる、といった典型的なバラードなのですが、カバー曲は完全にレディオヘッドのサウンドです。得意の高音を活かしたトム・ヨークの歌。
後半にはジョニー・グリーンウッドのギターソロが全開しています。お見事、というしかありません。ここまでくれば、何でもあり、のような気がします。
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「ザ・リップ」ポーティスヘッド
ポーティスヘッドのボーカル ベス・ギボンズ
1st「ダミー」、2nd「ポーティスヘッド」からではなく、なぜか、「サード」からのシングル「ザ・リップ」です。レディオヘッド名義になっていますが、映像では、部屋のソファに座りながらトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドのアコースティックギターで弾き語りをしています。リラックスした雰囲気です。かなり、原曲に近いです。
ポーティスヘッドは、ブリストルを発祥とするトリップホップの先駆け、という肩書で説明されることが多いです。これには素直に頷くことができません。
ポーティスヘッドはジャンルを超えたバンドだと思っています。また、よく、レディオヘッドは、トリップ・ホップにも影響を受けて…と「OK コンピューター」以降のアルバムに解説に書かれたりしていますが、あまり、その影響を感じたことがありません。マッシヴ・アタックの影響…そうかな?というのが率直な感想です。
ただ、純粋にポーティスヘッドが好きなのでしょう。だから、ちょっと歌ってみた。そういう感じのカバー曲に思えます。しかし、女性の歌っている曲、トム・ヨークには本当に素晴らしく合っています。実に、上手いです。
レディオヘッドにカバーして欲しい女性アーティストと曲
スージー・アンド・ザ・バンシーズのボーカル スージー・スー
これらの他にカバーした女性アーティストにはビョークがいます。ビョークとレディオヘッドはどちらかというと同時代に産まれたアーティストです。ビョークが4枚目のソロ・アルバム、名盤「ホモジェニック」を発表した1997年には、レディオヘッドが「OK コンピューター」を出しています。
ビョークが主演と音楽を担当した映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」での主題歌「アイヴ・シーン・イット・オール」ではトム・ヨークと共演していました。おそらく、お互いがリスペクトしあう関係…というところではないでしょうか。
個人的にカバーして欲しいのは…。
ケイト・ブッシュ。イギリスの歌姫は外せないでしょう。プラシーボが「神秘の丘 (ランニング・アップ・ザット・ヒル)」をヒットさせました。
ギターバンドとはかけ離れたアレンジでした。ということでレディオヘッドでも、どうにか料理してくれるんじゃないかと思っています。選曲は…トム・ヨークが裏声を駆使して「嵐が丘」とか、リズム隊を活かした「愛のかたち(ハウンズ・オブ・ラブ)」や、一番似合ってそうな「ハンマー・ホラー」なんかはどうでしょうか。
キャロル・キング。カーリー・サイモンなら、これもありかと。ジョニ・ミッチェルではなく、あえてのキャロル・キングです。「君の友だち(You’ve Got A Friend)」。ベタな選曲です。
あとは「ナチュラル・ウーマン」。アレサ・フランクリンではなく、キャロル・キングのバージョンがいいですね。基本、両方ともカバーされまくっている曲ですが、とても良い曲だと思います。
それでは…本命を。
スージー・アンド・ザ・バンシーズ。初期のヒット曲「香港庭園(ホンコンガーデン)」でもいいのですが、ここは3枚目「カレイドスコープ」から5枚目「キス・イン・ザ・ドリームハウス」のスタジオ・アルバムからの選曲で。「クリスティーヌ」「呪縛(スペルバウンド)」に、カバーのカバーになる「ディア・プルーデンス」あたりで、どうでしょうか。すごくいいと思うんですが…。
ちなみに、レディオヘッドがカバーした曲はステレオガム(stereogum)のサイトから20曲をダウンロードすることができます。興味のある方は、ぜひ、聴いてみてください。
まあ、レディオヘッドが、デヴィッド・ボウイの「ピンナップス」みたいなカバーアルバム…「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」で虚構の世界に行き詰まったボウイが1973年に発表したカバーソングだけのアルバム…を出してもいいと思うんですけど。
ダメでしょうか。個人的には少しばかりの期待を持っていたりします。やっぱり、ダメでしょうかね…。
by yosh.ash
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