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ピンク・フロイド『狂気』の「アス&ゼム」で僕が必ず泣いてしまう理由
ピンク・フロイドが1973年に発表後、全世界で大ヒットを記録し、プログレというジャンルを超えてロック史、いや音楽史に残る名盤として現在も多くの人に聴かれているアルバム『狂気』。僕はいまだに「アス&ゼム」で泣いてしまうのです。それは心の底にある琴線に触れる音だからです。
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この一曲だけをとってもピンク・フロイドの音楽シーンに残した功績は偉大です
▲若き日の4人。シドバレットの姿はすでにありません。
あなたは聴いたことがありますか?『狂気』こと『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』に収録された曲、「アス&ゼム」を。僕はこの曲を評論するつもりはまったくありません。ただ、この曲がもたらす感動をあなたにも感じてもらいたいのです。
アルバムの素晴らしさは、これまで星の数ほどの評論があるので触れませんが、この1曲だけでも聴く価値があると思います。
僕が初めてこのアルバムを聴いたのは、実は1995年に発表された2枚組のライブ・アルバム『パルス』でした。1994年のアルバム『対』発売後ツアーを収録した作品ですが、DISC 2で『狂気』を全曲にわたって再現しているんです。
『パルス』で初めて聴いた楽曲たちは今までの音楽とはまったく違うものでした
▲これが初回盤ジャケです。右側の穴から赤い光が点滅する仕様でした。
ちなみに『パルス』の初回生産盤はCDケースの背表紙部分に発光ダイオードが付いており、赤い光が点滅(パルス)し続けるという仕様になっていました。
当時、僕の部屋を訪れた人間はある程度会話をした後、必ずこう言いました。「ところで、あれなに?」。それくらい常にチカチカして目立つものだったんですよ。
おっと話がそれましたが、『狂気』を再現したそのアルバムはライブとはいえ、ものすごいクオリティ。「スピーク・トゥ・ミー」に始まり、時計のベル音が鳴り響きダークな世界に突入する「タイム」が終わり、「虚空のスキャット」で一旦クールダウンします。
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レジとコインの音から始まる「マネー」での盛り上がりが徐々にフェイドアウトするころ、静かにギターのアルペジオが聴こえます。さあいよいよ「アス&ゼム」へ。
初めて曲を聴いた時、なんともいえない恍惚感が最初からあったことを覚えています。素面の状態でもそうなのだから、これはもしかしてドラッグをやっている人にはとんでもない世界が見えてしまうのではないか!?
その想像は当たっていました。というのも、当時僕が働いていた音楽スタジオでこの曲をかけていたところ、たまたま来ていたスタジオのオーナーが、「頼むからこの曲消してくれ!」と言ってきたのです。
理由を尋ねてみると、実は若い頃に遊びでドラッグに手を出し、当時流行っていたこの曲を聴いたところ、「お化けが出てきた」そうです。(笑)
だからそのトラウマのため、今でも聴くのが怖いそうです。う~ん、他にもそういう人がいるのでしょうか?
聴く人にとっては怖い作品なのかもしれないですね
▲ライブでの演出も見る人によっては怖いみたいです。
しかし、まったくクリーンな状態で聴いている僕もこの曲ばかりは感情を揺さぶられ、こみあげてくるものをこらえきれず、夜中に1人でワンワン泣いてしまいました。たしか20代半ばの頃です。
歌詞は何度か読みましたが、当然歌詞の意味を考えて聴いているわけではありません。とにかく、あのサウンドを聴くと体中が弛緩し、脳みそは思考停止状態になってしまいます。
初めてAメロパートのアルペジオを聴いた時に頭に浮かんだのは宇宙です。銀河の彼方で音を聴いているような、そんな静寂の中に放り込まれて浮遊しているような感覚、わかりますか?
コード進行は細かいことを抜かすと基本的にはほとんどDとBm、Aくらいしか出てこないはずです。そんなシンプルな進行でこんな感動的な曲が作れるなんて、当時バンドをやっていた僕には衝撃的でした。
そして、2つのセクションに分けられた曲の中でサビに行くときのあの高揚感ないったいなんなのでしょうか?
歌中はもちろんなんですが、間奏のサックスソロでサビの部分に差し掛かるところがまた最高です。女性コーラスの声と共に激しくも優しくブロウするサックス、そしてキメのリズムを強調することで後押しするドラム。ここで僕の涙腺はいつも崩壊します。
寝る子も起こす!深層心理に働きかえる作用があるサウンドです
▲リチャード・ライトよR・I・P
以前、電車で通勤していた時のこと、僕は毎日ヘッドフォンをして音楽を聴きながら、目的の駅に到着するまで寝ていました。
ある日『パルス』を朝から聴きながら、というよりはBGMにして寝ながら電車に揺られていたところ、なぜか「アス&ゼム」のところで目覚めてしまいました。それはその後も同じでした。いくら寝ていても必ず曲がかかると起きるのです。
きっとそれだけ心の奥にある感情を呼び覚ましてくれる曲なのでしょう。そしてこの曲は何度目かのサビの高揚を残してあっさりと何事もなかったかのように次曲「望みの色を」に移行して行きます。
まるで一瞬のまばゆい光を感じるような「アス&ゼム」。いつ聴いても感動できる曲はそうはありません。あなたにとってのそんな曲はなんですか?
文・okamoto
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