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伝説の第一回フジロックフェスティバルで私が実際に目にしたものは?
いまとなっては伝説と化している第1回フジロックフェスティバル。いまや12万~15万人を動員するロックフェスティバルですが、当時の動員数は3万人でした。
その記念すべき日本初の大型野外フェスティバルは台風に直撃され初日はハチャメチャに、2日目は中止という憂き目に遭ってしまいます……。20代半ばだった僕が実際にチケットを購入していった貴重?な体験談をお伝えします。
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大型野外フェスティバル開催の機運が高まっていた90年半ば
当時僕は「クロスビート」と「ロッキンオン」を愛読していました。そのころの洋楽ロックシーンは、ハードロックもグランジも終わって、ブリットポップの勃興を中心に、ポストロック、メロコア、USロック、インディーズ、エモ系など、流行りのカテゴリーはどんどん多様化していったように思います。
洋楽ロックが大好物だった僕は、むさぼるように洋楽雑誌を読み、タワレコやDISCユニオンなどに通っていた記憶があります。記憶が定かではないのですが、いずれかの雑誌に「大型野外フェス・フジロック」の開催告知があったように思います。
当時の「日本初の大型野外フェスティバル開催」の発表は、僕ら洋楽好きの若造にとって待望でした。
衛星放送や雑誌で、94年のウッドストック(アメリカ)、有名なグラストンベリー(イギリス)のライブリポートが活発になっていて、徐々に日本でも大型野外フェス開催の機運が高まってきていたのだと思います。
僕は基本的にワンマンライブの方が好きでしたが、それでも「待ってました!」という感覚になったので、よほど海外フェス情報に触発されたのでしょう。
当時の経済状況も影響していると思います。不景気の長いトンネルに入っていた90年代には、69年のウッドストックのときのようなカウンター・カルチャー精神が必要とされていたのでしょう。
既存の何かをぶちこわしたい雰囲気が漂っていたようにも僕は感じていました。
第1回フジロックは1997年山梨県富士天神山スキー場で2日間の開催。7月26・27日の2日間で、参加アーティストは90年代を代表するとんでもないメンツでした。
とにかく見たかった!時代の寵児プロディジー
あのころ、やたらと海外フェスのリポートや、衛星放送の放映が多くなっていたように思います。そのうちのひとつで僕はプロディジーに出会いました。1996年にイギリスで開催されたフェニックス・フェスティバルでのライブです。
僕は、ハードロックにもグランジにも、ブリットポップにも飽きて、新しい音を探していました。時代をさかのぼって60・70年代にも触手をのばしていました。
そんななか出会ったプロディジー。ロックとテクノを融合させた音も新鮮だったのですが、そのライブパフォーマンスに僕の心は思いっきりわしづかみにされてしまいました……。半端なくカッコいい奴らでした。
黒人のマキシムは白のコンタクトを付け、片手に機械の手?みたいなものを装着し、野蛮な宇宙人の出で立ち。キース・フリントは電撃ネットワークの南部みたいな風貌で野獣のよう。
そして長身でくねくね踊るだけのリロイ・ソーンヒル。その裏ですべてをつかさどるリーダーのリアム・ハウレット。
「ポイズン」、「ファンキー・シット」などのいままで聴いたことのないような異次元空間に行ってしまいそうな曲に衝撃を受け、このフェスのビデオを何度も観ました。その彼らがフジロックの2日目に出演するというではないですか!
即チケットを確保したのはいうまでもありません。
2009年のプロディジー フロントマンのキース(右)とマキシム(左)
出演ラインナップは今でも色褪せないメンツ!
初日のトリはレッド・ホット・チリペッパーズ、そのほかエイフェックス・ツイン、レイジ・アゲインスト・マシーン、フー・ファイターズ、サード・アイ・ブラインド、ザ・ハイロウズ、ザ・イエロー・モンキー、電気グルーブなど々。
2日目のトリはグリーンデイ、そのほかプロディジー、マッシブアタック、ベック、スクエアプッシャー、ウィーザー、少年ナイフなどなど。
いまでも最前線で活躍しているビッグバンドばかりです。しかもみんな20代~30代の若さでしたから、とんでもないフェスになることは間違いなしです。
初日も観たくてたまらなかったのですが、僕は一番観たいプロディジーを優先させて2日目のチケットのみを購入しました。というか初日はすぐに売り切れてしまっていました……。
歳をとってもカッコいいアンソニー・キーディスとドラムのチャド・スミス
裸族のフリー
ニルヴァーナ後のフー・ファイターズ、デイヴ・グロール!
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台風直撃の最悪のタイミングに殺気だった会場、そして寒さが襲う
日程が近づくにつれ僕のテンションもどんどん上がってきました。しかし残念なことに、それに合わせるかのごとくに台風が近づいてきました……。
このまま行くと直撃。しかし、あきらめるはずもなく興奮状態のまま初日のうちに友達と富士山の麓まで車で向かいました。
フロントガラスにはげしく打ちつける雨。車のなかで聴く大音量の「プロディジー」。あまりの暴雨と爆音に、どんどん戦闘モードに入っていった僕らでした。嵐のなか現地に到着した僕らは暴風雨のなか車を降り会場近くへ向かいました。
車に乗っていたときはよかったのですが、降りるや否や暴風雨と異常な寒さに心は一気に萎えました。台風はさらに勢いを増していて、よくもまあこの状況でやっているなと思ったものです。
とにかく寒い!三合目という高地ということも手伝って思った以上に寒いのです。そんななか会場へ進んでいくとかすかに聴こえるライブの音。時間からしておそらくトリのレッチリでしょう。
ウロウロしているうちに外に漏れる音も聴こえなくなり、初日終了。会場から引きあげてくる人達が続々と歩いてきます。全身びしょぬれ、中には全身真っ黒の泥まみれの人もいて、とにかくひどい状況でした。
この状態ではあすの開催は無理だろうと友達と話をしていましたが、ここまで来てかんたんに引き下がるわけにはいかないので朝まで車で過ごすことに。
2日目は晴天!台風は去っていった、だがしかし……
不安を抱えつつも車中泊して朝を迎えると、なんと!すっかり雨も上がっておてんとうさまが出ているではないですか!テンションは復活し、「これは絶対開催だ!」と喜んで会場入り口に向かいました。
しかしまさかの2日目公演中止の告知……。前乗りして楽しみにしていた僕らは怒り爆発でした。
後日聞いた話では、会場が泥まみれ、ゴミまみれでどうしようもない状況であること、初日の雨で体調を崩した観客と元気いっぱいの僕らのような2日目組がいっしょになったら大惨事になるだろうとの判断で中止にいたったそうです。
初日の会場の雰囲気は鬼気せまるものがあったと後日聞いています。日本初ということと、悪天候であるということが重なって、押し合いで体調を崩す人もたくさんいたとか……。
開催者のスマッシュはギリギリまで判断に苦しんだようです。2日目中止の判断に非難殺到だったようですが、いま考えると正しいジャッジだったと思います。
初日のチケット買っていればなぁとふと思いましたが、あのずぶ濡れ、泥まみれで凍えている姿を思い返すと、複雑な気分になります。
必ず長靴持参で行きましょう!
ライブ体験はできませんでしたが、フジロックが誕生したこの瞬間を味わえただけでもよかったと思っています。いまや参加者のマナーの良さ、ゴミを出さないクリーンさで世界的にも有名な「フジロック」。
この第1回開催の教訓が生かされていまがあるのですね!
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