インドネシア人の異様な食事風景~大人数で無言のままひたすら食べる
一般に先進国と呼ばれる国は人間関係が希薄になり、経済発展や開発水準の低い発展途上国では人と人との繋がりが深く、家族との絆も一層強くなるといわれています。
たとえば日本では残業のために帰宅が遅れることは普通ですが、東南アジアをはじめとする発展途上国では何があろうと家族優先、特に実家暮らしをしている場合、夕食は全員集まって食べるのが普通です。
私の住んでいるインドネシア・バリ島も例外ではなく、家族に親戚、友達、そして近所の人まで呼んで一緒に食事することは当たり前です。宗教行事ごとともなれば、村総出の大人数で食事をするのも珍しくありません。
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大人数なのに無言の会食に、いたたまれない
たくさんの人に分配できるようにいつも料理はかなりのボリュームを作り、いろんな種類の料理を大皿に作りビュッフェスタイルで食べるのが主流です。
私も何度か招待を受けて会食に行ったことがありますが、たくさんの料理に囲まれて大勢で食事をしているのに、なぜかみんな無言で食事に夢中になっています。
大の大人が5人も10人も集まっているのに無言のまま一心不乱に食事をしているのはなんとも不思議な光景で、勝手が分からない私は幾度となく周りの人に話しかけました。
しかし特に話が盛り上がることもなく、何度かやり取りをした後は、すぐまた食べることに集中しています。
そして1人、2人と食事を終えていくと、途端にあちこちから会話が盛り上がり始め、いつものインドネシア人らしく陽気で楽しいひと時となりました。
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そしてインドネシアに暮らすうちに分かってきたのは、ここでは食事は憩いの場所ではなく、完全におなかを満たすものとしてとらえられているということです。
料理を作るのが好きだという人はあまり多くなく、食事は娯楽ではなく本能の食欲を満たすという考えですので、1人で食べる食事は決まって質素なのです。
ある時友人の家に行き、今ある食材を見せてもらったところ、簡単に食べられるインスタント食品のオンパレードでした。
おなかがすくのは悪いこと!
インドネシア人は総じて食べることが好きで、問題にぶつかっても「じゃあまず食べようか」と食事を優先させるほど食べることへの情熱が強い人たちです。
おなかがすいているというのは、まったくもって悪いことであり「本能の食欲を満たせない=貧乏」という方程式が成り立ちますので、どこに行ってもまずはご飯を食べたかどうか聞かれるほど。
そんな彼らはいつもお菓子やスナックを持ち歩き、「おなかがすいた」状態にならないようにに延々と食べ続けています。
家族の絆が強く食事も大人数で食べるのに、そこは無言の会食であり、食欲が満たされたらやっと話し始めるその姿は、私が驚いたインドネシアでのカルチャーショックの一つなんです。
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