アース ミュージック&エコロジーの経営が成功を続ける理由
宮崎あおいさんのCMが話題となった、レディースファッションブランド「アース ミュージック&エコロジー」。
このブランドを手がけている会社が、今、アパレル業界で快進撃を続けているクロスカンパニーです。
ここでは、そのクロスカンパニーの石川康晴社長のインタビューを元に、同社とアース ミュージック&エコロジーの成長の秘密を探ります。
【参考記事】
・狙うは1兆円。ユニクロ追う、43歳社長の野望
・全員正社員!女子95%で成長する秘訣
*2記事とも、東洋経済オンラインによるインタビュー
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全員正社員&女性が94%
クロスカンパニーの特徴としてよく語られるのが「社員が全員正社員」「女性が94%」ということです。
この数字には、代表の石川康晴社長の理念がよく現れています。
■「全員正社員」の理由
石川社長が駆け出しの経営者だった頃、先輩の経営者の方々にいろいろアドバイスを求めたそうです。
その時にすべての経営者が言ったのは「人は調整弁だ。いつでも切れるようにしておけ」ということでした。
これを聞いた石川社長は、「そんな考えをしているから、日本の小売業界がどんどん弱っていく」と考え、「正社員という概念を、倒産の瞬間まで貫く」と決意したそうです。
そして、創業2年目出発の社員を雇ってから、これまで全員正社員で雇用して、今は社員数は3000人に達しています。
20年間雇い続けた「正社員」の方々が豊かな土壌となり、今のクロスカンパニーの快進撃を支えているわけです。
■女性が94%の理由
これはシンプルで、「お客さんのほとんどが女性」(98%)だからです。
単純に「社内をお客さんの目線で満たすため」に、社員のほとんどを女性にしているということです。
特にクロスカンパニーのようなアパレル業の会社の場合、仕事のほとんどが「B to C(企業-顧客)」なので、「B to B(企業-企業)」の会社と比べ、「顧客目線」が何よりも重要なわけです。
そうした顧客目線を社内に持ち込むため、女性の社員さんを多く雇っているということです。
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当初「失敗」と言われても成功した、二度の先読み投資
クロスカンパニーは02年と06年頃に、2度の「先読み投資」を成功させています。内容は下のようなものです。
・02年頃
→JRの投資動向を見て「これから駅ビルが来る」と判断し、駅ビルの一等地に続々と出店する
・06年頃
→「街づくり3法」(06年に改正)を契機とし、郊外型ショッピングセンターに流れが来ると予測。先駆けて出店する。
これらの先読み投資はどちらも当初、業界から「失策」と言われたそうです。
しかし見事に両方成功し、クロスカンパニーとアース ミュージック&エコロジーを現在の地位に高める大きなきっかけとなりました。
「広告は女性誌のみ」の常識を打ち破る
さらにクロスカンパニーは2010年にも業界の常識を打ち破ります。
これまで女性向けのアパレルショップの広告は「女性誌にしか出さない」というのが常識でした。
どうせ買うのは女性だけで、しかもファッションに敏感な人だけだから、女性誌を見る層だけでいい、というわけです。
確かにテレビを見るのは老若男女のあらゆる層で、そこにはアース ミュージック&エコロジーにはまったく関心のない人々もたくさんいます。
これまで、女性向けのアパレルショップがテレビCMを打ち出さなかったのも、当然といえば当然かも知れません。
しかし、クロスカンパニーはテレビCMに12億円も投資しました。
ただテレビCMを流すだけではなく、SNSも絡める「クロスメディア」の手法でしたが、これは見事に成功します。
宮崎あおいさん出演のCMは多くの女性に好感を持って受け入れられ、店舗の売上は前年比で140%まで伸びました。
■CM戦略も、成功率は低かった
上に書いた先読み投資と同じく、この時のCM戦略も、同業他社から「マスにCMしてどうする」と言われ、失敗すると思われていました。
実際、クロスカンパニー自身が独自でした調査でも成功確率は5割と出ており、成功するかどうかは同社にもわからない状態でした。
しかし、代表の石川氏はこの5割という数字を見て「負け戦ではない」と判断し、CMを打つことを決断しました。
そして見事に成功したわけですが、この「負け戦でないならいい」という発想は、何かにチャレンジする時、ぜひ意識したいと思いました。
つまり「毎回勝たなくてもいい」ということです。(もちろん、ある程度勝たないとダメですが)
クロスカンパニーとアース ミュージック&エコロジーの成長の秘訣は、まだまだこれだけではないのですが、主だった部分を紹介させていただきました。
アパレルビジネス以外でも通じる話が多いので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
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