バスケ家庭教師ビジネスのライバルはwiiとディズニーだった?
スポーツビジネスの中でも特にユニークな個性を放っている「バスケの家庭教師」。
第1回はその起業のきっかけと苦労、第2回はビジョンについて紹介させていただきました。
第3回の今回は、具体的な指導のポイント、苦労、競合となるビジネスは何か、という話をします。
具体的な指導のポイント・テクニック
前回の記事で紹介した通り、この会社の代表・鈴木さんが何より重視しているのは「情熱」です。
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しかし、情熱だけの指導ではこのような新しいビジネスを軌道に乗せることはできなかったでしょう。これを軌道に乗せるには、細かいテクニックもいろいろ必要だったと言います。
■あえて「全日本」のジャージを着ていく
鈴木さんは昔、全日本のイベントに関わったことがあるので、その時にもらった「JAPAN」のジャージを持っています。そして、初めて指導する子供たちの前では、あえてそれを着ていくことも多いそうです。
そうすると「全日本だ!スゲー」となり、子供のウケが大変いいわけですね。鈴木さん自身が全日本の選手だったわけではなくても、それに近い「錯覚」を与えることができるわけです。
「錯覚」などと書くとまるで騙しているようですが、そうではありません。同じ「100点レベル」の指導をしたとしても、子供たちがコーチを信頼していれば、その効果は100点を超えて、120点にも150点にもなります。
当然その方が子供も成長できるわけですから、これは何より子供たちのためになるわけです。
ブランディングは自己顕示でなく、顧客のためにする
ブランディングというと、とかく「弱いものを強く見せる」という詐術と勘違いされがちです。
(実際、そういう使われ方をされることもたまにあります)
しかし、本来は鈴木さんがされたように「顧客がよりいい気持ちでそのサービスを買えるように」するものなんですね。
ある有名な女性営業マンは、マンションなどを売った後もお客さんの部屋(売ったマンション)を訪れて、こう声をかけているそうです。
「やっぱり、ここからの景色はすごくいいですね。本当にいい部屋だなと思います」
私のセンスだとこの程度の言葉になってしまいますが、もっとセンスのいい言葉で「相手がいかにいい買い物をしたか」ということを伝えるわけです。
それで、同じように3000万の買い物をしたお客さんも、その価値を3500万や4000万にも感じてくれるということです。
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人間は買い物をした後、「ムダな買い物じゃなかっただろうか」と少しは後悔しているものです。その気持ちを打ち消して、安心させてあげるというのは、自社のためでもありますが、何よりお客さんのためになるのです。
そういう「ブランディングの本質」は、鈴木さんの「JAPAN」のジャージにもさりげなく現れていると言えます。
練習開始時に、高度なドリブルを見せる
いわゆる「格好つけ」のプレーを、小中学校のコーチは否定することが多いです。しかし、小中とバスケ部だった自分の経験からいうと、子供は格好つけの技が大好きです。
スラムダンクに登場する「ダブルクラッチ」とか「スピンムーブ」みたいな技を、レイアップ(一番基本のシュート)もできないのに、みんな真似していたものです。
真似するだけで全然できないわけですが、それを実際にできるお兄さんを見たら「おお!」と思うわけですね。そして、上に書いたJAPANのジャージと同じく「この人に教わりたい」と思ってもらえるわけです。
その状態で指導すれば、子供たちはさらにうまくなり、子供も親御さんも喜ばせることができます。
「格好つけ」の技は確かに実戦ではなかなか使えないものですが、実戦で使える「基礎」を楽しく覚えてもらうためにも、こういう「格好つけ」は大事なんですね。
ちなみに、このドリブルやハンドリングが「フリースタイルバスケ」だったら、もう最強だろうなと思います。
(フリースタイルバスケについてはこちらの記事でも紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。↓)
ライバル視しているのは?
「バスケの家庭教師」というビジネスなので、ライバルは「体育の家庭教師」とか「サッカー教室」かと思いきや、そうではないそうです。鈴木さんがライバルとされているのは「Wiiやディズニーランド」ということです。
これは若い起業家にありがちな「とにかくビッグなことを言う」のとは違います。鈴木さんが言われているのは、「親御さんのお金の使い方」です。
つまり、5000円があった時、それをディズニーの入場券に使うか、Wiiのソフトに使うか、あるいはバスケの家庭教師に使うか、という選択肢の中に入りたいということです。
今では、このビジネスは「バスケをしている子供たち&その親」にしか届いていません。この認知度をもっと拡大させて、「スポーツの家庭教師をつける」ということを、子供への投資の選択肢の一つとして、定着させたいということです。
学習塾やピアノ、水泳はすでにそうなっているわけですが、そのレベルを目指すということですね。
今後「バスケの家庭教師」がどのようになるかは未知数ですが、日本人をより健康にするためにも、子供の頃から運動習慣を身につけてもらうというのはとても価値があることです。
今後もこうした事業がたくさん生まれて、成長していくことを願います。
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