『人と人をつなぐビジネス』の本質 ~Facebookの成功に学ぶ~
「人と人をつなぐこと」で成功したビジネスの代表例は、FacebookやTwitterを始めとするSNSでしょう。
ここではFacebookの成功の理由を分析しつつ、「人と人をつなぐ」ビジネスの本質について考えます。
ネットで「顔が見える」ようにした
ネットを通して、人間はとてもつながりやすくなりました。昔だったら埋もれていたマニアックな情報も、サイトで発表することによって、メディアに注目してもらえるようになりました。
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また、同じ趣味を持つ仲間同士で交流することもしやすくなりました。しかし、そうして出会いやすくなった反面「相手の顔が見えない」という問題もありました。
対面だと出会いにくくて面倒くさい代わりに「相手がどういう人かわかりやすい」というメリットがあります。
そもそも出会う時点で「誰かの紹介」か「同じ組織(か近い組織)に属している」などの共通点があるので、「大体どういう人かわかる」状態で出会えるわけです。
また、外見も含めた「リアルな印象」もその場でわかります。このように、面倒臭くても対面の出会いでないと得られない情報はたくさんあるわけです。
しかし、こうした情報をもし「ネットにも持ち込む」ことができたら、人間はさらに出会いやすくなるわけですね。それをハーバード時代、学内の学生限定でザッカーバーグが始めたのが「Facebook」だったのです。
人生そのものを語れる「名刺」が誕生した
Facebookは、その人の人生そのものを伝えることができる「名刺」です。もちろん、これを活用していないと自分の人生が伝えられないわけではありません。
しかし、フリーランスの方など特に人脈を必要とする方にとっては格好のツールなんですね。Facebookの登場前も、自らのサイトを名刺代わりにすることはできました。
たとえばイラストレーターの方であれば、過去に自分が関わった書籍などを一覧にする、というようなものですね。
これでもそれなりの効果はあるのですが、「その人のキャラクター」までは伝わりにくいです。
たくさん日記を書いて伝えるということも可能ですが、人間のキャラクターを判断するのに一番わかりやすいのは「どんな人達と、どんな風に付き合っているか」です。
「その人を判断するには、その人の友人を見よ」という格言もありますが、人間関係はその人の人生を象徴しているのです。
(人と関わらず個人技で生きる天才、というケースもありますが、それはそれで、やはりその人生を表しています)
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こうして、作品だけではなく人間性の部分まで初対面の人に伝えることができる。これによって「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる度合いが強くなり、新しいチャンスにつながるというわけです。
(人によっては逆にマイナスになるかも知れませんが。マイナスになるタイプの人は、そもそもFacebookをやっていないでしょう)
このように「新しい名刺」としての機能は、Facebookの存在価値で特に大きなものです。昔から人と人をつなぐビジネスの現場で欠かせなかった「名刺」は、「らせん階段の理論」のように「別の形」で再登場したと言っていいでしょう。
世界史すら変えてしまったツール
ここまでしてきた説明だと「人々がもっと人脈を作りやすくするツールを創ろう」というような小さな存在価値に見えてしまうかも知れません。
しかし、ザッカーバーグが考えていたのはそんな小さなことではなく「世界を変える」ということでした。Facebookがまだ小さかった頃から現在まで、これは彼の中で一貫しているポリシーです。
事実、まだ小さかったFacebookを巨額で買収しようとした企業は多くありました。
しかし、ザッカーバーグは「いくら積まれても売る気はない」と断り、広告の掲載についても「載せるとユーザーが使いにくくなる」という理由で、よほどのことがない限りは載せませんでした。
このような普通のベンチャーではあり得ない行動を撮り続けたのも、ひとえに「世界を変える」という壮大な理想のためです。
日本のベンチャーでこういうことを言うと「もっと地に足のついた目標を」と批判されることが多いのですが、アメリカのベンチャーではむしろこうでないと、資金も人も集まらないのです。
実際、2011年のエジプト革命(ジャスミン革命)は、フェイスブックやツイッターで人々がつながったことによって起こりました。
ザッカーバーグが初期から唱えていた「世界を変える」は現実となり、世界史の教科書に残る革命すら起こしてしまったわけです。
「人と人をつなぐビジネス」というのは、「パーティーに出てどんどん知り合いを作る」ということではありません。
Facebookのように実際に何かしらの「ツール」を開発したり、理想を言うならザッカーバーグのように「何のためにつなぐのか」という理想も高く持つ必要があります。
「人と人をつなぐ」を仕事にするために、ぜひ意識したいことですね。
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