「レンタル彼女」ってどんなビジネス?~1時間のデートで5000円
2013年の11月に「有吉ジャポン」で放送され、話題になった「レンタル彼女」。
ここではそのサービスの概要と、こうした代行ビジネスの将来について書きます。
レンタル彼女の概要
名前で想像できる通り「お金を払ってデートする」というものです。
これだけ聞くと「デートクラブ」と同じビジネスだと思う人もいるかも知れませんが、あちらは性行為を伴うのが基本です。それなしで「デートだけする」というのが「レンタル彼女」です。
料金は1時間5000円が相場。食事代や遊園地の料金などもすべて男性が持ちます。「有吉ジャポン」で放送されていたケースでは、「3時間で33000円」と結構な出費でした。
働いている女性は、どれだけ稼げるのか?
放送によれば「月収30万~40万」ということです。
もちろん、どれだけ「シフト」に入るかにもよりますし、デートでおごってもらっている豪華な食事の料金や、ディズニーランドの入場料などを考えると、実際はもっと実際の収入以上のメリットがあるのかも知れません。
風俗業ではなくデートをするだけで30万~40万というとかなり美味しく聞こえます。
ただ、このあたりは番組を盛り上げようとして「一番いい数字」をだしているはずですし、現実的にはもう少し控えめに考えた方がいいかも知れません。
■風俗業ですら稼げない時代
不況が続く今の時代は、かつては稼げる職業の代名詞だった風俗業ですらまともに稼げなくなっています。
「風俗だけで生活できない」という理由で普通のバイトも掛け持つ女性がいるなど、一昔では考えられなかった現象が起きています。
最近はテクノロジーの進化により一人の優秀な人間が多くの仕事をこなし、誰でもできるような単純労働はどんどん機械や途上国の人々にとって変わられているので、オンリーワンの能力がない人には、なかなか仕事が回ってこないのです。
こうして女性がなかなか食えないという現象が、風俗業界にまで飛び火しているわけです。
一方でお客となる男性はやはり多くが仕事をなくしたり、お給料が下がったりして風俗に通えなくなっているので、この業界は今、過去最高の不況に陥っているのです。
(そして、これはおそらく今後も続く不況です)
こういう状況の中、レンタル彼女の仕事をしている女性だけがそんなに稼げるというのは考えにくいことです。
モデル級にルックスがいい女性なら最初の指名もどんどん獲れるでしょうし、会話が上手ければリピーターもつくでしょうが、そういう女性も30万円がやっとというところでしょう。
もちろん、それだけでも今の時代、十分御の字かも知れませんが…。
人々の反応は?
ネット上の反応を見ていると「怖い」とか「悲しい」というものが多いです。「利用する男性も悲しいし、これで稼いでいる女性も怖い」というものです。
特に有吉ジャポンでは最後に女性が「3時間デートしたので、33000円です」といって料金を請求する場面があったのですが、特にこれが「怖さ」に拍車をかけたようです。
これは会社にもよると思いますが、女性に直接払うのではなく、会社に対して後日(あるいは事前)に振り込むという形も選べるのではないかと思います。
(少なくとも、リピーターを獲得することを考えたら、会社側は絶対にそうした方がいいはずです。事前に振り込んでもらうならとりっぱぐれもないはずですし)
番組ではああして請求する場面があった方が面白いので、あえてそうしたのではないかと思います。
(もしくは、その会社が最初から「直接女性に払う」というシステムしかなかったか)
「代行ビジネス」の将来は?
今はレンタル彼女に限らず、あらゆる「代行ビジネス」が流行しています。
「レンタル彼氏」などというのもありますし、墓参り代行、犬の散歩代行、引きこもり男性を社会復帰させるための「レンタルお姉さん」など、戦後の人々からしたら「カオス」としか思えないほどの新種のビジネスが登場しています。
私個人はこういう新しい試みは好きです。
「こういうビジネスをやってこういう結果になった」というモデルケースは多ければ多いほど他のビジネスでも参考になるので、結果的に社会の役に立つことになるからです。
(需要も実際あるわけですし)
ただ同時に「それをお金で買いますか?」とマイケル・サンデル教授が、同タイトルの著書で問いかけたように、「本当にそれでいいのか?」ということも考える必要があります。
これはこうしたビジネスを否定するのではなく、発展させるためにも考える必要があるからです。
今は廃れてしまった人為的なSEOもそうなのですが、「人としておかしい」「社会を間違った方向に導いている」というビジネスは、一時期に稼げても結局長くは続かないからです。
なので、自分がレンタル彼女のような代行ビジネスを立ち上げるとしたら、キレイ事ではなく「それをお金で買いますか?」という問いかけを、徹底的にしてみたいと思います。
(モラルのためではなく、利益のために)