風邪をひいたほうが体にいい?~風邪をひかない人は大病をする!?
私たちは風邪をひくと、すぐに風邪薬を飲んで症状を撃退しようとします。
しかし整体や鍼灸などの世界では「むしろ風邪は時々ひいたほうがいい」という考え方があるのをご存知ですか?
もちろんこじらせてしまうのは良くありませんが、風邪を「デトックス」として活用するのも実は健康にいいかもしれません。
風邪は、体を大掃除できる最高のチャンスだった!?
つい悪者にされがちな風邪を「いいもの」として紹介した人に、「野口整体」で知られる野口晴哉(はるちか)氏がいます。
スポンサーリンク
「風邪の効用」という書籍に詳しく書かれていますので、興味のある方はぜひ一読をおすすめします。
実際この説を支持する整体師や鍼灸師は多く、彼らは風邪をひいたらむしろチャンスととらえるようです。
咳や鼻水を通して、体内に溜まった老廃物を一気に追い出せる。
硬直していた筋肉がゆるみ、骨格のゆがみが強制される…だから風邪薬などで症状を抑え込むのはもったいない、むしろ自然に任せて経過させるべきだ、というのです。
その証拠として、自然に風邪を経過させた人の体は、風邪をひく前よりもスッキリしていることが多いといわれます。
風邪の症状は、その人のもっとも弱いところに強く出るため、デトックスの邪魔をしないほうがうまく体が整うらしいのです。
風邪をひいたら早めに薬を飲むよう教えられてきた私たちには、かなり意外な話だといえるでしょう。
風邪をひかない人=丈夫とは限らない!
さらに整体の世界では、「めったに風邪をひかない人ほど、大病をしやすい」ともいわれます。
前述の野口晴哉氏によると、「がんや脳溢血にかかった人を見ると、普段なかなか風邪をひかない人が多い」とのことです。
逆に元気で長生きしている人ほど、しょっちゅう風邪をひいているのだとか…。
たとえば子どもが風邪をひきやすいことは、多くのお母さんが実感していると思います。
それは整体の観点から考えれば「子どもの体は敏感」であり、また「大人より体が小さい分、こまめに毒を出す必要がある」からだと考えられるのです。
しかしすっかり体が鈍くなってしまった大人は、風邪をひくべき時にもひけなくなっている人が大勢いるといわれます。
その結果、毒を排出するチャンスを失ってしまい、ある時急に大病をするとのことです。
ただしそこには、「風邪をひかない人ほど病院にかかる機会が少ないから」という理由もあるかもしれません。
常にここが痛い、あっちが痛いと言っている人はそれだけ病院で検査を受けるチャンスが多いため、大病も発見しやすいといえるでしょう。
また風邪をひかない人の中には、本当に健康な人もいるといわれます。
この場合は体が鈍いのではなく、風邪による調節を必要としないほど体が整っているからだそうです。
スポンサーリンク
「症状=体の自然治癒力の表れ」という考え方
「そんな非科学的な」と思われる人もいるかもしれませんが、実際、風邪にはよく分かっていないこともたくさんあります。
そもそもウイルス感染によるさまざまな症状をまとめて「かぜ症候群」と呼んでいるのであり、特定の病名ではありません。
またウイルスの型が多種多様であることから、特効薬も発明されておらず、結局は体の自然治癒力によって治すものです。
私たちは風邪をひくとすぐに薬を飲みますが、それはあくまで症状を緩和させるためのものに過ぎません。
また熱や咳、鼻水などにはそれぞれ「出るべき理由」があり、むやみやたらに抑え込んでしまうのが良くないことは、西洋医学の医師も認識している事実です。
たとえば高熱はウイルスを死滅させるために、鼻水や咳はウイルスを外に追い出すために出るものです。
同じく目の敵にされがちな嘔吐や下痢も、「毒を出す」ための大切な症状なのです。
ですから健康な人であれば、それらの症状を無理に薬で止めるのではなく、なるべく体を温かくしてゆっくり過ごしながら自然経過させたほうが、スッキリ治るのは間違いないでしょう。
ただし風邪をこじらせて肺炎などを起こしてしまっては大変ですので、薬を使うべきタイミングを見極めることも大切です。
特に抵抗力の弱い乳幼児やお年寄り、持病などのある人には必ずしも自然経過はすすめられませんので、それぞれの体の状態に応じて適切なケアをおこなってください。
風邪を自然経過させるためのコツとは?
風邪を自然経過させるためのポイントをいくつかご紹介しましょう。
1.無理に食べない!
「風邪の時にはしっかり栄養をとらないとダメ」と言われ続けてきた私たちには、これも目からウロコですが、体調が悪い時には無理に食べないほうが治りは良くなります。
というのも食べ物の消化は、かなりのエネルギーを必要とするからです。
動物も具合が悪い時には何も食べず、ただじっと横になっています。
そのほうが体の自然治癒力が効率的に働けるからです。ただし水分はしっかりととりましょう。
2.熱めのお風呂に入る!
これも「風邪の時は風呂に入るな」と言われてきた常識をくつがえすものですが、野口整体などでは入浴を大いに推奨しています。
体調が悪い時にはお湯の適温が高くなるため、いつもより熱めのお風呂で短時間温まるのがいいようです。
ただし寝る直前の入浴は体を冷やすことから、良くないとされています。
また入浴は体力を消耗しますので、もともと体の弱い人にはおすすめできません。
3.風邪は治りかけが大事!
これはよく言われることです。野口整体によれば、風邪の治りかけの時、一時的に平熱より体温が低くなることがあるそうです。
この時に無理をしてしまうと、せっかくの自然経過が台無しになってしまうため、平熱に戻るまでは安静にしていましょう。
いずれの方法も、体調と相談しながらくれぐれも無理のないようおこなってください。
そもそも、もっとも良くないのは「風邪は一刻も早く治さないとダメ」という強迫観念すらある、せわしない今の日本社会なのかもしれませんね。
By 叶恵美
スポンサーリンク