子どもの急な発熱で救急受診するべきかどうかの見極め方
小さな子どもが40度近い発熱でうなされている時、このまま様子を見てもいいのか、救急受診するべきか悩むお母さんは多いと思います。
そんな時、体温計よりも大切な目安となるのは「様子がおかしい」というお母さんの勘です。
体温計の数値で決めるのではなく、全体的な様子を見て判断しましょう。ここでは、子供の急な発熱で救急受診すべきかどうかを見極める方法について詳しく解説しています。
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機嫌がよければ、基本的に家で様子を見てもOK
熱が高くても、基本的に子どもの機嫌がよく食欲もあるような時は、とりあえず家で様子を見てかまいません。特にまだ話せない赤ちゃんの場合、機嫌のよさが重要な目安となります。
たとえば通過儀礼のようにかかる「突発性発疹」などは、40度を越える高熱が出るわりに本人は元気なことが多いものです。
また熱とともに嘔吐や下痢をした場合も、その後ケロリとしていれば問題はありません。1つひとつの症状に惑わされず、あくまで子どもの全体的な様子を観ましょう。
ただし機嫌がよくても高熱が3日以上続くような場合は、念のため小児科を受診してください。
生後3カ月以内の高熱、水分もとれない場合はなるべく早めの受診を
発熱とともに、ひどく機嫌が悪くむずかっている時は、夜間や休日であってもタクシーや自家用車などで受診したほうが安心です。咳や嘔吐、下痢が止まらない場合も救急受診しましょう。特にぐったりしている場合は、早めの受診が肝心です。
また生後1ヶ月~3カ月の赤ちゃんの発熱は、早めに診てもらうことをおすすめします。これくらいの赤ちゃんはお母さんからの免疫が残っており、感染症などで熱を出す可能性は低いだけに、発熱は異常事態と考えたほうがいいでしょう。38度以上の熱がある場合は、なるべく早急に受診するようにしてください。
他に救急受診したほうがいいケースとしては、水分もとれず脱水症の危険性がある場合です。赤ちゃんの場合は尿の回数の減りなどから判断します。
その他、お母さんから見て「全身状態が良くない」と思われる場合は、念のため受診したほうが安心です。
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意識障害のある場合は、ためらわず救急車を呼ぼう
頻度は高くないものの、中には一刻も早く救急車を呼んだほうがいい場合もあります。
子どもの意識がない、もしくはもうろうとしている時、嘔吐や下痢が止まらず明らかに尋常ではないと思われる時、また聞いたこともないような甲高い声で泣き続ける時などです。
こういった場合も、もっとも頼りになるのはいつも子どもを見ているお母さんの直感になります。「明らかに普通ではない」と思われる場合は、救急車を呼ぶことを考えたほうがいいでしょう。
救急車を呼ぶべきかどうか判断に迷った時は、「♯8000」で小児科医や看護師が相談に乗ってくれます。自治体によって朝まで対応しているところと夜中までのところがありますので、事前に調べてメモしたものを冷蔵庫などに貼っておきましょう。
何より大切なのはお母さんがパニックにならず、落ち着いて行動することです。そして本当に必要と思われる時には、ためらわず救急車の出動をお願いしてください。
熱性けいれんは、落ち着いて5分間様子を見て
子どもの中には、高熱で「熱性けいれん」を起こす子もいます。日本人はわりと確率が高く、100人に1人といわれています。
我が子が突然、白目をむいてブルブルと震え始めたら、どんなお母さんもびっくりしてしまうと思います。しかし多くは5分以内に収まりますので、まずは慌てず時計を見ながら経過を観察してください。
まれに嘔吐して喉に詰まってしまう場合があるため、顔を横向きにしてあげましょう。
もし5分過ぎてもけいれんが続く場合は、ためらわずに救急車を呼びます。またけいれんが収まった後、意識状態がいつもと異なる場合も念のため救急受診したほうが安心です。
中には高熱のたびにけいれんを繰り返す体質の子もいますので、予防のための座薬などをもらっておきましょう。どうしても1回目は救急車を呼ぶお母さんが多いと思いますが、2回目以降は様子をしっかり見た上で、特に問題がなければ翌日の受診で問題ありません。
命に関わる「脳炎」と「髄膜炎」の可能性を見極めよう
子どもの発熱でもっとも注意すべきなのは、脳炎と髄膜炎です。細菌やウイルスが脳の中に入り込んで炎症を起こした状態で、 治療が遅れると命を落としたり、後遺症が残ったりする危険性があります。
多くは高熱とともに、頭痛や嘔吐、けいれん、意識障害などが見られます。また首がこわばり、曲げられなくなるのも特徴です。
ただし小児科医でも最初に診断をつけるのは難しい病気ですから、やはりいつも子どもを見ているお母さんの勘が頼りになります。いつもと様子がおかしいと感じた時には、ぜひ医師に訴えて検査を受けましょう。細菌性の髄膜炎の場合は、早めに抗生物質を投与することが重要です。
ちなみに意識障害を見分ける方法としては、視線が合うかどうか確かめる、名前を呼びかけて反応を確認する、皮膚をつねってみる、などがあります。いずれにも反応が薄い場合は、すぐに救急受診するか、救急車を呼びましょう。
髄膜炎を引き起こす細菌の中でも、特に多かった「ヒブ」と「肺炎球菌」に関しては、平成25年から日本でもワクチンが定期接種となりました。髄膜炎を予防するためにも、かならず受けるようにしてください。
By 叶恵美
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