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食道がんは喫煙と飲酒の習慣のある男性に高リスク!~有名人も急増中

2014.04.28

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ミュージシャンの桑田佳祐さんや、指揮者の小澤征爾さんらが罹患したことが話題になった「食道がん」。お2人は治療の末に復帰されていますが、歌舞伎役者の中村勘三郎さんやシンガーソングライターのやしきたかじんさんは、残念ながら食道がんで命を落とされています。

顔ぶれからも分かる通り、食道がんは50代以上の男性に多いがんです。特に喫煙と飲酒の習慣がある男性は高リスクですので、ぜひ生活習慣の改善と定期検診を心がけましょう。

飲酒と喫煙は、食道がんの2大リスクファクター!

煙草をくわえてビールを持つ犬
食道がんは性差が大きいがんの1つで、男女比は6:1といわれています。がん全体から見ればそれほど多くはないものの、進行が早く発見が遅れがちであることから油断できない病気です。

実際、年間の罹患者数が約2万人であるのに対し、死亡者数は1万人を越えていることからも、死亡率の高さが見て取れます。

食道がんが圧倒的に男性に多い理由としては、飲酒率と喫煙率の高さが関わっていると考えられます。これら2つは、今のところ「食道がんのリスクを確実に上げる」ことが分かっている生活習慣です。

特に日本人の食道がんの9割以上を占める「扁平上皮がん」は、食道の粘膜から発生します。食道壁のもっとも内側にある粘膜は、口から入ったものが直接触れる部分ですので、それだけアルコールやタバコの煙の影響をダイレクトに受けてしまうのです。

「お酒に弱い体質」の人ほど、食道がんのハイリスク群

ちなみにお酒に関しては、「飲むとすぐに顔が赤くなる人」ほど高リスクであることが分かっています。これはアルコールを分解・代謝するための酵素が体質的に少ないためです。

お酒を飲むと、まずアルコールが「アセトアルデヒド」という有害物質に変えられます。いわゆる「二日酔い」の原因として知られる物質です。このままではいけないため、さらにアセトアルデヒドを無害な「酢酸」へと変える酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)が必要になるのですが、その量は生まれながらにして決まっています。

特に日本人は、欧米人と比べてアセトアルデヒドを分解するための酵素が少ないことで知られています。

そのような人が無理にお酒を飲み続けてしまうと、それだけ有害物質が長く残留してしまいますので、発がんのリスクが高まります。中でも食道はアルコールが直接触れる器官ですから、発症リスクはなお上昇します。

「昔はすぐ顔が赤くなったけど、今はそうでもない」という人も、実は体が慣れてしまっただけで酵素の量そのものは変わっていないため要注意です。

このような体質の人に喫煙の習慣も加わると、食道がんのリスクはさらにはね上がります。その確率はお酒もタバコもやらない人に比べ、なんと100倍以上ともいわれるほどです。

食道がん予防のためには、何はなくともまず喫煙、そして自分の体質に合った「適正飲酒量」を守ることが大切です。ちなみに自宅でアセトアルデヒド脱水素酵素の量を調べられる検査(アルコール感受性遺伝子検査)のキットも売られていますので、お酒を飲む方は1度調べてみるといいかもしれません。

食道がんは発見が遅れると治療が大がかりに

食道がんは、初期症状は非常に少ないことでも知られます。粘膜が荒れることで、熱いものや酸っぱいものを飲み込んだ時に「喉のしみる感じ」が出やすくなりますが、この程度ではただの風邪と勘違いされても仕方ありません。

多くの人は、さらにがんが進行して食道の内腔が狭くなり、食べ物を飲み込みにくくなってから、ようやく「おかしい」と思い受診します。

しかし食道はリンパ管が豊富に通っている上、周りに肺や気管、大動脈などの重要な組織がたくさん存在しているため、早い段階から転移を起こしやすいがんです。

早期発見できれば、今では内視鏡を使って病変を切除するシンプルな治療を受けられますが、リンパ節などに転移している場合は大がかりな手術となり、患者さんの体力も大きく奪われてしまいます。

実際、食道がんの予後が悪い原因の1つは手術の大変さにあるほどです。たとえば歌舞伎役者の中村勘三郎さんは手術できたまではいいものの、その後、肺に異物が入ってしまったことで肺炎になり、それが致命傷となりました。
食道は消化器でありながら胸部に位置するため、呼吸器の合併症は非常に多く見られます。

定期的な内視鏡検査で、食道がんの早期発見を!

内視鏡検査を受けている男性
食道がんを早期発見するためには、症状が出てからでは基本的に間に合いません。特に喫煙と飲酒の習慣がある50代以上の男性は、ぜひ年に1度、検査を受けるようにしましょう。

食道がんの診断方法としてもっとも確実なのは、内視鏡検査(胃カメラ)です。小型カメラのついたファイバースコープを口もしくは鼻から挿入し、内側から直接、粘膜の状態を確認します。その時ヨード液を食道にまくと、異常のある組織だけが染まらないため、目で見えにくい食道がんも発見できます。

胃がんや胃潰瘍のチェックと合わせて、ぜひ定期的に受けたい検査です。

内視鏡検査は、残念ながら職場や自治体で実施するがん検診には含まれていませんので、人間ドックなどで受ける必要があります。現在、音楽活動に復帰されている桑田佳祐さんや小澤征爾さんは、まさに定期検診や人間ドックで食道がんを早期に発見できたとのことです。

「無症状のうちに検査を受ける」ことが、食道がんの完治につながります。

By 叶恵美

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