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日本の歯科医院ちょっと多すぎませんか?~本当に経営は大丈夫?

2014.04.29

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日本全国、どこを歩いても必ずといっていいほど見かけるのが「歯科医院」。その数およそ7万軒にも及び、今やコンビニ店舗数の1.5倍にも膨れ上がっています。

一体なぜそんなに歯科が増えたのか?こんな状況で本当に儲かっているのか?など、患者側が気になる色々についてまとめてみました。

日本に歯科医院が増えた理由=歯科医が増えたから

2010年のデータによれば、日本全国の歯科医院は68,167軒。現在も、ぞくぞくと新たな歯科医院がオープンしています。

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歯科医の数を見ると、1990年の時点では約74,000人でしたが、2006年には97,000人にまで増加。現在は10万人を突破しているとのことです。

その理由は、単純に「歯科大学卒業者の多さ」にあります。もともと歯科医を養成する大学は全国でも少なかったのですが、年々増え、現在では国公立・私立合わせて約30校となっています。

一方で患者数が増えているわけではないため、需要と供給のバランスが崩れるのは当然のことです。しかし歯学部には私立大学が多いことから、定員数の削減は大学存続の危機につながり、なかなか実現することができません。

実際、国公立の歯学部の定員は12大学合わせておよそ500人であるのに対し、私大では17大学でおよそ2,500人にも及びます。

ちなみに現在では若者たちもこの状況に不安を覚え、私大の歯学部受験者は定員割れを起こしているところです。

歯科医になるにはお金がかかる!?

歯科医の治療器具
ちなみに歯科医になるためには、大学の歯学部(6年制)を卒業した後、「歯科医師国家試験」に合格しなければいけません。大学を出ただけでは「学士」に過ぎないのです。

近年、歯科医の激増が問題になっていることから、試験の合格率はかなり低くなっています。問題の難易度も増し、2014年に実施された試験では63.3パーセントと史上もっとも低い合格率でした。

たとえば私立大学で6年間も勉強するとなると、学費は総額で最低でも4,000万はかかります。つまりこれだけのお金を払って勉強したのに、試験に落ちればただのフリーターになってしまうという、非常にシビアな世界です。

不合格になった人は、専門の予備校に通ったり大学の研究生になったりして、ひたすら勉強し、とにかく試験を受け続けることになります。それらの費用も含めると、歯科医になるにはかなりのお金がかかるといえるでしょう。

「歯科医=儲かる」のは過去の話!?

そうして見事、歯科医の免許を取得しても、待ち受けているのは厳しい競争社会です。

最初の数年間は、研修医としてどこかの医院に勤めることになりますが、この間の年収は普通のサラリーマンとさほど変わらないとされています。その後、一念発起して開業しても、コンビニより多い歯科医院です。

経営状態が悪化し、廃業に追い込まれる医院も年々増え、東京都内では「1日1軒」のペースで歯科医院がつぶれているともいわれるほどです。

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そのため夜間や休日の診療を「売り」にする、スタッフの数を最小限にするなど、各医院には経営努力が求められています。

そんな歯科医の気になる収入ですが、日本では保険診療が充実しているために、1日最低でも30人の患者を集めないと赤字になるといわれています。厚生労働省の調査によれば、歯科医の平均年収はおよそ730万円ですが、4人に1人は年収200万以下とのことです。

また、たとえ1,000万近くを稼いだとしても、それ以前に高額な授業料や開業資金がかかっているため、投資額を回収できるかと考えると怪しいでしょう。

さらに賃料やら人件費やらを支払えば、実際の実入りは普通のサラリーマンと変わらない、もしくはそれ以下という歯科医も決して少なくないようです。

そんな苦しい経営状況の中、歯科医にとってありがたいのが「自由診療」です。たとえばセラミックのクラウンやインプラントなど、保険が利かない治療は各医院が自由に料金を設定できますので、実入りも多くなります。

そう考えると、矯正歯科や審美歯科などの「自由診療を専門とする歯科」は、数ある歯科医院の中でもセレブの領域です。もちろんそれだけの腕と、集客能力、またカウンセリング能力なども必要になってきますが、こういった歯科では1日数人の患者さんを診るだけで年収1,000万を越えることも珍しくありません。

歯科医を救うためには、私たちの「歯の予防」も大切!

歯を磨く女性
こうして見ると、歯科医はなるまでが大変、なってからも大変な職業であることがうかがえます。まだまだ世間に残っているバブリーなイメージは、ほんの一部のセレブ歯科に限られた話だといえそうです。

ちなみに「歯科が増える=患者にとっては選択の幅が広がる」というイメージがありますが、実はデメリットも考えられます。どの業界にもいえることですが、経営が厳しくなればなるほど「質より量」になるため、手抜き診療や衛生管理の不徹底といった問題も懸念されるのです。

今後は歯科大学の定員数の削減に加え、歯科の診療報酬の見直しなど、さまざまな面での改善が求められていくことになるでしょう。そのためには、実は私たち患者側も「歯の予防意識」を高める必要があります。

日本ではどうしても「虫歯になってから、やっと歯医者へ行く」人が多いため、保険でまかなわれる医療費も高くなりがちです。

悪くなってから削ったり埋めたりかぶせたりするのではなく、普段から正しいブラッシングや定期的な清掃などで歯をきれいに保つようにすれば、それだけ全体の医療費も下がり、歯科医の報酬見直しも進むことになるでしょう。

By 叶恵美

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