マスク選びで失敗しないコツ~ウイルスを99.9%カットはウソ!?
風邪や花粉症の対策として、多くの人が着用しているマスク。日本人のマスク着用率は世界の中でもかなり高いといわれていますが、実は「すべてのマスクにウイルスをカットする効果があるとは限らない」ことをご存知ですか?
マスクは目的によって賢く選び、使い分けるようにしましょう。
市販のマスクの「99.9パーセントカット」は…
スーパーでもコンビニでも簡単に手に入るマスク。その多くに「花粉やウイルスを99.9パーセントカット!」という文字が躍っているため、私たちは何の疑問も持たずに「これさえつけておけば安心」と思いがちです。
スポンサーリンク
しかし日本では、工事現場などで使われる「粉じん用」のものを除き、マスクに公的な基準はありません。ですから各社がそれぞれにおこなった試験の結果を、自由に広告文句としてうたうことができるのです。
実際、市販のマスクのウイルス透過率は、意外に高いという調査結果が色々なところで出ています。もともとウイルスは花粉よりサイズがずっと小さいため、薄手のマスクで完全に防御するのは難しいものです。
さらにマスクと顔の間の「隙間」も重要になってきます。どんなにマスク自体のフィルター機能が優れていても、鼻やアゴにできる隙間をぴったり埋めるべく努力している人は、意外に少ないのではないでしょうか?
ウイルスはそこから侵入してきますので、フィット感も非常に大切なのです。
作業現場で使われている「N95型」マスクが最強!
そんなウイルスを効果的にカットできるマスクに「N95型」があります。これはアメリカの「労働安全衛生所」が定める基準にのっとって作られたマスクで、ウイルスのような微粒子を95パーセント以上カットすることが可能です。
日本でも「新型インフルエンザ」が流行した際に、このマスクが一部で注目を集めました。
N95型マスクは、もともと作業現場用として用いられていましたが、ウイルスの感染防止効果も確認されたことから、現在では医療の現場でも活用されています。
日本にもN95とほぼ同じ機能を持つマスクとして、厚生労働省が基準を定める「DS2型」があります。N95型もしくはDS2型のマスクを正しく装着すれば、かなり高い確率で風邪やインフルエンザの飛沫感染を防ぐことができるのです。
そのためには、もちろん「フィット感」も重要です。N95型のようなマスクにはワイヤーが入っており、使う人に合わせて形を調節できるようになっています。さらにこういったマスクを使用する職業の人は、サイズ確認のため年に1回以上の「フィットテスト」をおこなうほか、装着のたびに空気の漏れを確認するチェックも実施しているのです。
本来、粉じんなどの有害物質をカットするために作られたマスクですから、これくらいのテストを徹底しなければ意味がありません。
N95型でもDS2型でも、正しく顔にフィットすることができれば、ウイルスはもちろん、昨今問題の「PM2.5」も高確率でカットすることができます。実際、中国の北京では、外出する際にN95型マスクを着用するよう市民に呼びかけているほどです。
スポンサーリンク
市販のマスクも、2枚重ねすれば効果は倍増!
とはいえ、花粉症やハウスダストから身を守るためには、市販のマスクで十分だといわれています。N95型のようなマスクが必要なのは、基本的に粉じんなどを吸い込む恐れのある作業現場で働く人や、現在の北京のように大気汚染が深刻化している場所に住む人、また至近距離で患者さんと接する一部の医療関係者くらいです。
というのも、N95型マスクは高性能ではあるものの、密閉性が高いだけに長時間つけていると息苦しくなってしまいます。また価格も数千円と高額ですし、見た目にも仰々しいことは間違いありません。
ですから厚生労働省も、風邪やインフルエンザを予防する目的では基本的に市販のマスクで十分だとしています。
「それでも、できるだけウイルスをカットしたい!」という人は、市販の不織布マスクを2枚重ねにして使うのがおすすめです。このほうがフィルターはさらに複雑になりますので、1枚で使うよりもカット効果は高くなります。もちろん顔にしっかりフィットするよう、なるべく調節することも大切です。
その上で、いざという時のためにN95型のような高性能マスクも常備しておき、新型インフルエンザが猛威をふるった場合などに活用できるといいでしょう。
ウイルス感染を防ぐなら、マスク以前に手洗いが基本!
ちなみにマスクの効用は、花粉やウイルスをカットすることだけではありません。ウイルスを完全にブロックすることは難しくても、喉をうるおすことで感染しにくくすることができます。
多くのウイルスは乾燥した空気で繁殖するため、湿気には弱いものです。マスクを通して呼吸すると空気が加湿されますので、のどがうるおい、ウイルスが入って来ても感染しにくくなります。
ですから市販のマスクでも、ある程度は風邪を予防できるということです。
そもそも、同じ空気を吸うだけで感染する「空気感染」型のウイルスは少なく、はしかや水ぼうそう、結核くらいしかありません。また、くしゃみや咳による「飛沫感染」も意外に少なく、むしろ手を介した「接触感染」が主な感染ルートとなっています。
ですから風邪やインフルエンザの感染を防ぐためには、何はなくとも手洗いが重要です。その上で、時と場所に応じてマスクを使い分けるようにしましょう。
By叶恵美
スポンサーリンク