風邪をひいたら温かくして汗をたくさんかくべき?~これ間違いです!
「風邪をひいた時は温かい格好をして汗をたくさんかきなさい」「入浴は熱が下がるまでダメ」…そう昔から教わってきたものですが、時代の変化とともに風邪の新常識は変わってきています。
昔ながらの方法を今も疑わずに実践している人は、ぜひ参考にしてみてください。
「温かくして寝る」のは逆に熱を上げてしまう!?
風邪の症状でもっともつらいのが高熱。「汗をかけばかくほど下がるから、しっかり着込んで布団にくるまってなさい」と親から言われ続けてきた私たちですが、実はその常識は日本だけのものだったようです。
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海外では逆に「発熱した時は、体の熱を逃がす」ことが常識であり、子どもにもなるべく涼しい格好をさせているとのこと。最近では日本でもこちらのほうが新常識となっています。
ただし熱は最初から上がりきるわけではありません。まだ上がり始めのころは悪寒がしますので、この段階では体を温かくしたほうがいいのです。そして熱が上がりきって手足が熱くなってきたら、今度は熱を逃がすようにしましょう。
高熱の時にまで温かい格好をしては、汗で水分が失われて脱水症状にもつながってしまいかねません。熱のステージを見極め、それに応じた温度対策をしてください。
「おでこの熱さまし」に、熱を下げる効果なし!?
発熱した子どものおでこにピッタリと貼られる熱さましのシート。また昔ながらの「氷のう」も、おでこに置くのが定番でしたが、頭の清涼感は得られるものの、実は解熱効果はほとんどありません。
それよりも「動脈」を冷やしたほうが効果的です。首やワキの下、足の付け根などがおすすめですので、どうせ冷やすならこちらのほうにしましょう。
また冷たすぎる氷枕は、後頭部を冷やしすぎてしまい、血管の収縮を引き起こす危険性があるため注意しましょう。頭痛や、最悪の場合は脳梗塞につながるリスクもあるといわれています。
目安としては「水:氷=7:3」の割合にして、キーンとするような温度にしないことが大切です。
よほどの高熱でない限り、入浴はかまわない!?
「風邪をひいた時はお風呂に入るな」…昔から言われ続けてきたことですが、これも日本独特の習慣だったようです。欧米ではむしろ風邪をひいたら入浴し、体を温めることが推奨されてきました。
とはいえ昔の日本人が間違っていたというわけではなく、生活様式が今とは異なっていたのです。昔の日本家屋ではお風呂場が外にあったり、そもそもお風呂がなく銭湯に通ったりしていたため、湯冷めの危険性が大きかったと考えられます。
しかし家の中でゆったりと入浴できる今、気をつければ湯冷めすることはありません。ですから少しくらいの熱であれば入浴して、体をリフレッシュさせても問題はないといわれています。
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ただしお風呂は体力を消耗しますので、熱いお湯に長時間入るのはよくありません。また38度以降の高熱がある場合も控えたほうが無難でしょう。
さらに湯冷めしないよう、寝しなの入浴は控えます。また体に水分が残っていると、蒸発する時に体温を奪ってしまいますので、タオルでしっかりと水分と汗をふきとってからパジャマを着るようにしましょう。
「早めの風邪薬」に効果なし!?解熱剤は熱が上がりきってから
薬のCMでも「早めの…」と宣伝されてきた日本では、ちょっと喉がイガイガした時点で風邪薬を飲む人が多いようです。しかしほとんどの風邪はウイルス感染が原因ですから、症状が出始めた頃には既に感染しており、その後の発熱などを食い止めることは基本的にできません。
風邪薬はあくまで症状を楽にするためのものですから、結局は自己治癒能力で克服するしかないのです。もちろんウイルス性の風邪に、抗生物質はまったく効きません。
また「解熱剤」の使い方にも気をつける必要があります。「温かくして寝る」の項で説明した通り、熱にはピークというものがあります。ここまで上がりきらないうちに解熱剤を使ってしまうと、むしろ熱が長引いてしまう可能性があるのです。
そもそも発熱は、体がウイルスを死滅させるためにおこなう自然な防御反応です。私たちの血液には「白血球」という頼もしい戦士がおり、これが外部から入ってきた異物をやっつけてくれます。白血球が増えれば増えるほど熱が上がり、免疫力が高まってウイルスを死滅させやすくなるのです。
ですからちょっと熱が上がったくらいで、むやみに解熱剤を使うのは風邪の治りを遅くしてしまいます。どちらにせよピークの体温まではいったん上げなければいけませんので、まだ悪寒がしているうちは薬を使わずに様子を見ましょう。この時点で解熱剤を使っても、あまり効果はありません。
熱が上がりきって手足が熱くなってきたら、解熱剤を使ってもいいでしょう。ただし体が熱を上げる必要があると判断した場合は、いったん薬で下がってもまた上がってきます。何度も体温を急激に変化させるのは体に良くありませんので、薬は1日のうち2~3回の使用にとどめることが大切です。
涼しい格好で体の熱を逃がし、ゆっくり休息をとれば、そのうち自然に熱は下がってきます。ただし何日間も続くようであれば肺炎などを起こしている可能性があるため、早めに受診するようにしてください。
By 叶恵美
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