認知症というのは病名ではありません。でもアルツハイマーは病名?
よく耳にする、ともに「認知」という言葉が使われている「認知症」と「認知行動療法」ですが、実はまったく別のものです。有名なアルツハイマー病などは「認知症」の中の症状のひとつです。分かりやすく説明しましょう。
認知症ではアルツハイマー型が日本では半数以上を占めています
まずは認知症ですが、じつはこの名前は病名ではありません。いろんな症状を引き起こすものを総じてこう呼ばれています。
スポンサーリンク
その原因となる病気は細かく分類すると数多くのものがあります。
ただその中で圧倒的に多いのはあなたもよく耳にするアルツハイマー病でしょう。以前は脳の血管障害などが多かったようですが、アルツハイマー型と呼ばれる認知症が多くなってきました。
もの忘れと認知症の違い
どうしても年齢とともに訪れる「もの忘れ」ですが、これは認知症ではありません。記憶力が少し低下してきただけで、病気だと心配するかも知れませんね。だからといって、すぐに「認知症では?」などと考えないでくださいね。
この二つには明確な違いがあります。最初は加齢によるもの忘れと区別が付きにくいかもしれませんが、簡単な区別方法があります。
人間の脳にある「記憶力」という機能
日常生活において、人は細かい過去の記憶を思い出すことはそれほどありません。パソコンでデータを圧縮して保存する作業をイメージしてみてください。あなたのパソコンにはきっとたくさんの情報が入っていますよね。
中には保存したことすら忘れているファイルだってあるかも知れません。それと同じで人間の脳には過去の記憶のほとんどがしまい込まれている、といわれています。
それでもほとんどの人は「ついさっき」体験したことは思い出すことができます。
たとえば昼に、その日の朝に何を食べたのか、それくらいは記憶しているものです。中には常に脳をフルパワーで回転させている方なら、ちょっと考えないと思い出さないかもしれませんね。それも意外にありがちなことです、心配はありません。
朝ごはんを食べたことを記憶できていれば大丈夫です。
ところが認知症の特徴は「記憶のすべてを」なくしてしまう点です。ようするに自分の体験がすべて消えてしまうわけです。
このケースで言えば、認知症の人であれば「朝ごはんを食べた」という、ついさっきの体験の記憶をすべて失ってしまいます。初期の頃はこの「記憶をなくした」という自覚はありますが、症状が進行すると「食べてない」と言い出すようになります。
高齢化社会が進む中で必要なものは家族のサポートです~早期発見と対応
どんな病気でも早期発見は、治療への最短距離となります。認知症も原因によっては治療が可能なケースもありますし、進行を遅らせる治療法も存在します。
まわりが少しでもおかしい、と思ったらすぐに医師に相談するようにしましょう。
少し気にかかるけど、と放置しておけば大変なことになってしまいます。毎日顔を合わせていると、微妙な変化には気が付きにくいものです。常にアンテナは立てておかないと、気が付けば三年経過していた、では手遅れになってしまいます。
いろいろなテストを行うことで、認知症の可能性をさぐることができます。たとえばこのような感じです。
・三つの関係ない物の名前を言って、あとで聞いてみる
・物を見せてから隠して、その名前を言ってもらう
・数字を逆から数える
このようなさまざまな簡単なテストで、チェックは可能ですがこれはあくまで「目安」にしかすぎません。またあくまで第三者に行ってもらうものですので、自分でやっても意味はありません。
スポンサーリンク
ただ家族のだれかが認知症の傾向が出そうな年齢にさしかかったら、いち早く可能性を疑って行動しても何の損もありません。
よく耳にする認知行動療法ってなんだろう
よく間違われますが、認知行動療法は認知症を治療するものとはまったく関係はありません。
そもそもこの療法はアメリカで生まれたものです。現在正式な資格認定を行っているのはAcademy of Cognitive Therapyというところで、日本では指導者の資格を持ったドクターはまだ限られています。
基本的にはセラピーですが、医学的な治療方法としてカバーする分野はとても広く
・重度のうつ病
・PTSD
・引きこもり
・パニック障害
・依存性、不眠、その他の障害
・ストレスやその他不安障害
とあげるとキリがないほどですね。ただ共通して言えるのは、より精神的なものをケアするという点です。
リラクゼーションなども取り入れられていますので、非常に有効的なメンタルセラピーだといえます。
▲日本では非常に多い心療内科の需要です。
日本における認知行動療法の現状
上記のような理由でまだまだ指導者となる有資格者が少ないのが現状です。
厚生労働省が認めるかたちで、この療法が保険点数で認められることになりました。それに伴い国が認めた研修センターも存在します。
しかしながら、国内においてもその資格認定のハードルは高く、多くの方がいつでも治療を受けられる体制はまだ整っていません。
ただ「学ぶこと」には資格は不要ですので、研修センターやその他の研修期間で勉強してそれを役立てることはできます。
日常の生活や仕事で、積極的に取り入れていきながら認知行動療法のメソッドを活かしていくことは可能です。
今後の国内での発展に期待したいところです。
文|床田仁グッチ
スポンサーリンク