糖尿病は大人がかかる病気でしょう?~子供でも油断すると危険です!
糖尿病といえば、大人のかかる生活習慣病というイメージが強いのですが、実際は子どもでも発症します。体質的な要因が大きい1型糖尿病のみならず、最近では肥満や運動不足からくる2型糖尿病も増えているのです。
子どもを糖尿病から守るため、早いうちから健康的なライフスタイルを確立させてあげましょう。
小学生の子に多い「1型糖尿病」とは?
糖尿病とは、何らかの原因ですい臓からインスリンが分泌されない、もしくは分泌されてもそれをうまく利用できないことで起こる病気です。
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インスリンは、食べ物によって取り込まれた糖分をエネルギー源として活用するために欠かせないホルモンで、これが不足すると血糖値が下がらず、血管にダメージを与えてしまいます。
糖尿病には大きく分けて、自己免疫機能の異常によって起こる「1型糖尿病」と、生活習慣が深く関わる「2型糖尿病」があります。中でも、10歳未満の子に発症する糖尿病の多くが1型です。これは体質的なもので、本人の生活習慣とは関係がないとされています。
1型糖尿病では、インスリンを産生するすい臓の「β細胞」が破壊されてしまうため、インスリン不足が起こります。一般的に症状の現れ方は急なことが多く、肥満傾向にない子どもが突然痩せたり、多飲多尿になったりします。
インスリンが絶対的に不足しているため、食事療法だけでは効果が十分でなく、治療のためにはインスリン注射が必要です。
子どもでも油断できない「2型糖尿病」とは?
一方、生活習慣の積み重ねによって起こる2型糖尿病も子どもに急増しています。特に10歳を超えると発症率が上がってくるようです。
日本の場合、小学生では10万人につき1人ですが、中学生になると5~7人ほどになります。
子どもの2型糖尿病は大人と同じく、糖分や脂分の多い食生活や肥満、運動不足などが原因となります。特に近年では、いつでもどこでも清涼飲料水やスナック菓子を手軽に食べられるようになったことから、子どもであっても油断できない病気です。
また日本人はもともと痩せ型ですが、その分インスリンの分泌能力は欧米人よりも低いことが分かっています。昔から脂肪分の多い食生活を送ってきた欧米人では、インスリンの働きが悪くなりがちなために、むしろすい臓が鍛えられて余分にインスリンを分泌できるようになっているのです。
しかし和食のように脂肪分の少ないヘルシーな食事をしてきた日本人の体は、そのように作られていません。その状態で戦後、急激に欧米型の食事をとるようになってきたため、すい臓のインスリン分泌が追いつかず、日本人は2型糖尿病になりやすくなってしまいました。
また2型糖尿病には遺伝的な要素もあり、原因となる遺伝子もいくつか特定されています。体質的にハイリスクの人が糖尿病になりやすい生活習慣を積み重ねることによって、発症するものと考えられています。
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しかし逆にいえば、体質的に糖尿病の素因を持っていたとしても、病気を防ぐような生活を送れば発症は予防できるということです。特に子どもの2型糖尿病は、ほとんどが肥満をともなっているため、食事と運動で肥満を解消すれば治癒できる可能性が高いとされています。
糖尿病を一生の病気にしないためにも、ぜひ子どものうちに対策を練りたいものです。
子どもの2型糖尿病を防ぐ生活習慣の基本
1型糖尿病は体質的な要因が多いため予防は難しいのですが、2型は生活習慣の改善によって発症を抑えることができます。
まずは何といっても「正しい食生活」が基本です。食事の際にジュースを出す、量をきちんと決めずに好きなだけ間食させる、といった習慣は間違いなく糖尿病リスクを高めます。
水分補給はお茶か水にし、お菓子も適量を守らせましょう。
また普段の食事では、素材の味を生かした薄味を心がけてください。おかずの味つけが濃いと、どうしても白米を多く食べてしまいます。お米は適量であれば、脳にとっても重要なブドウ糖の補給源となりますが、食べすぎは血糖値の上昇につながりますので注意が必要です。
もちろん全体的にバランスのとれたメニューにし、野菜を多めにすることも大切です。
また食べすぎを防ぐためにも、テレビを見ながら食事をすることも控えるようにしましょう。「ながら食い」は食事に意識が集中せず、満腹中枢が刺激されにくいため、食べすぎにつながります。
さらに「1日3食」も基本です。最近では夜更かしする子どもが増えたためか、朝食を抜く子がますます増えたといわれていますが、そうすると次の食事で無茶食いしやすくなりますし、血糖値も一気に上がります。
朝食抜きが糖尿病リスクを高めるという研究結果は色々なところで出ていますので、時間がなくてもせめてバナナくらいは食べさせるようにしましょう。
他には、もちろん適度な運動も大切です。特に最近では友達と集まってもゲームばかりで、体を動かさない子が増えています。そういう子には、週に1度でもスポーツをする機会を作り、必要な筋肉を鍛えてあげるようにしてください。
By 叶恵美
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