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新型うつと呼ばれる現代病が若者に急増中~病気?それとも怠け?

2014.02.09

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「仕事は休むけれど、遊びには行ける」…そんな新しいタイプのうつ病が若い世代を中心に急増しています。

従来型のうつ病とはあまりに異なるだけに、「ただの怠け病」と批判もされている新型うつ。

しかし紐解いてみると決して個人の性格だけに責任を問えない「現代病」の1つであることが見えてきます。

新型うつと従来型うつ病の違いとは?

これまでのうつ病といえば、何事にも意欲が湧かず、これまで好きだった趣味も楽しめなくなってしまう症状が一般的でした。

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ところが新型うつでは、「会社では鬱々としてしまうが、それ以外では元気」という点が大きな特徴となっています。

ですから抑うつ症状は平日だけで、週末になると普通に過ごせる人が多いのです。

また新型うつでは、他者に攻撃的になるという症状もあります。

従来型のうつ病では病気になってしまった自分を責める傾向が強いのに対し、新型うつでは「自分を病気に追い込んだ上司が許せない」という心理状態が見られます。

さらにうつ病には、精神症状のみならず身体症状がつきものです。

中でも不眠や体の痛み、食欲の低下などが代表的ですが、新型うつではむしろ過眠や過食のほうが多く見られます。

このような症状から、新型うつは「ただの甘え」「性格的な問題」として片づけられることが多く、批判の対象となっているのです。

ある日、診断書と共に休職願いが出され…

しかし新型うつは今や一部の若者だけに起きている問題ではありません。会社によっては複数の社員に発症しており、頭を抱える上司が増えています。

新型うつのもう1つの特徴に、「みずから心療内科にかかって、診断書を入手する」というものがあります。

ある日突然、診断書と一緒に休職願いを出し、会社に来なくなってしまうパターンが多いようです。

医師からの診断書を提出されては、上司も強く出られません。

ところが本人のブログなどを見てみると、会社を休んでいる間に旅行を楽しんだり、趣味をエンジョイしたりする社員の姿が…。

そんな新型うつは、休職が認められ、その間の給与も一定額が保障されるようなある程度大きな企業、もしくは公的な職場に多く見られるのも特徴です。

新型うつ社員には「勝ち組」が多い!?

確かにこれだけの症状を見ると、上司が怒るのも無理はないといえるでしょう。しかし新型うつ社員も、決して最初から怠け癖があったわけではありません。

ある程度の大きな会社に入って来られるくらいですから、一生懸命に勉強していい大学に入り、厳しい就職戦線を勝ち抜いてきた人が多いはずです。

実際、入社後に新型うつを発症する若者には、いわゆる「勝ち組」が多いといわれています。

つまり、ある意味では挫折を知らないまま生きてきたため、仕事で怒られたりミスを責められたりすることで落ち込みやすいとも考えられるのです。

また仕事に対する考え方も旧世代と今の世代とでは異なってきています。

1969年から新入社員を対象に実施されているアンケートを見ると、「入社の動機」について、昔の若者は「会社の将来性」を1位に挙げています。

しかし時は移り変わり、もはや大企業も明日はどうなるか分からない時代になりました。

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そんな今の若者は「仕事が面白そうだったから」「自分の能力を生かせそうだから」という回答をしています。

ところが意気揚々と入社してみたら、旧世代の上司との衝突や、想像とは違う仕事内容にガッカリ。

その結果、研修期間に早々とリタイアしたり、新型うつになって仕事を休んだりしてしまうケースが増えているのです。

他人に叱られ慣れていない若者たち

さらに今の若者が育ってきた環境も、上司世代とはかなり差があります。

昔の学校には厳しい教師が多く、体罰もわりと普通におこなわれていました。

しかし近年ではちょっと厳しく叱っただけで親が乗り込んでくる時代です。つまり今の若者は、親以外の人間に怒られ慣れていないといえます。

また少子化が進んだこともあり、親本人や祖父母も子どもに対して甘くなってきています。

子どもが転ばないようにと「先の杖」を与え、昔より過保護になってきているのは確かでしょう。

そんなふうに育てられた世代が、いざ社会に出て、出会ったばかりの上司から頭ごなしに説教されたりすれば、当然ながらショックを受けます。

上司世代にしてみれば「これが社会だ!」と言いたくなるのですが、育ってきた背景が違うことを考えると、必ずしも本人だけに責任があるわけではないことが分かります。

新型うつ対策は、社会全体に求められている!

つまり新型うつ急増の背景には、家庭や学校、仕事に対する考え方の違いなどが横たわっているため、決して本人の人格のみを攻撃すれば解決するものではありません。

1人の新型うつ社員を排除しても、また次の社員が出てくるはずです。

根本的な解決のためには、学生のころから仕事の現実について啓蒙する必要があります。

「仕事とは基本的に大変なものであり、ソリの合わない上司も当然いる。楽しさややりがいは、その後からついてくる」ということです。

同時に、会社側が新型うつ社員に対する対策を講じることも大切です。

給与を支払う以上は、たとえば休職中の過ごし方についてもある程度の制限を設けることは当然だといえるでしょう。

また新型うつの場合は完全に職場から離れるより、時々は出社してリハビリをするほうが効果的ともいわれています。

産業医とともに、新型うつ社員のための復職プログラムを作るのもいい方法です。

もともと昔の会社には「人を育てる」という意識がありましたが、最近では「能力を買う」「他に代わりはいくらでもいる」時代になっているのも事実です。

社員をメンタル面から育て上げる懐の広さが、今の会社には求められているのかもしれません。

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