生活習慣病の恐ろしさを知っていますか?日本人の死因トップ3の原因
「生活習慣病」と聞くと、何となく「本格的な病気ではないけれど、ちょっと気をつけたほうがいいレベル」のようなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
しかし日本人の死因トップ3である「がん」「心疾患」「脳血管疾患」はいずれも生活習慣病に分類されています。
命の危機につながる怖い病気であることを自覚し、普段から予防に努めましょう。
死因第1位の「がん」との関係
今や日本人の2人に1人がかかるといわれる、がん(悪性新生物)、体質的な病気というイメージが強いのですが、実は生活習慣が深く関わっています。
もちろん、中には遺伝性のがんも存在します。特に20~30代までの若い世代で発症する場合は、「家族性がん」といって遺伝的な要素が強いことがほとんどです。
しかしがん全体で見ると、実は遺伝によるものは意外と少なく、多くが食生活や飲酒、喫煙といった生活習慣が原因だといわれています。
たとえば国内の部位別がんにおいて、長らく1位の座を保ってきた胃がんが徐々に減少し、代わりに大腸がんが急激に増えているのは、まさに「食生活の欧米化」によるものだと考えられます。
大腸がんはもともと日本人には少ないがんだったのですが、現在では死亡率において女性で1位、男性では肺がんと胃がんに次いで3位にまで上昇しています。
2020年には、男性でも1位になることが予想されているほどです。
ここまで増えた背景には、日本人が肉類を多く食べるようになり、一方で食物繊維をとらなくなったことで腸内環境が悪化したことが関係していると思われます。
他にも、喫煙はほとんどすべてのがんのリスクを上げることが分かっていますし、過度の飲酒も肝臓がんや大腸がん、食道がんなどのリスク要因として指摘されています。
死因第2位の「心疾患」と生活習慣の関係
死因の2位となっている心疾患ですが、このうちもっとも多いのは心筋梗塞や狭心症などの「虚血性心疾患」です。
これは心臓に血液を送る血管に問題が生じて、心筋が血液不足になって起こる病気を指します。
特に心筋梗塞は、完全に血管が詰まるために心筋の細胞が壊死してしまう怖い病気です。一刻も早く処置をしないとそのまま死に至りかねません。
そんな虚血性心疾患の原因第1位が、動脈硬化です。誰でも加齢によって動脈の柔軟性は失われ、硬くなっていきますので、ある程度は自然な老化現象だといえます。
しかし高血圧や糖尿病、脂質異常症などをわずらっていると、血管壁がますますダメージを受けて動脈硬化が進行してしまうのです。
たとえば高血圧の状態が続くと、高い圧に耐えるために血管がみずからを厚くするため、動脈硬化が促進されます。
また圧によって血液が血管壁に入り込み、血中の悪玉コレステロールなどが付着しやすくなりますので、さらに血管が狭くなってしまいます。
しかも動脈硬化そのものには症状がほとんどないため、ある日突然、心臓の発作を起こして倒れる人が多く見られます。
定期的に血圧や血糖値などを測定し、動脈硬化のリスクを自覚するのはもちろん、これらの生活習慣病を予防することが何より大切です。
死因第3位の「脳血管疾患」と生活習慣の関係
死因の3位に挙がっている脳血管疾患は、脳出血や脳梗塞、クモ膜下出血などの総称です。
心疾患と比べると助かる確率が上がっているものの、処置が遅れるとやはり命の危険をともないます。
中でも今もっとも多いのは、脳の血管が詰まってしまう脳梗塞です。これも心筋梗塞と同じく、やはり動脈硬化が大きな原因となりますので、生活習慣が深く関わります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症をわずらっている人は脳梗塞を起こすリスクが高くなりますし、タバコも1日40本以上吸う人は、吸わない人と比べて4倍もリスクが跳ね上がるといわれています。
自分の命のために、今日から生活習慣病予防を始めよう!
死因の1~3位を占めるということは、現代の日本人は生活習慣病によって殺されているといっても過言ではありません。
平均寿命が世界一の日本ですが、もしも私たち1人ひとりがもっと生活習慣を改めるようにすれば、より寿命は伸びるでしょう。しかも「元気で」長生きできる可能性が高まります。
がんも動脈硬化も、すべて1年や2年で完成するものではありません。
若いころから続けている生活習慣の積み重ねによって、少しずつ進行していくのです。ですから「このままじゃ危ない」と思った瞬間から、生活を切り替える必要があります。
すべての生活習慣病の改善は「野菜を多くとる食生活」「禁煙・節酒」そして「肥満の解消」です。
食事では、がん・動脈硬化ともに、動物性脂肪のとりすぎが大きなリスクファクターとして知られています。
もちろん肉類はタンパク源でもあり、日本人の栄養状態を大きく改善してくれた食材ですが、ほどほどにとどめて野菜をたっぷり摂取しましょう。
がんの研究においても、野菜と果物の豊富な食生活は、発症リスクの減少につながると報告されています。
そしてタバコはすべての生活習慣病の危険因子ですので、禁煙するに越したことはありません。
また過度の飲酒も、肝臓がんのみならず高血圧や糖尿病につながりますので、適正飲酒量(純アルコールで20~40グラム)を守りましょう。
肥満は、特に死因2位・3位の心疾患・脳疾患と深い関わりがあります。
肥満になればなるほど、高血圧や脂質異常のリスクが上がりますので、それだけ動脈硬化が進行しやすいからです。
特に内臓まわりについた内臓脂肪は、血圧や血糖値を上げる物質を産生するため、メタボリックシンドロームと診断された人はすみやかに減量をおこなうことが大切です。