これから期待される最新の薄毛治療~あなたも近い将来フサフサに?
「若かりしころのようなフサフサの髪にもどりたい」……それが全世界の薄毛に悩む男性たちにとっての夢、しかしいまのところ、万人に効果のある薄毛治療法はまだ確立されていません。
それでも研究の進歩にともなって、ツルツルの人でも自然な髪を手に入れられる時代がやってくることが予想されています。
髪を作る毛包組織を再生する「ヘア・クローニング」とは?
産毛のような細い髪でも、まだうっすらと生えている限りは治療の手立てがあるといわれています。
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しかしツルツルの段階になると、髪を作り出す「毛包」という組織が消失、もしくは正常に働いていない状態になりますので、もはや自然な発毛は期待できません。
つまり髪を再び生やすためには、「毛包の再生」が大きなカギとなります。
そこで注目されているのが「ヘア・クローニング」という技術です。
これはヒトの体毛から毛包組織を採取して人工的に培養し、それを無毛部位に移植する方法です。
マウスを対象とした実験では、東京理科大をはじめとする研究チームが好ましい結果をあげています。
毛包から「成体幹細胞」というものを抽出し、培養してマウスに移植すると、何度でも生え変わる健康な毛を生やすことに成功したのです。
これまで組織に成長するための肝細胞は、胎児のものでないと難しかったのですが、成体幹細胞(大人の幹細胞)から発毛できたことは大きな発見といわれています。
ヘア・クローニング実用化までの課題
マウスの実験からヒトへの実用化には、およそ10年はかかる見通しです。
課題の1つは、元の髪とまったく同じ毛を再生できるかどうか、というところにあります。
毛包を再生できても、そこから生えてくる髪の質や色、クセなどが同じでなければ不自然になってしまうからです。
さらに安全性の問題があります。培養した幹細胞を頭皮に移植した際、悪性化するリスクがゼロであることが証明されなければ実用は難しいといわれています。
これらの課題をクリアできれば、いずれ薄毛治療にヘア・クローニングの技術が登場する可能性は十分にあります。
アデランスなどの会社も毛包再生にはおおいに関心を持って研究に取り組んでいるようです。
どんな組織にも成長できる「iPS細胞」が薄毛の救世主に!?
2012年、京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことで、一気に知名度が上がった「iPS細胞」、これも将来の薄毛治療に大きく貢献することが期待されています。
iPS細胞は、あらゆる臓器や組織に成長できることから「万能細胞」とも呼ばれます。
もともと胎児を形成する生殖細胞だけに見られる特別な能力でしたが、山中教授たちの研究によって、皮膚の細胞からも人工的に作れることがあきらかになりました。
つまりどんな器官にも成長できる細胞を手に入れられれば、失われた毛包も再生できるということです。
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京都大と慶応大の研究チームは、マウスにヒトのiPS細胞を移植した結果、毛包組織の一部を再現することに成功しました。
これをヒトに応用できれば、すっかり毛包が消失した人や、先天的な無毛症の人でも発毛できる可能性があります。
ただしiPS細胞の実用化にかんしては、より重篤な脊髄損傷などの治療に力が入れられていますので、薄毛治療はどうしても後回しにされてしまう運命にあります。
それでも将来的には十分、期待できる治療法といえるでしょう。
薄毛の特効薬が、数年後に発売されるかもしれない!?
細胞や遺伝子レベルではなく、より手軽な特効薬が発売されるかもしれない、との噂もまことしやかに広まっています。
それは「PDG(プロスタグランディン)2」というタンパク質を抑制する薬です。
ペンシルバニア大の研究チームが、AGA(男性型脱毛症)の男性の脱毛部位を調べたところ、頭皮中にPDG2というタンパク質が異常に多いことを突き止めました。
その量は、普通に髪が生えている部位の約3倍とのことです。
また人工的にPDG2をマウスに投与すると、体毛が成長しなくなることも確認されました。
AGAの男性のなかには、まだ産毛のような細い髪が生えている人も多いものです。
しかしそれが丈夫な髪として生えてこないのは、PDG2が髪の成長を阻害しているからだと考えられています。
つまりPDG2の働きを抑制できる薬があれば、薄毛の進行をより効果的に止められる可能性があるのです。
PDG2は気管支ぜんそくにも関わるタンパク質であることから、その作用をブロックする内服薬はすでに研究開発が進められています。
これを頭皮にも使えるように改良できれば、薄毛の特効薬が作れるかもしれません。
ただしすでにツルツルの状態になってしまった部位にも有効であるかどうかは、さらなる研究が待たれます。
薄毛の根本的な治療は、想像以上に難しい?
このように新しい薄毛治療は今後も続々と登場する見込みであり、現在も研究者たちが懸命に取り組んでいるところです。
よく都市伝説として「薄毛の特効薬や治療法はもうすでに確立されているが、企業利益のために公開されていない」といわれます。
しかし毛髪の成長には、その下にある組織や細胞の働きが関わっているため、そうかんたんにはいかないのが現状です。
それでも世界中で多くの男性たちが待ち望んでいる以上、いずれ夢の薬、夢の治療法が完成する日は来るでしょう。
100年後の地球人にとって、薄毛は「かんたんに治せるもの」として認知されているかもしれませんね。
By 叶 恵美
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