笑いの免疫力でがんを退治する?~笑いがもたらす驚きの病気改善効果
笑うと免疫力がアップしてがんの進行が抑えられる-そんな話を聞いたことのある人も多いと思います。
実際、「笑い」にはがんの抑制のみならず、さまざまな病気にいい影響があることが明らかになってきており、医療関係者らの注目を集めているのです。
笑いは、がんを攻撃する「NK細胞」を活性化させる!
笑うと免疫力が上がることは、さまざまな研究によって分かっています。たとえば有名なものに、大阪の「吉本新喜劇」による調査があります。
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学生を対象に、漫才やコントなどのビデオを楽しんでもらい、その後で血液検査をおこなって成分の変化を調べたものです。
するとお笑いを見た学生では、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性度が上がっていることが分かりました。
NK細胞とは、がん細胞やウイルスなどを攻撃するリンパ球の一種です。
活性度が高ければ高いほど免疫力が上がり、病気を克服しやすい体になります。
最近では、NK細胞を人工的に増殖させることでがんに打ち勝とうとする「免疫細胞療法」も広まっているほどです。
しかしこのNK細胞は、ストレスによって活性度が低下することが明らかになっています。
一方、笑いは活性度を上げるため、鬱々と落ち込んでいるよりも楽しく笑っていたほうが体の免疫力は上がるというわけです。
実際、がんを宣告されても医師が首をひねるほど長生きしたり、奇跡的に完治したりする人たちがいます。
もちろん他の治療が功を奏した可能性もありますが、こうした患者さんの中には「よく笑う前向きな人」が多いともいわれています。
笑いは、アトピー性皮膚炎やリウマチをも治す!?
笑いが打ち勝つのは、がんだけではありません。
なんと多くの人が悩み苦しむアトピー性皮膚炎にも効果があるという研究結果があります。
そもそもアトピーは皮膚そのものの病気というより、全身の免疫反応が過敏になっていることが一因と考えられています。
その結果「IgE」という抗体が作られすぎてしまい、これがアトピーや花粉症、ぜんそくなどを引き起こします。
しかし笑いが、このIgE抗体を減少させ、アトピーなどを改善するのではないかと考えられています。
実際よく笑う人とそうでない人とでは、治り方が違うと言う医師は多いようです。
症状がつらければつらいほど笑うどころではなくなってしまうものですが、治療のためにもぜひ笑う習慣をつけてみたいものです。
さらに笑いとリウマチの関係も注目されています。
有名なのはアメリカのジャーナリストが、コメディを見ていたら自分の膠原病が治ってしまったというエピソードです。
彼がその経験を医学誌に投稿したのをきっかけに、「笑いと健康」に関する研究がいろいろとおこなわれるようになった、ともいわれています。
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日本でも、リウマチ患者26名に落語を聞かせ、聞く前と後で血液検査をするという実験がおこなわれました。
すると1時間笑っただけで、炎症やストレスに関わる「インターロイキン6」や「コルチゾール」などの数値が下がったほか、多くの人が痛みの軽減を実感したとのことです。
笑うと「βエンドルフィン」という痛みをやわらげるホルモンが分泌されるのですが、その効果はモルヒネに勝るともいわれています。
ですから痛みの強い病気の人でも、笑った後は楽になるのかもしれません。
生活習慣病にも効く!?~血糖値やコレステロールの低下
さらに、笑いは糖尿病をも改善させるという研究結果があります。
筑波大学の名誉教授、村上和雄氏が吉本興業との協力でおこなった興味深い調査を見てみましょう。
2型糖尿病の患者さんに、1日目は食後に大学教授の真面目な講義を、2日目は漫才コンビの漫才を見てもらいました。
そしてそれぞれの後で血液を採取したところ、血糖値が46も違っていたそうです。
もちろん漫才を見たあとのほうが、血糖値の上昇は低く抑えられました。
つまり笑いは天然のインスリンだといえるでしょう。
また笑いは血中の善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす効果があるという研究結果もあります。
ですから笑いはさまざまな生活習慣病を改善し、心筋梗塞などの発作のリスクを下げることにもつながるのではないかと期待されているのです。
つらい時こそ笑って、病気を撃退しよう!
他にも、大笑いをすると酸素が通常時よりも多く取り込まれるため、脳に酸素が行き渡って記憶力などの向上にも役立ちます。
実際、笑いが認知症予防につながるとする研究結果が多数、発表されています。
また笑いには脳内の伝達物質「セロトニン」の分泌をうながす効果も認められていますので、うつ病の予防や治療にも効果的です。
このように、笑うことはさまざまな病気を改善する不思議な作用を持っています。
しかし私たちは病気になると、仕方のないことですがつい気分が落ち込んでしまうものです。
特にがんや生活習慣病など、治療が長期にわたるような病気にかかると、どうしても笑う機会が減ってしまうことでしょう。
それでも人生を前向きに楽しみ、なるべく笑うようにしたほうが結果的に健康につながるのかもしれませんね。
By 叶恵美
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