渋谷の中心で家賃3万?「貧困ビジネス」化するシェアハウスの実態
この5年ほどで急速に伸びた不動産のジャンルに「シェアハウス」があります。
伸びた理由は「日本に貧困層が増えた」からです。
ここではその概要や実態を紹介します。
シェアハウスの概要
基本的には、
・寝床…小さな個室かベッドのみ(カプセルホテルのようなスタイル)
・その他部分…共用
というパターンがほとんどです。
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海外旅行でゲストハウスを利用したことがある人は、「あそこで年中暮らす」と考えるとわかりやすいでしょう。
もともとは、個人主義の反動で「人との絆」を求め始めた若い人々が、共同生活を楽しむために普及したものです。
当初の目的ときっかけはそれでしたが、ここ数年で急速に「貧困ビジネス」になりつつあります。
■「貧困ビジネス」とは?
これは「貧困層を対象としたビジネス」です。
(言葉があまりよくありませんが、NHKなどでも使われている表現なので、わかりやすくこれを使います)
シェアハウスは家賃が安いので、当初の目的は「交流」だったのですが、徐々にその安さ目当てに「普通のアパートを借りられない貧困層」の方々が集まり始めたのです。
初期のシェアハウスは「個室+共用部分」というスタイルがほとんどでしたが、貧困層からのニーズに目をつけた不動産投資家たちが「カプセルベッド+共用部分」という、「さらに安いスタイル」を広げていきます。
このようなスタイルの場合、渋谷や新宿のど真ん中でも家賃が3万円程度になるので、「仕事のために東京で働きたい。でも、お金はない」という人々の受け皿となりました。
保証人不要・初月1万円
シェアハウスはただ安いだけではなく、「保証人不要」・「初月1万円」などのサービスがある点も、収入が少ない方々にとってありがたい点となっています。
収入が少ない方々にとって、保証人を探すというのは一番大変なことです。
他にも年収証明書類を求められるなど、普通の賃貸にかかるすべての手続で、こうした方々は不利となります。
特に礼金・敷金などの初期費用は、「これから東京で仕事を探す」「のっぴきならない事情で、前の家を出てきた」という方々にとっては一番痛い出費です。
それらの出費がないどころか、シェアハウスでは「初月1万円」というところが多いので、これらの方々が「とりあえず転がり込む」のには、最適な場所となっているのです。
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性別は分けることが多い
シェアハウスでは性別を分けることが多いです。
「男性専用」「女性専用」という形です(女性専用の方が、家賃や物件の綺麗さなどの条件が全体的によくなっています)。
男女が一緒に使っているシェアハウスもありますが、これは家賃がやや高めで、収入や身分がある程度保証されている方向けであることが多いです。
保証人不要で低家賃であれば、どんな人でも簡単に入れてしまうため、そのような場所で万が一のトラブルを防ぐため、男女の住み分けをすることは当然と言えるでしょう。
国がシェアハウスの規制に乗り出す
このような極端なスタイルで成長したシェアハウスですが、最近では国が規制に乗り出しています。理由は、
・狭い場所に大人数で住むため、火災が起きた時のリスクが高い
→取り締まっていないと、大きな被害になった時、国が糾弾される。
・身元が保証されていない人が多く集まると、近隣住民からの苦情が増える
→実際、シェアハウスと近所の方々の間のトラブルは多数報告されています。
というものです。
とは言っても、多くの人々に求められていることは確かですし、消防法などの規制さえクリアしていれば法的には問題はないわけですから、もう少し普通の賃貸に近い形に戻りながら、今後もシェアハウスは続いていくことでしょう。
■「レンタルオフィス」という形を取る場合も
シェアハウスが問題となっているのは、そこを「住居」として認めるからです。
そのため、最近はあえて「レンタルオフィス」として、部屋を格安で貸し出す例も増えています。具体的には、
・オフィスだけどシャワーとトイレがある
・24時間、年中無休で利用可能
・家賃は格安、6畳程度のオフィス(玄関やクローゼットなどは一切なし)
・建物内にコインランドリーもある
というような内容です(細かい内容は物件によって変わります)。
この場合、低所得の方々は住みたがりますが、表向きは「ここに住むことは認めていない」ということになっているので、取り締まりを受けることはないわけです。
実際、筆者も東京に出てきたばかりの頃、このようなオフィスを仮の住処としていた時期がありました。
明らかに60代以上のフリーターの方もたくさん住んでいて、自分も住んでいる一人だったので「貧困ビジネス」という言葉はあまり使いたくありませんでしたが、「正直、それに近い実態だな」という感じはしました。
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