物件のリフォーム費用の節税テク ~「経費」と「資産」の違いは?
物件のリフォームは、経費として認めてもらえるケースと、もらえないケースがあります。
もらえない場合は「資産」と判断されます。
「経費」と「資産」でどう扱いが違うのか説明します。
経費と資産の違いは?
簡単に書くとこうです。↓
・経費…絶対必要なリフォーム(修理)
・資産…なくてもいいリフォーム(グレードアップ)
ということです。具体的な例をあげると、
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■経費
・水道管の修理、交換
・穴が開いた壁や天井の補修
・悪臭が染み付いた場合の除臭
などです。見るからに「これは仕方ない」というものですね。
これら以外の贅沢な「グレードアップ」は全て「資産」です。
■補修時にオシャレにした場合は?
上に書いたように「穴が開いた壁の補修」は許されるわけですが、この時「おしゃれな壁に変える」ということをしたらどうでしょう。
これは「一部OK」となります。
「壁の穴を埋めるのに欠かせなかった」と判断された部分は、経費になります。
しかし、それ以上の「おしゃれ」の部分は資産と判断されます。
これがいわゆる「現状維持ルール」あるいは「原状回復ルール」です。
リフォームをする時は「今と同じ」「前と同じ」条件にしないといけないわけです。
そうでなければ全部「資産」となるわけです。
「資産」になると何が不利なのか?
実は資産になっても一部は経費にできるのです。
ただ、普通の経費のように「その年に全部経費にする」ことはできません。
「何年かに分けて」するんですね。
たとえば、その年の売上が1000万で、リフォーム代が300万だったとしましょう。
そして、資産認定が「3年に分けて認める(年100万ずつ)」だったとしましょう。
その場合、下のようになります。
・経費認定…1000万ー300万=700万 700万の税金だけ払えばいい。
・資産認定…1000万ー100万=900万 900万の税金が必要
となります。「700万の税金」「900万の税金」と書いていますが、これがそのまま税金になるわけではありません。
この何割かが税金となり、それぞれ大体140万、270万程度です。
法人税は「800万」を境として税率が変わります。
・800万まで…16.5%
・801万~…28.5%
となっています。なので「700万」と「900万」の場合は、特に違いが大きいというわけです。
なぜこんなルールを作るのか?
何でこんな「資産」などというルールを作るのか、疑問に思うかも知れません。
これは簡単に言うと「転売防止」です。
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たとえばその資産が「エアコン」だったとしましょう。
エアコンは転売して現金にできます。そのため、こういう節税ができるのです。↓
————————————
・決算直前にエアコンを買う。
↓
・経費を増やして節税
↓
・税務署の審査に通ったら、すぐエアコンを売る
↓
・現金を手にする
↓
・税金も節約して、現金も手に入れた
————————————
ということです。
これはもちろんエアコン以外でも、そして不動産以外でもできます。
(車やパソコンなども転売しやすいので、「資産」認定のターゲットとなります)
■なぜ「数年に分ける」のか
これは「数年後だったら意味がない」からです。
1年目ですぐに転売したとしても、節税効果が数年に分けられるなら、「買った意味が出る」までに数年かかってしまいます。
もちろん、転売はできるので現金は入ってきます。
しかし、知っての通り「ものを買ってすぐ売る」というのは、買った時より大幅に安くなります。
なので、転売は基本的に損するんですね。
それでも節税効果があれば全体では得する、ということでやるのですが、それが「数年に分ける」とされたら、メリットがもうないわけです。
こうして企業の脱税を防ぐために、「数年に分ける」をやるんですね。
(この「数年に分ける」を「減価償却」といいます)
最初から豪華な物件にしておいたら?
ここでまた「現状維持」「原状回復」のルールに戻ります。
「元と同じレベルのリフォームならいい」ということは「元のレベルが高かったら?」という発想も当然でます。
「最初から豪華な物件を作れば、豪華なリフォームをしても資産にならない」というわけですね。
これはその通りですが、そもそも「最初の内装を豪華にする」という時点で、相当な費用がかかるわけです。これは当然自分持ちです。
そして、その後の「高額なリフォーム」も、すべて自分持ちです。
つまり「ひたすらコストが大きくなる」ということです。
もちろん、その分高い家賃をとって、コスト以上に稼げているならいいでしょう。
しかし、それができなければ「節税のために無駄遣いして、自分の首を締める」という状態になってしまいます。
おかしな話ですが、こういうことをしてしまっている企業は意外と多いのです。
不動産以外のジャンルでもよく見られる間違いです。
こうした失敗をしないためにも、リフォームの税制についても、それ以外の税制についても、その本質も含めてしっかり勉強したいものです。
(テクニックの部分だけ学ぶと、上に書いたような「本末転倒」が起きてしまいがちですからね)
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