15May
東京都下を代表する都市である府中市は、大手不動産ポータルサイトのアンケートで「住み続けたい街No.1」に輝く住み心地のいい街であり、不動産の査定でも比較的高値がつきやすい地域です。
ここでは、そんな府中市に物件をお持ちの方が、不動産の査定を受ける際に参考となる市の不動産の歴史、人口推移・密度などのデータなどを紹介してみたいと思います。
府中市の不動産の歴史
その地域での不動産査定のもととなる物件の価値を知るためには、歴史について知っておくことも役に立つ場合があります。ここでは、府中市の不動産査定において参考になると思われる歴史についてのべてみたいと思います。
かつての府中市は一部で「ギャンブルシティ」と呼ばれるほど、ギャンブル事業が盛んな街でした。東京競馬場、多摩川競艇場という競馬・競艇の二大施設があり、そのイメージが強かったからです。
しかし、府中駅南口の再開発が始まり、街の雰囲気は徐々に変わっていきます。平成8年に専門店街フォーリスと伊勢丹が完成、平成17年に住商複合ビルの「くるる」が完成し、多くの買い物客で賑わうようになりました。
特に映画館などの娯楽施設も入った「くるる」の誕生は、この地域を若返らせ、それまでの下町の雰囲気から、現在のような華やかな雰囲気の駅前に変えてしまいました。
大手不動産ポータルサイトの「現在の街の住み心地」のアンケートで満足度1位に輝くほど評価される地域となりました。なんだか、それだけで不動産査定が有利になりそうですね。
府中市の不動産事情
街並み
府中の街並みの印象は、2種類に大別できます。「昔ながらの下町のような街並み」「再開発で生まれた新しい街並み」です。
前者では歴史を感じさせる建物や、和風な並木道が残されています。後者では駅前を中心に、華やかで利便性の高い若者好みの街が実現されています。
駅から周辺のショッピング施設へは、すべてペデストリアンデッキで移動することができ、雨の日でもまったく濡れる心配がありません。信号を渡る必要もないため、小さいお子さんや赤ちゃんを連れの家族でも安心です。
このように利便性が高くおしゃれな街並みと、古くからの歴史ある街並みが共存している、それが府中の景観の特徴と言えるでしょう。当然、不動産査定においても、ここは十分に評価されるべきポイントとなることでしょう。
ショッピング
ショッピングの便利さはそのまま生活の便利さに直結するので、不動産の査定でも最も重要なポイントの一つです。
府中は駅前を中心にショッピング施設も充実しています。まず、駅とペデストリアンデッキで直結している伊勢丹。各地の伊勢丹同様、グルメ・生鮮品・インテリア・雑貨・ファッションと、どんなアイテムでも揃えることができます。
伊勢丹と並んで多くの買い物客が訪れる「くるる」も負けていません。こちらはトイザらスやTOHOシネマズなども入っており、特に「遊ぶ」ということに関して、伊勢丹よりも多くのニーズを満たせるようになっています。
続いて専門店街のフォーリス。こちらも伊勢丹同様、ファッション、食品、雑貨などのアイテムを幅広くそろえており、特に女性から高い人気を集めています。
その他にも、深夜まで営業するスーパー「シェトス」。大型ホームセンター「島忠」など、便利な買い物スポットがたくさんそろっています。このような街なので、生活の便は非常によく、マンションなどの居住用の不動産でも比較的高い査定価格を引き出しやすいと言えるでしょう。
教育環境
特に子育て世帯にとっては、育児や教育の環境が充実しているかというのは、物件選びをする上で極めて重要です。その点でも、この地域は恵まれているといえます。
まず、府中公園をはじめとした、緑豊かな公園がたくさんあること。公園地帯と住宅地帯のバランスを取りながら開発を進めたこの地域は、人口密度で日本の市の上位15%に入るとは思えないほど、ゆったりと生活できる地域になっています。
インテリジェントパークなど、おしゃれに開発されたゾーンもあり、育児をしながらでも女性としての華やかな生活を楽しみたい、という方にも好まれる環境だといえます。
幼稚園・保育園・小学校などの教育施設も充実しており、教育面でも不足はまったくない地域と言っていいでしょう。このため、ファミリー向けの物件を持っている人にとっては、査定において強気の交渉が出来るでしょう。
この地域の不動産査定の参考となるデータ
人口推移
府中市の人口推移は、2014年現在まで増加続けています。市役所の2005年の予測では、当時の勢いを保って、2035年には約29万人に到達する見込みとなっていました。
しかし、2008年に府中市役所の別の組織でまとめられた資料によると、2025年前後で約26万人になり、その後はほぼ横ばい状態で微減していくと予測されています。
つまり、2035年時点の人口予測に「約3万人の差」があるわけですが、両方とも市役所内の組織によってまとめられ、市のサイト内にアップされている資料です。
このように市の資料でも年度や組織によって人口予測がバラつきがあるのを見ると、府中市に関しては「人口を根拠にした不動産査定の動向予測」は難しいと言えるかも知れません。
不動産査定において、その地域の人口がこれからどのように推移していくかというのは、とても需要な問題ですので、そこが曖昧ですとなかなか今後の査定額を読めないということになります。
人口密度
府中市の人口密度は、全国790の市の中で88位という高順位です。バランスの取れた開発がされているため、そこまで人が密集しているイメージがありませんが、実際には人口密度が高いのです。
それは坪単価にも現れており、駅周辺の土地の場合は坪単価160万円を超えます。それだけ人口密度が多くてもそれを感じさせないのは、自然を残し、緑豊かな公園を確保しながら計画的に開発を続けた、府中市と市民の方々の功績だと言えるでしょう。
人口密度が高いということは、基本的に不動産の査定ではプラスとなります。人口密度が高いということは当然ながら地価が高くなるからです。
反面、生活がしにくくなるというデメリットもあり、居住用物件の査定においては人口密度の高さがすべてプラスとは言えないのですが、あくまで不動産の査定は地価の影響を大きく受けますので、その点はあまり深く考える必要はないでしょう。また、府中市に限って言えば人口密度の高さと生活のしやすさを共存させており、これは不動産の査定を受ける側にとってはある意味理想的な状況と言えるでしょう。
進行する高齢化
府中市が抱える問題の一つに「高齢化」があります。高齢化の問題も、不動産査定を考えるにおいて重要なポイントの一つになります。
この地域は比較的賑やかな街なのですが、それでも日本全体が高齢化している以上、どの地域でもこの問題を避けて通るわけにはいきません。
府中の高齢化率は、2006年の16.3%から、2012年で18.8%まで増加しています。これは「100人の村」だったら「お年寄りが2人増えた」ということです。
それだけならいいのですが、「若者も2人減った」ということであり、残った若者の負担は「4人分増えた」ということになります。
これは府中市に限らず日本全体で指摘できる問題ですが、この地域も例に漏れず、そうした悩みを抱えているということです。
これは不動産の査定を考える上でも重要なポイントです。
たとえば分譲マンションではなく、マンションやアパートを一棟まるごと持っているという方の場合、それをハイグレードな有料老人ホームなどにリノベーションして、付加価値を高めて不動産の査定を有利にするという方法も考えられます。
物件をそのまま査定にかけるというのもいいですが、それで高い査定価格が見込めないというのであれば、こうした方法を検討するのも一つの手でしょう。
いずれにしましても、この地域での不動産の査定を考える上で、今後高齢化が進行していくということは重要なヒントになります。市の人口予測や街並みだけではなく、こうした数字まで考慮して、不動産を査定において有利になるタイミングを判断していく必要があります。