19Jul
埼玉県の商業の中心地である大宮では、マンションの査定においても独自の傾向がいくつか見られます。
「駅近の物件が少ない(駅近が高く評価される)」「駅の東西で環境が異なる(東西で求められる物件が違う」などですが、こうした大宮独自の傾向を知ることで、マンション査定においてより有利な条件を引き出すことができるかも知れません。
大宮独自のマンション査定の傾向
大宮のマンション査定を考えるにあたって、この地域特有の傾向について、一つずつ見ていきましょう。
駅近の物件が少ないことのマンション査定への影響
この地域の特徴として、大宮駅から徒歩15分以内の物件がほとんどない、ということがあげられます。理由は、古くから「門前町」として開発されてきたことにあります。
駅東側の「氷川神社」の門前町だったため、駅周辺にも古くから商店や住宅を構えている方が多く、それで土地が埋まってしまっているわけです。
西側が開発されたのは1980年代からですが、この時も当時不足していた大型商業施設やオフィスビルの建設が優先されたので、駅近には住宅がほとんど作られませんでした。
一部、西側には低階層の住宅密集地があり、これの一部を取り壊してマンションを建てるという動きも起きています。2000年代終盤から起きてきた動きで、これによって建設されたマンションも一部分譲が始まっています。
今後この流れが加速すれば、大宮でも駅近のマンションが増えてくるに違いありません。ただし、まだまだ他の地域と比べると、大宮における駅周辺のマンションが不足しているのが現実なので、駅に近い物件を持っていれば、当分の間は高額な査定を引出せる可能性があります。
駅の東西で、環境がまったく異なる
大宮は、駅の東西で環境がまったく異なっています。上でも触れた通り、東側は氷川神社の門前町、西側はバブル期以降の新しい街、として発展してきました。
門前町だった東側は、今でも趣のある街並みが広がっています。豪華な庭園を持つお屋敷が並ぶ高級住宅街、長い歴史を誇るアーケード商店街(一番街商店街)などが残されています。
新しさはないものの、閑静な住宅街を好む方にとっては東側の方がよりいい環境だといえます。
80年代から開発された西側は、開発のシンボルとなった「ソニックシティ」「大宮スカイビル」の二大商業ビルがあり、その周辺にも多くのオフィスビルが建ち並んでいます。
以前は、駅の東口と西口で利用者の数に5倍以上の開きがありましたが、西側の開発によって、この比率が今では逆転しています。
このように駅の東西で環境がまったく異なる大宮市ですが、今後マンションが多く建設されていくのは西側ということになるでしょう。
そのため、特に西側でマンション売買の競争が激しくなりますが、自分のマンションをより高く査定してもらうためには、ライバルとなる他のマンションの動向も見極めた上で、自分でベストと思われるタイミングで売却するのがいいでしょう。
大宮に限ったことではありませんが、今後のマンションの査定額を予想するというのは容易ではありませんので、まずは不動産業者に現状の査定額をだしてもらって、そのあとどうするべきかを冷静に考えてみるのがいいでしょう。
大規模な物件がやや少ない
大宮市は埼玉県の商業の中心ですが、それにしては大規模なマンションが少ない、というのも特徴です。総戸数が200までの物件は多くありますが、300を超えるようなマンションはほとんどありません。
そのため、駐車場などについても、「全戸駐車場付き」という物件の割合も高いです。
新宿まで30分でアクセスできるなど電車の便もいい大宮ですが、クルマ社会としての側面も伸びており、「全戸駐車場つき」が多いことは、住民にとってはありがたい特徴の一つでしょう。
マンションの価格にバラつきが出始めている
昔はさほど物件の価格にバラつきがなかった大宮近辺ですが、2000年代終盤から徐々に「格差」が広がってきました。
以前は比較的価格が高めだったのは、歴史がある「東側」の物件でしたが、今では地域を問わずにグレードや立地条件によって単純にマンションの査定額が決まる、という状態になっています。
たとえば立地で考えてみますと、同じ70㎡で3LDKという条件で物件を比較した場合、駅から遠い物件は4000万~4400万円弱なのに、駅近の物件では5000万円という例もありました。
1000万円~600万円という金額が「駅近かどうか」だけで変わるわけです。これは極端な例にしても、大宮のマンション査定においてそうした傾向があるのは間違いのないところです。
大宮の賃貸の家賃相場
大宮のマンションにおける賃貸相場ですが、ワンルームや2DKのマンションで、大体月6万円台~と言ったところです。大きな都市にしては、これはかなり安い家賃だと言えるでしょう。
こうした家賃の安さから、この地域に住んで新宿や池袋など都内に勤務するという方も多くいます。どちらも電車で30分でアクセスできるので、通勤や通学でも不便は特にありません。
ただ、この価格帯の賃貸物件の場合、駅から徒歩10分以内のものは少ないので、徒歩の時間を入れたら、通勤通学に片道1時間程度、ということが多いかもしれません。
しかし、都内で高い家賃を払うことに比べたら、大宮のマンションの家賃は非常に魅力的と言えるでしょう。
高級物件も人気 ~埼玉県初の認定免震タワーマンションが即完売
マンションの賃料相場がお手頃な大宮ですが、最近は高級マンションも人気になっています。
2013年には埼玉県のタワーマンションで初めて「長期優良住宅認定」を受けた免震物件「プラウド大宮」が、全168戸を即日完売するという実績をあげ、この時期の業界で大きな話題となりました。
この物件の価格は、4067万円~8478万円で、賃料相場の安い大宮では、そこそこの高級物件と言えます。特に埼玉県初の認定免震物件ということで、安全性については他のどの高級マンションよりも上であると言えるでしょう。
そのマンションが倍率4倍という人気を集めて即日完売したわけですが、これを見ると、賃料の安いこの大宮でも、高級物件のニーズはかなりあるということがわかります。
特に駅近で一定以上のグレードを持つマンションの場合、この物件ほどでなくてもそれなりに有利な査定額になると予想できます。
北陸新幹線が大宮のマンション査定に与える影響
2014年末の北陸新幹線の開業は、大宮のマンション査定にも大きく影響すると思われます。というのは、新幹線の路線を考えると、北陸の人々にとって、大宮が「関東地方のハブ」となるからです。
大宮に拠点を持っておけば、関東のどこにでも行ける
北陸新幹線がいくら便利といっても、東京―金沢間は片道2時間半かかります。つまり、旅行でもビジネスでも日帰りはややキツイということです。
そう考えるとどこかに宿泊したり、企業なら出張所を持ちたいということになります。その時一番立地がいいのが大宮なのです。
大宮は新宿・池袋まで30分、丸の内・新橋・秋葉原・お台場といった東京の主要部にも、1時間前後でアクセスできます。また、東京だけでなく横浜にも1時間、その他千葉など関東の主要部にも手軽にアクセス可能です。
こうした立地を見ると、北陸地方の企業が首都圏に進出する時、大宮を拠点とする可能性は高いでしょう。また、観光客の宿泊も増えると街に落とされるお金も増え、地域全体がうるおうことで、不動産の価値も高くなります。
このように北陸新幹線の開通はこの地域のマンションの査定にとっても大きなプラスとなるでしょう。開業は2014年末ですが、その後も富山駅が開業するなど、成長を続ける路線なので、影響はしばらく続くと予想されます。
以上、大宮のマンションの査定を考えるうえで参考となる情報・動向をいくつか紹介しました。直接マンションの査定に関わるものもあれば、間接的に関わるものもあるでしょう。
いずれにしても、マンションの査定というのはそこまで事前に深く考えるものではありません。査定というのは、売却をする前の参考として業者に価格を尋ねるという行為ですから、まずは気軽にいくつかの不動産業者から自分の持っているマンションの査定をしてもらうといいと思います。