9Jul

品川駅周辺は、今、鉄道がらみで不動産の売却価格が大きく上がっています。2027年開業のリニアもありますが、ここでは別の2つの新路線「上野東京ライン」と「空港都心直結線」を紹介します。
いずれも品川駅とその隣の泉岳寺駅がカギになり、首都圏の鉄道事情を大きく変えると期待されています。
この2つは「新しく線路と駅を作る」というわかりやすいものではないので、少々説明が必要ですが、これは不動産の売却にも大いに関係がある内容となります。
そもそも、不動産と鉄道開発はとても密接な関係がありますので、自分が不動産を持っている土地の鉄道事情を把握しておくというのは、将来の不動産売却においてとても重要です。
「新線が通るらしい→地価も上がるだろう」という短絡的な発想では、不動産の売却時に損をしてしまう可能性もあります。
ここでは、今後の品川における不動産売却の事情を、しっかりと理解するために、この2つの新路線の構造をていねいに解説します。
(リニアによるこの地域の変化は今回は省略しますが、こちらの記事で詳しく書いています。→東京のマンション査定 ~五輪・リニア・北陸新幹線の影響は?~
2015年春開業の、上野東京ライン
これは「上野より北のJR各線を、全部東海道線と直結させる」というものです。その構造から「東北縦貫線」という別名もあります。
「JR各線」というのは、「常磐線、高崎線、宇都宮線」のことです。今までは上野駅で止まっていたこれらの路線の電車が、東京駅や品川駅まで伸びることになります。
距離としては「上野~東京、品川まで伸びた」というだけで、直線距離で見ればそれほど長くありません。
ただ、これは距離の問題ではなく、東京や品川という主要駅に乗り換えなしでアクセスできる、ということが大きいわけです。そして、この新線のカギとなっているのが品川駅なのです。
ホームが4つ、線路が8本ある、品川駅の東海道線
この新線では、電車の乗り入れや切り替え及び通過が複雑化するために、「ホームと線路がたくさん」必要になります。それも「東海道線」のためのものが必要なのですが、東京駅や上野駅では線路もホームも余裕がありません。
これに対して品川駅は「ホーム4つ、線路8本」という圧倒的なスケールを持っています。このスケールがあれば、車両のやり取りも問題なくスムーズに行くため、「上野東京ラインのカギは品川駅」と言われているわけです。
品川―田町間に、新駅の構想も
ここまでの読んでいて「新しい駅を作れば?」と思った方もいるかも知れません。まったくその通りで、この新線のために新しい駅を作る、という構想が現実的になっています。
それが「品川―田町」間の新駅構想ですが、ここにはすでに「泉岳寺」という駅があります。この泉岳寺を「上野東京ライン」の新駅にして、「さらにもう一つ、別の新線のターミナルにする」という構想が浮かんでいます。
それが冒頭でも名前を出した「空港都心直結線」です。
泉岳寺から「空港都心直結線」を走らせる
この路線は、名前通り「空港と都心を直結させる」というものです。東京都内と近郊の空港はご存知の通り「成田」と「羽田」があります。
「成田」の方は「成田エクスプレス」で、東京・品川・横浜などから直接アクセスできます。なので、こちらはいいのですが、「羽田」が不便なのです。
品川からは直接行けますが、東京からは乗り換えが必要です。そのため「羽田と東京を直接結ぼう」ということで生まれたのがこの直結線の構想なのです。
同時に、「成田―羽田」も結ぶ
そして同時に「成田―羽田」も結んでしまおうということで、東京からさらに成田まで、路線を伸ばすわけです。路線を伸ばすと言っても、新しく線路を作るのは無理なので「今ある路線」を使います。その路線の組み合わせ方を書くと、こうなります。
・羽田(京急電鉄)
↓
・泉岳寺(ここから都営浅草線を使う。乗客は乗り換えなし)
↓
・東京(そのまま浅草線を走る)
↓
・押上(ここから京成電鉄を使う。乗り換えなし)
↓
・成田
というわけです。本来であれば「2回乗り換え」をしないといけないところですが、「全部1本の電車」とすることで、「乗り換えなしで羽田―成田」を実現しているわけです。
つまり「新しい線路を一切作らず、新線を生み出す」ということです。「上野東京ライン」もそうですが、今は新線と言ったら「新しい線路を敷設する」という時代ではなく「今ある路線を組み合わせて、さらにいいラインを作る」という時代なのですね。
このような時代の変化は、これからの不動産と鉄道の関わりも、変化させていくでしょう。
カギとなるのは泉岳寺
この構想でカギになる駅は泉岳寺です。理由は、この方法はどこかにターミナルとなる駅を作らないと、「路線がゴチャゴチャになる」からです。
上で書いたように「上野東京ライン」もターミナルとなる駅を探していて、ちょうど泉岳寺に作ろうとしているので、まさに「一石二鳥」なのです。
「上野東京ライン」「都心直結線」の両方でターミナル駅を新設したら、コストが2倍かかってしまいます。しかし、両方とも泉岳寺にすることで、コストを抑えられるのです。
こうして、泉岳寺が一躍この地域の「交通の要衝」となる可能性が高いと見られています。そうなれば当然、この地域における不動産の売却価格にも大きな影響が出るでしょう。
泉岳寺周辺の不動産は、今売却するべき?
いつ売却するべきかは、その不動産の種類にもよります。
土地の場合、それもこの新駅の場所に近く、店舗やオフィスビルなどを建てられそうな土地の場合は、早めに売却した方がいいでしょう。
まだ計画が完全に確定していないので難しいところですが、他の不動産の持ち主が先に売却して、自分の物件を売りに出した時には、買い手がなくて足元を見られるということがないようにしたいものです。
逆にマンションなどを持っている場合は、新駅の構想すら確定していない今の段階では、売却すべきでないでしょう。構想が確定していない以上、まだ多くの物件は価値が上がっていないはずです。
もちろん、利益を考えない不動産売却ということであれば、いつ売却してもいいわけですが、あくまでも投資的な考えをすると、もう少し様子を見た方がいいと言えるでしょう。
中古の一般住宅の場合も同じです。やはり売却するなら新駅によってこの地域の不動産価値が上がってからの方が得策でしょう。もちろん、その間も物件が少しずつ老朽化して価値が落ちるので、うまくバランスの取れる売り時を見つけるのは簡単ではありません。
品川の不動産売却をいますぐしたい人は
品川駅周辺にしても泉岳寺駅周辺にしても、売り時の判断は難しいものです。その不動産によってケース・バイ・ケースで、待つべき物件もあれば、すぐに売却すべき不動産もあるでしょう。
そのため、ルールをシンプルに考えた方がいいかと思います。つまり、
・いますぐ不動産を売却したいのかどうか
・今、不動産を売却したとしたら利益が出るかどうか
ということです。いますぐ売却したいと思っていて、なおかつその不動産の売却で利益が出る、という2つの条件がそろっているなら、「待てばもっと利益が出るかも」という期待は捨てていいかと思います。現時点で売りたいくて、なおかつ利益が出るという条件が2つそろっているわけですから。
「上がるかも」というのはただの期待に過ぎず、先のことは誰にも分かりません。
そうした視点で、品川での不動産の売却も気軽に考えてみてはどうでしょうか?