19May

千葉県は今、もっとも不動産の売却について真剣に、そして慎重に考えなくてはいけない地域です。なぜなら市場が、2008年のミニバブル崩壊以来とも言える危機的な状況に陥っているからです。
千葉県の不動産市場がどのように危険な状態なのか、なぜ売却を真剣に検討すべきなのか、その状況や理由について詳しく説明してみたいと思います。
供給過剰なのに価格を下げられない千葉の異常事態
現在、千葉県のマンションは供給過剰状態となっています。そのような時は不動産の相場が下がるのが普通ですが、さまざまな事情で「下げられない」状態にあり、このいびつな状態に、関係者は大きな不安を抱いています。
なぜ千葉がこのような状況になったのか、順を追って説明します。それらを知ることで、ご自身の不動産の売却のための参考にしていただければと思います。
なぜ、供給過剰になったのか?
これは、結論からいいますと首都圏のマンション用地が減少したためです。そのため地価が安くて都内にアクセスしやすい千葉県に、不動産業者がマンションを建て始めたわけです。
ちょうど消費税増税前の「駆け込み需要」のタイミングと重なったため、多くの不動産業者が「チャンス」と見て殺到し、県内の不動産の需給バランスは悪化させる結果となりました。
特に都内にアクセスしやすい総武線の沿線は急速に供給が増加し、値崩れが起き始めています。
駅前など条件のいい物件や、大手の不動産会社が手がけた大規模物件はそこそこ売れていますが、そうでない物件は苦戦を強いられています。
実際、総武線沿線で2012年以降に売りだされたマンションの47%で、それぞれの不動産会社が「売却できずに苦戦している」と答えています。(不動産コンサルティング会社・トータルブレインによるヒアリング調査)
このように売れていないなら「価格が下がる」のが常識です。しかし、実際は売却価格が下がる気配がありません。「下げたくても下げられない」のです。
オリンピックや円安の影響で、建設コストが高騰している
「下げたくても下げられない」のは、オリンピックや円安によって建設コストが高騰しているからです。「五輪会場の建設で、業者が忙しい」「円安で、資材の輸入価格が高くなっている」ということです。
こうして建設コストが上がれば、当然完成した物件も高い値段設定にするしかありません。そのため、「買い手がつかずに売却できないで値段が高いままのマンション」が、千葉県にあふれているわけです。
誰も買わないまま状況が悪化する
当然ですが、ただでさえ供給過剰なのに値段が下がらないとなると、誰も買いません。その結果「買い手のつかない物件」が売却できずにそのまま放置され続けるということです。
物件を販売する業者に余裕があるうちは、まだこれでもいいでしょう。しかし、余裕のなくなった会社は「思い切り値段を下げる」という緊急手段で売却するしかありません。
1件でもこれが起きると、そのまま千葉県の不動産市場は総崩れ状態となりかねません。関係者の間では、今それがもっとも危惧されています。
2008年のミニバブル崩壊と同じ状況
2008年のミニバブル崩壊でも、これと同じ状況が起きていました。当時は海外から投機資金がつぎ込まれ、日本の不動産価格が高騰していましたが、投機によって上がっただけで、実態は何もないものでした。
景気がよくなったわけでもないので、消費者の所得は上がっておらず、高騰した不動産を誰も買えない状態が続きました。投資家たちも手を引き始め、徐々に物件が売れ残り、焦った不動産会社が物件を値下げして売却に走りました。
これで売れるかと思いきや、その値下げを見て消費者が「待ち」に入ったのです。つまり「もっと安くなる」と期待したわけです。
これを「先安期待」といいますが、これによってますます売れ行きが悪化し、さらに不動産業者が値下げをし、さらに消費者が待つという悪循環が起きました。
結果、92年のバブル崩壊のように致命的な状態となり、ミニバブルは終焉しました。
この時、崩壊の引き金を引いたのは「東京都東村山市」の物件でしたが、今の千葉県でも1つの物件が安売りに走ることで、これと同じ状況が生まれる可能性があるのです。
マンション以外の不動産の売却への影響
この市場崩壊の危険は、戸建住宅などの他の不動産でも例外ではありません。マンションの売却価格が崩壊すれば、戸建住宅の売却価格も崩壊します。
「マンションが安いから、そちらに住もう」と顧客がマンションに流れるからです。戸建住宅もそれを防ぐために、価格を下げざるを得ません。
マンションも戸建住宅も価値が下がるということは、土地そのものの価値も下がるということです。なぜなら、その土地にマンションを建てても住宅を建てても、利益が出せないからです。利益が出せない土地の価値が下落するのは当然です。
このように、マンションの価格が暴落すれば、その地域の不動産物件すべての価格が暴落するのです。あなたの持つ不動産が土地や戸建住宅であっても、千葉のマンション市場における現在の危機状況は、決して他人事ではない、とわかっていただけるでしょう。
これが、冒頭で千葉の不動産売却に関して、慎重に考えなければならないといった理由です。
千葉の不動産は、いま売却するべきなのか?
土地や戸建住宅の場合はケース・バイ・ケースですが、マンションの場合は悩むところです。というのは、いま売却しようと思って査定を受けても、おそらく評価は低いからです。すでにこれだけ供給過剰になっているのだから当然でしょう。
では、そのまま売却せずに物件を持っておけばいいのかというと、これもやはり危険です。上に書いたように、千葉の市場はいつ崩壊してもおかしくないからです。
つまり、売却するのも難しい、持ち続けるのも難しいという状況ですが、「ひとまず査定だけ受ける」ということは重要です。
売れ残りが続く総武線沿線でも、駅近の物件は売れています。そうした例外として、高い査定価格がつく可能性もありますし、何より査定というのは一番「生きた情報」が手に入る行動です。
その査定結果を見てから、売却すべきかどうかを冷静にかんがえてみるといいでしょう。
要は、自分の千葉の物件がどうなるかが問題
多くの方にとって市場がどうなるかなどどうでもいいはずです。要するに自分の不動産が高く売却できるかどうかが問題なのであり、一番重要な情報は「自分の物件の売却価格」です。
千葉の不動産の動向が危機的な状況であるという点だけにフォーカスして冷静さを失うと、売却に失敗しかねません。
補足情報 ~千葉の不動産市場の震災後の回復~
千葉県の不動産価格は東関東大震災後に大きく落ち込みました。液状化が懸念されたこと、いくつかの地点がホットスポット(放射性物質の量が多い地点)と指摘されたことなどが原因です。
この時期は住宅も思うように売却できず、多くのオーナーさんが苦しんでいましたが、その状況に関してはほぼ改善されました。
2012年の夏に、総戸数334戸という大型物件「プラウド船橋」が即日完売したことをきっかけに、大規模物件が次々売れるようになったからです。
少なくとも不動産の売却に関する「震災の後遺症」は、千葉ではほぼ克服されたと言ってもいいでしょう。もっとも、この時期に市場が勢いづき過ぎて、先に書いたような供給過剰が起きてしまっているわけですが…。
近年の千葉県のマンション売却価格の動向
千葉県の新築マンションの売却価格の動向を見ると、平均価格が大きく値上がりしたのは2008年です。約4800万円という高値で、原因はもちろんミニバブルです。
これが崩壊した2009年には約4500万まで落ち込み、2010年に4700万まで回復したと思ったら、今度は震災で4500万まで下落しました。その後回復して「売れないにも関わらず値段が高い状態」となっている現在は、4800万を超えています。
「売れないのにミニバブル時代の価格を超えている」わけですから、これがどれだけの異常事態か、あらためて実感できるでしょう。
このことが千葉で物件を持っている方の売却のタイミングを難しくしているわけですね。
2012年の約1.5倍のマンションが新築された2013年
さらに参考として、2012年と13年の千葉の新築マンションの戸数を比較すると、2012年が約4000戸だったのに対して、2013年は約6000戸と1.5倍になっています。
「震災の傷跡から回復した」といういいデータとして見ることもできますが、ここまで度々触れている供給過剰状態でもあり、データを鵜呑みにするわけにはいきません。
何度も繰り返しになりますが、現在の千葉において不動産の売却のタイミングに関しては非常に微妙な時期と言えます。
しかし、危機的な状況に加えて、先のことは誰にも分かりませんので、千葉に売却予定の不動産を持っている方は早めの行動がベターかも知れません。