30Jul
静岡市は、新スタジアムの建設など、再開発の計画も多く進んでおり、マンションの売却も活発になっている地域です。
震災のリスクが高いと言われる地域ですが、その備えも兼ねた「内陸フロンティア構想」を進めるなど、独自のやり方で不動産市場を盛り上げています。
ここではそのような静岡市の取り組みや近年の動向の中で、特に静岡のマンション売却において参考になるような情報を提供します。
東静岡にアリーナ兼スタジアムを新設か
マンションを高く売却するためには、再開発の流れにうまく乗ることが大切です。しかし、すでに再開発が決定した段階では、多くの不動産会社や投資家が動いているため、有利な売却はできません。
そのため、ここでは「まだ決定していない再開発」を紹介します。
それが「東静岡アリーナ兼スタジアム新設構想」です。現在、東静岡には2.5haという広大な敷地がありますが、市はここにアリーナ兼スタジアムを建設する構想を立てています。
実行するとしたら約200億円の費用が必要となりますが、いまのところ市の予算からそれは出せません。そのため、民間企業の資本を呼び込もうと計画しているようです。
14年度中には構想が固まるということで、静岡のマンション売却の動向を左右する重要な要素なのは間違いありません。
もしこれが完成するとどうなるか、マンションの売却に直接関わる部分をシミュレーションしてみましょう。
スタジアムの収益を出すために、ショッピング&グルメ街を整備
スタジアムの利益を出す方法は、試合の観戦料だけではありません。試合の観戦料やスタジアムの場所代(イベント主催者などから徴収)も大事ですが、利益を出しているスタジアムは総じて「飲食や買い物」からも収益を出しています。
スタジアムに集まった大勢のお客さんに、飲食や買い物をしてもらうわけですが、そのためには施設が要ります。
特にこうした場所に集まる人々は「非日常の空気」を求めていますから、それを演出できるようなおしゃれな空間であれば、多少単価が高くてもお金を使ってもらうことが可能です。
静岡市もこうした方針を明言しており、田辺市長ご本人が「食事やショッピングをするなど、人が集まり、にぎわう仕組みづくりが必要」と語られています。
市がこうした方針を明言している以上、スタジアム建設が決まれば、このスタジアム自体が、グルメやショッピングで人を集める「にぎわいスポット」となる可能性があります。
しかし、せっかく作ったレストランなどが、試合のない日に客がこないという状態では利益が出せないですから、普通のグルメ街としても人が集まる仕組みを、民間企業なら必ず作るでしょう。
こうしてスポーツ・ライブ・グルメ・ショッピングが一通り楽しめる空間ができれば、東静岡はさらに賑い、このエリアのマンションの売却は有利になる可能性があります。
この構想が実現するかどうかは未知数ですが、実現したとしたら、静岡でマンションを売却する方にとっては、この上ないチャンスでしょう。
リニアの通らない静岡が、リニアで活性化する理由
他にも静岡のマンション売却を活発にする要素としては、「リニア開業」が挙げられます。
2027年に開通するリニア新幹線は、静岡は通らずに日本の中央を一直線に横断します。ということは、むしろ静岡は衰退すると思う方も多いでしょうが、実際は逆です。
リニアが通ることによって、この地域は活性化します。
なぜなら、そのことにより「新幹線に通過される街」でなくなるからです。これまで静岡は、新幹線の「のぞみ」にひたすら通過されるエリアでした。
「ひかり」や「こだま」はその通過待ちをしなくてはいけないので、実際よりも遅いスピード移動することしかできませんでした。(本当はもっと早いはずなのです)
リニアが開通することで、のぞみはもう役割を失います。「東京―名古屋」の輸送は、リニアに任せた方がいいからです。(名古屋―横浜も同じです)
そうなると新幹線からのぞみが消えて、ひかりとこだまが中心になります。これによって静岡の人々は新幹線に乗るのも降りるのも、現在よりもっと快適になります。
通過するのぞみも含めれば、現時点で静岡県内の駅は、5~10分に1本は新幹線が通っています。ということは、これがひかり、こだまに入れ替わったら、静岡県内の駅は5~10分に1本新幹線が来るということになります。
実際には乗客数の問題もあるのでもう少し減るかも知れませんが、それでも県内の移動が相当便利になるのは間違いないでしょう。
そうなれば、いまのままでは通勤・通学に不便であった物件でも便利になり、より高額でマンションが売却できるようになる可能性が高くなります。逆にそうした新幹線の駅寄りの物件に顧客を奪われて、売却価格がさらに落ちるマンションもあるでしょう。
どうなるかはマンションによってケース・バイ・ケースですが、このようにリニアが市場に影響を与えることは間違いありません。
地価はピーク時の20%、近年はほぼ横ばい
静岡市の地価は現在、ピーク時の約20%まで落ち込んでおり、ここ数年はほぼ横ばいです。(ピーク時は、バブル崩壊直前の1992年です)
ただ、20%まで落ちたとは言っても、急激に落ちたというよりも、20年かけてじわじわと落ち続けたという印象です。
理由はおそらく、静岡銀行がバブルの影響を受けなかった、というものでしょう。静岡銀行は当時としては珍しく、バブル不動産に手を出さずに堅実に本業を営んでいたため、バブル崩壊の影響を受けなかったのです。
地域の銀行がそのように堅実だったため、静岡の不動産全体も、バブル後に急落しなくてすんだのかも知れません。
じわじわ落ちていった静岡の地価ですが、ここ数年は横ばいです。静岡県不動産鑑定士協会が2013年に地元業者に対して行ったアンケートでも、大半の業者が「横ばい」と答えました。
例外は、伊豆・富士・志太エリア
例外として「下落」という回答が多かったのが、伊豆・富士・志太エリアで、それぞれ「下落」が33~38%あります。
一応一番多い回答は「横ばい」ですが、3分の1が「下落」なら、まだまだこれらの地域は下落の恐れがあると見ていいでしょう。
今後売却しやすいのはどんなマンションか?
今後、静岡においてどんなマンションが売却しやすいかを考えてみたいと思います。まず駅前の場合ですが、この地域はある程度グレードの高い物件でも売れるといえます。
それは市の最高価格地である呉服町に、2014年4月にオープンした「呉服町タワー」を見てもわかります。
低層に商業施設、高層にマンションを入れた複合商業施設ですが、高い価格帯にも関わらず、すぐに完売しました。同様に、草薙駅などでも高層タワーマンションの建設が進んでおり、こちらも非常に高い人気です。
これらのマンションの人気を見ても、駅前でさえあれば高級物件でも売却できる、ということがわかります。また、中心商店街の人通りは2004年~2009年の5年間だけで2割減ったと言われています。
中心商店街を利用しなくなった人々の多くは、デパートのような商業施設か、自動車で行ける郊外のショッピングセンターに出かけているはずです。
ということは、中心部でデパートなどが近くにある場合は、「デパートなどの施設に近い」というアピールが有効です。
郊外のマンションの場合は、そこに住んで自動車を使いながら暮らす便利さを強調すると、より短期で有利なマンション売却ができるでしょう。
このように、地域の人のライフスタイルの変化もつかみながら、ご自身の物件に合わせたアピールをすることがマンション売却においては重要です。