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新潟のマンション売却 とニーズ~北陸新幹線開業による影響

中心部の急速な衰退や「2014年問題」などで、閉塞感の強い新潟市では、マンションの売却価格も今後下落する地域が多いと予想されます。

新潟市が抱えている問題はどういうものなのか、それがマンションの売却にどのような影響を与えるのかについて解説してみたいと思います。

2014年問題 ~北陸新幹線開業による活力低下~

2014年末、北陸新幹線が金沢駅まで伸びることになります。これは新潟県にとっては競争力を低下させる大変大きな問題で「2014年問題」と呼ばれています。

新潟にとってなぜこれがデメリットとなるのかといえば、関東から新潟をパスして北陸に行けてしまえるからです。

それまで「関東-北陸」を結ぶ新幹線はありませんでした。そのため、上越新幹線で一度新潟に出て、それからほくほく線(北越急行)に乗り換えて金沢などの北陸にアクセスする、というルートが取られています。

しかし、北陸新幹線によって関東と北陸が直接結ばれることになります。つまり、新潟を経由せず「群馬→長野→富山→石川(金沢)」というルートで、北陸にアクセスできてしまうのです。

ただし、新潟の西端の「上越市」は通りますので、新潟が完全にスルーされるわけではありません。

しかし、新潟県内の上越新幹線やほくほく線がらみて得ていた利益が大幅に減ってしまう可能性が高く、これが新潟にとって大きな打撃となると予想されています。

2014年問題がマンションの売却価格に与える影響

2014年問題は、マンションの売却価格にも当然大きく影響します。地域の幹線道路や鉄道の問題は、どうしても不動産の価値に直結してきますので、これはいかんともしがたいと思います。

2014年問題により、上越新幹線やほくほく線だけではなく、JRの信越線、羽越線なども運行本数が減ると予測されています。

つまり、新潟全域での鉄道が以前より不便になるわけですから、市民の「住みたい度」も、企業の「競争優位性」も落ちてしまいます。当然引っ越しや本拠地の移転なども増える可能性があります。

こうした移転や引っ越しがどれだけ増えるかは未知数ですが、少なくとも以前より新潟という土地の価値が下落することは、間違いないとみられています。

そのため、新潟でマンション売却を考えている方は、早めにアクションを起こした方がいいかも知れません。

完成が6年も延期された高架化事業

2014年問題で金沢駅に対抗する施策の一つとして、市は「新潟駅の高架化」を進めていました。駅を高架化して、これまでホームが別々だった上越新幹線と在来線を、同じホームで乗り換えできるようにしよう、という計画です。

実現すれば見た目のインパクトも大きく、利便性も向上するため、とても注目されていた計画でした。しかし、当初の2015年完成予定が大幅に伸び、今では2021年完成予定となっています。

金沢市が新幹線開業で盛り上がる中、この大幅な計画遅れのアナウンス(2012年に発表)は、市民を大きく落胆させてしまいました。

そういった人の心理が、不動産価格に反映されないわけがありません。マンションを売却予定の人にとっては、非常に厳しい状況と言わざるを得ません。

中心商業地の急速な衰退

新潟市の中心商業地の古町は、名前の通り古くから栄えてきたエリアで、県外から新潟市に進出する小売業者なども、一度は視察に訪れたといわれる場所です。

しかし、そんな古町がここ数年、急速に衰退しています。古町を代表する通りである古町十字路は、かつては県内でも最も多くの人が行き来した場所でしたが、2009年には十字路の4つの角のうち、2つが空き地という異常な事態が発生しました。

古町十字路を知らない方でも、地域で一番の大通で同じ光景を想像していただければ、これが相当深刻な事態である、ということは容易に想像できると思います。

地下街の約半分が空き店舗に

衰退が深刻だったのは古町十字路だけではありません。古町には西堀ローサという地下街がありますが、ここでも同時期、約半数のテナントが空き店舗になるという深刻な事態となりました。

リーマン・ショックの影響があったにしても、地下街の半分が空き店舗というのは、地域の大きな衰退を意味します。

60年続いた老舗百貨店も撤退

この時期の新潟市に最もショックを与えたのは、老舗百貨店「大和」の撤退があげられます。

新潟市、長岡市、上越市の県内主要3都市で、約60年に渡って市民・県民に親しまれてきた大和は、2009年に3つの市すべてで閉店しました。地元を代表する企業の「消滅」は、県民に大きなショックとなりました。(先に紹介した十字路の角地も、一つはこの大和です)

「天地人」効果も吹き飛ばす

当時はNHK大河ドラマの「天地人」の舞台になったことで、観光客が増加するなど市民の気分も盛り上がっていました。

しかし、中心市街地の衰退や、この大和撤退のニュースがその盛り上がりを吹き飛ばしてしまったと、多くの人々が述懐しています。

5年経った今でも未定の古町再開発事業

数ある新潟市の再開発事業の中でも、古町の再開発は特に重要と位置づけられています。しかし、そのメインとなる大和跡地の再利用は、5年経った今でも計画が具体化していません。

2014年3月の定例市議会でも「計画熟度の高まりが必要」とだけ述べられ、具体的な計画がまだ出ていないことが明らかになりました。

向かい側の、もう一つの空き地だった書店跡はすでに再開発がスタートし、4つの角地のうち、2つが空き地という状況は解消することになります。

しかし、大和跡地が空白という状態が、新潟市民に与える精神的影響は大きく、ここの再開発なくして、新潟市の発展はありえないという声が、市民を集めた再生会議でも度々聞かれています。

少し明るい材料としては、古町でしばらく空室となっていた高層マンションの低層が、メガバンクの支店で埋まったことです。このマンションの空室も、この地区の衰退を感じさせる光景の一つだったため、それが解決したことは明るい材料と言えるでしょう。

新潟のマンション売却におけるプラス材料 ~BRTの導入~

実は、新潟のマンション売却を考えたときに、プラスとなる材料もあります。代表的なものは「BRT(バス高速輸送システム)」の導入です。これは「バス専用路線を整備し、バスが市内を高速で走れるようにする」というものです。

市電の車両がバスになる、と考えていただくとわかりやすいでしょう。2014年末に暫定開業が決まっており、車社会であるこの地域を変える構想の一つとなっています。

最初に開業するのは「駅~古町」の区間で、その次は「駅~鳥屋野潟」の区間。古町は先ほど述べた中心市街で、鳥屋野潟は駅から1km南の大規模な公園であり、どちらもさほど遠い距離ではありません。

また、2区間目の開業は2022年の予定です。かなり先なので、当面はこの計画がマンションの売却価格を左右するようなことは少ないでしょう。ただ、市が「脱・車社会」を目指しているということは、長期的に見てマンションの売却にも影響を与えることになるでしょう。

車社会である新潟では、これまでは郊外の大型商業施設に多くの人が集まっていましたが、バスや電車で「郊外→都市部」のアクセスがしやすくなれば、今後変化が起きる可能性もあります。

また、交通機関以外の部分でも、「脱・車社会」に向けて、不動産の物件が動く可能性があります。BRTよりもむしろそうした別の要因から、マンション売却の影響が出ることでしょう。

もともと新潟は、人口80万都市なのに車社会というのは、全国的に見ても珍しい傾向でした。それが是正されるのはごく自然な流れなので、マンションの売却価格の動向を占うためにも、この方面にはぜひアンテナを張り巡らしておくべきでしょう。

新潟市のマンションはいま売却するべきか?

ここまで紹介したように、新潟市の発展にとって不利な材料がそろう中、こうして市民の「テンション」まで落ちている状態では、マンションは早めに売却した方がいいと言えます。

マンションをはじめとする不動産の価格は、物理的な条件だけではなく、人々の「心理」によっても大きく左右されるからです。新潟の人々の心理は、少なくとも不動産がらみではいま確実に下落傾向にあり、今後も改善が期待できる要因は少ないです。

こうした状況では、早めのマンション売却が賢いといえるでしょう。現時点で保有するマンションを売却すると、どのくらいの値段になるのかを知るために、まずは査定だけでも受けてみるといいかもしれません。

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