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ANREALAGEは次世代を担うブランドになり得るか

2014.05.13

ANREALAGEは次世代を担うブランドになり得るか はコメントを受け付けていません

ANREALAGE(アンリアレイジ)ほど毎シーズンのコレクションが面白いブランドはありません。

意識的に作られた斬新なデザインからは、作り手の強い意志と、服に対する挑戦の姿勢が感じられるでしょう。

数多くのブランドがひしめく東京で、同ブランドは世のトレンドに流されずにたしかな地位を築きつつあります。新たなファッションの在り方を提示し続けるANREALAGEは、はたして次世代を担うブランドになるのでしょうか。

日常と非日常を行き来する服で、ひと時代を築くという理念

ANREALAGEとは「 A REAL(日常)」と「UNREAL(非日常)」、そして「AGE(時代)」の三語を意味する造語です。日常と非日常の二つを表現することで時代を築いていきたいという意味が込められています。

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同ブランドが服を通して伝えたいことは、普段人々が見落としがちな日常に潜むものでそうです。おそらく、何気ない日々に非日常的な要素をくわえることで、ささいなことに気づかせるのがデザインの狙いでしょう。

世のブランドは、大まかには前衛的である芸術性に特化させたものと、人々が着ることに特化したものにわけられます。ANREALAGEは前者に当たりますが、コンセプトを見る限りただ芸術性を追求するつもりはなさそうです。

人と服の関係に一石を投じるテーマとデザイン

2014春夏のコレクション▲上の画像は2014春夏のコレクションのもので「SIZE」というテーマで制作されました。大きいと小さいの線引きはどこか、人が服に歩み寄るか、それとも服が人に歩み寄るかという疑問を投げかけています。

デザイナーが上記のような問いを投げかけたのは、既製品の存在へ疑念を抱いたからだそうです。そこには「あらかじめ用意されたサイズのどれかに人の身体をわけるのは乱暴だ」という思いがあります。

一見すると同ブランドのコレクションは、毎回とてもテーマを重視したアーティスティックなものに感じますが、実は日常で着るもののことを考えており、服が人に寄りそいつつも人々に影響をおよぼすための工夫がなされています。

非日常で日常を変え、日常から非日常を見つめる

つまりANREALAGEは、コレクションで作った服のデザインやテーマが必ず日常に還元できるようにしているということです。ファッションのアート性が日常的なものとなるよう努めている、と言い換えてもいいかもしれません。

2011年秋冬のコレクション▲こちらは2011年秋冬のコレクションで「LOW」というテーマで発表されたものです。さまざまな柄の解像度を下げることで別のものが見えてくるのではないか、という考えのもとデザインされました。

普段見ているものも視点を変えればまるで違うものになる、というのは模様だけでなくあらゆるものにも言えることです。以上のことからわかるように、同ブランドは人に何かを気づかせるようなデザインを追求し続けています。

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服の在り方を変えられるか!?~業界の世界と人々の狭間で

テーマに人々の生活、そして現代では常識になった服の在り方へ疑問を持ち続けるANREALAGEの姿勢は、ファッションシーンを揺るがすものです。同ブランドの考えが広まれば、服は大きな変化を遂げることでしょう。

しかし、はたして業界に強い影響を与えるほどの力があるのでしょうか。ファッションというジャンルが確立され、トレンドや服の雰囲気が重要視される時代で、彼らの作る服が時代を担うほどのものになるかは大きな問題です。

通常、テーマを最優先する芸術性の高いブランドの服は、一般の人々には着られないデザインです。おかげでファッションの世界で有名になっても、一部をのぞき一般の人々にはあまり知られません。

強い影響力をもつようになるかはブランド次第?

日常に寄りそうファッション

ですが、ANREALAGEが求めているのは日常に寄りそうファッションです。非日常性を織り込みつつも人々への配慮や「着られる服」であることを前提とした制作姿勢は、きっとファッションに興味のない方にも伝わるはずです。

また目新しさよりも、着た時にわかるような細かでていねいな作りを大切にしているので、ファッション・フリークにとっても満足できる服に仕上がっています。多くの心を捉えるデザインは、海外においても認められることでしょう。

ただアンダーカバーなどの大成したブランドと同じく、大きな影響力を持つブランドになるには、今後も新たな服の在り方を提示し続けなければいけません。ですので次世代を担うかどうかは、これからの活躍次第と言えるでしょう。

前衛的で尖ったデザイン

ANREALAGEはファッションに対する芸術性を追求しつつも、日常における服の役割を常に忘れないブランドです。一見すると前衛的で尖ったデザインの中には、服や日々の生活に対するさまざまな疑問が込められています。

同ブランドはただ「おしゃれである」ことをよしとしません。人に歩み寄ったものに服がなるよう努める一方で、非日常的なデザインが日常に溶け込むことも試みており、現代における新たな服の在り方を提示し続けています。

難しいことではありますが、彼らがファッションに対して挑戦をつづけ、その姿勢をつらぬき通せば、きっと少なからず服飾に影響をもたらすはずです。次世代を担うかもしれないANREALAGEの動向に、今後も目が離せません。

By筒井

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