Fugahumというブランドが発信する日本文化への深いメッセージ
Fugahumは流行に流されがちな現代のファッションに一石を投じるブランドです。
たしかなブランドテーマを打ちだすだけでなく、日本文化に対する深いメッセージをもファッションに込めて、人々に発信しています。
彼らのファッションは服という分野にとどまらず、ダンスや彫刻を用いるなど多彩な表現方法をつかい、一ジャンルにとらわれません。
いったいFugahumは、ファッションを利用して何をなそうとしているのでしょうか。
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架空国家という視点を持つことでものごとを問うブランド
Fugahumというブランドは少し変わっています。架空国家「フガハム」を築いた先住民族が、大陸にきた侵略者たちに支配されたことで、異文化を取り込み新たな価値観を持つようになったというのがコンセプトです。
そして他文化の影響を受けたことで変化していく国の歴史を、コレクションごとのテーマを通じて発信していくというのが目的になっています。ただ、伝達方法はファッションだけでなく、服が関わるあらゆるものを用いるそうです。
いろいろな方向からのアプローチは「フガハム」という国家の輪郭をはっきりとさせるためだけのものではありません。「架空の国家」という新たな視点を持つことで、他国から見た日本文化はどうかということさえも考えさせます。
トレンドに反逆!流行になびかない
彼らがやっていることは流行に沿っていないどころか、ある意味では逆行さえしていると言えるでしょう。いわゆる世間一般で「ファッション」と呼ばれるものとは大きく異なり、服の存在感もかなり強いです。
たとえば、上の画像は2011春夏のものですが、トレンドを取り入れたデザインには見えません。柄はもちろん服の形もかなり変わっています。もし道端でこのようなものを着ている人がいたのなら、思わず振り向いてしまうでしょう。
2011春夏のテーマは「WAKE UP」だったそうです。無意識を意識化することで潜在意識を呼び覚まし、まわりの情報に流されなければ、自分が本当に必要なものを選択することができるのではないか、という考えが根底にあります。
「フガハム」は日本?架空国家の歴史に見る現実の歴史
彼らが毎シーズン、とても哲学的なテーマのもと個性的なデザインのものを作るのは、自身のイメージを人々に伝えたいという強い思いがあるからでしょう。架空の国の歴史的背景を考えて作り込まれた服は、とても魅力的です。
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なぜFugahumがこれほど歴史を重要視するのか考えると、ブランドが持つコンセプトに込められた思いを読み取ることができます。おそらく彼らは「別の国から見た日本」という視点を持つことを、服を買う人々に求めているのでしょう。
それは、わざわざ「フガハム」という国家が他国に侵略されて、新しい価値観を持ったという設定があることからも明らかです。戦争や侵略、他の文明が入ったことにより生まれた文化など、日本の歴史と重なる部分が多くあります。
コレクションを通じて自分の哲学をつらぬき通した
多くのアートが社会的な意味を持つように、おそらくFugahumも現代日本に対して社会的メッセージを送っているのでしょう。今のまま消費と生産を繰り返し、トレンドに流されるままでは、文化が衰退してしまうことを心配しています。
だからこそ、潜在意識を呼び覚ますというようなコレクションテーマが生まれ、各々が自分にとって正しいものを選ぶ力を、育む大切さをうったえたのかもしれません。他のブランドには決して真似できないことと言えるでしょう。
しかし、数々の哲学的なテーマをかかげたコレクションも2012年にひとまずの終わりを迎えます。Fugahumは当初の予定通り、10シーズン目で国家「フガハム」の全容を伝えきり、「新たなファッション」としての役目を果たしました。
新たな出発、第二幕。今度は自然を相手どる服!?
そしてブランドの第一幕を閉じたあと、2012年秋冬コレクションからFugahumの第二幕が開始されたようです。「WEED OUT(自然淘汰)」というテーマのもと生態系の進化論についての服を展開しました。
今までと違い「フガハム」という架空の国家に言及したものではありません。人の営みや文化だけでなく、今度は自然の中に存在する摂理にさえも言及しており、もはや国家ではなく一つの惑星についての考えが込められています。
一見してかなり壮大なテーマになったように感じるかもしれませんが、基本は変わっていません。Fugahumがファッションを通じて発信しているのは、いつも常に人が当たり前と思っているものの価値をゆるがす新たな視点です。
Fugahumはブランドと同名の架空国家が持つ歴史や文化を、ファッションに込めて発信することで既存の価値を問い直します。おそらく、現代日本で当たり前の考え方や選択が正しいかを人々に考えてもらうためでしょう。
「他国から見た日本」という視点を手に入れることで、同ブランドの服を着る人々はあらゆる常識に疑問を持ち、自分なりの答えを見つけるチャンスを手に入れます。うまくいけば、人間的に大きく成長できるでしょう。
多くの文化への疑問を提起し終えたFugahumは第一幕を閉じました。2012年から始まった第二幕の「自然淘汰」では、今まで以上に新たな視点を提供してくれるでしょう。
By筒井
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