アート引越センターの歴史と、業界トップレベルになった理由
これまでこのブログでは、サカイ引越センター、アリさんマークの引越社の歴史を紹介してきました。
それに続いて、アート引越センターの歴史も紹介します。
(両社の記事はこちらです。→「アリさんマークの引越社の歴史」 「サカイ引越センターの歴史」)
ユニークな戦略で知名度を高める
アートはさまざまなユニークな戦略を用いて知名度を高めてきました。
これらの手法は他の業界でも参考にできる部分が多くあります。
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■電話帳で最初に表示される名前
そもそも「アート引越センター」という名前の由来が「タウンページで最初に表示される」というものでした。
最初に表示されれば当然目立つので、注文が増えるだろうというわけですね。
ただ、現在では「アーアーアーアンシン引越サービス」などの似たような社名が複数あり、それらの方が五十音順で先に来るので、アートは3番目前後に来ることが多くなっています。
■覚えやすい電話番号「0123」
CMでは多くの会社が電話番号を連呼しますが、あれを正確に覚えて電話できる人は少ないです。
そのため、覚えやすい番号にしようということで、アートは「0123」を番号にしました。
この効果はてきめんでしたが、CMでドラえもんが「電話してね」と言っていたため、ドラえもんと話せると勘違いした子供たちからも、たくさん電話がかかってきたそうです(笑)
創業者の人生がドラマになる
アートの創業者は寺田千代乃さんですが、一代で日本を代表する引越会社を築き、業界にユニークなサービスをたくさん導入したということで、彼女の人生は多くの人の関心を集めていました。
そのため、彼女の半生は「あなたの人生お運びします」というタイトルで、2003年にドラマ化されました(主演は藤原紀香さん)。
会社創業者の人生がドラマや映画になるという例は多いですが、引越業界では今のところ寺田さんが唯一です。
■創業者が劇的な人生を歩むことは、大きな宣伝効果がある
会社の歴史をドラマにするというのは、当然いくらお金を積んでもできることではありません。
仮に自主制作したとしても、それを全国ネットで放映するというのは当然不可能です。
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しかし、このアートの例のように創業者の人生が面白ければ、テレビ局が進んで制作して放映してくれるんですね。
この広告効果が計り知れないことは言うまでもありません。
同じことはアップルのジョブズでも言えますし、フェイスブックのザッカーバーグでも言えます。
創業者が強い信念を持って劇的な人生を生きることは、それ自体もビジネスの原動力となるし、それが作品になって広告効果があるという点でも、やはりメリットがあるのです。
独自の車両を次々開発
アートは他社が手がけていないようなユニークなサービスを多数提供しています。
たとえば「客室つきトラック」「車も一緒に運べるトラック」などです。
■ファミリーサルーン(客室つきトラック)
これはアートのサービスの中でも特に独特のものです。
トラックの中に家族用のくつろげる客室がついているもので、中にはテレビやソファなどがあり、旅行気分で引っ越しをすることができます。
外見は高速バスのようになっていて、引っ越しのトラックのイメージとはかなり違ったものです。
料金を追加で請求されることはなく、家族の引っ越しであれば、通常料金でそのまま使えます。
■カーキャリー(自動車陸送用車両)
自家用車があれば車両の引っ越しも必要です。
アートでは荷物と一緒に自動車も運べるように、専用の車両を開発しています。
ファミリーサルーンもこれらのカーキャリーも、三菱ふそうや日野自動車などのバスやトラックなどの車両を改造する、という形で開発しています。
アート引越センターが起こした不祥事
ここまではアートのいい部分、歴史を書いてきましたが、アートは不祥事もいくつか起こしています。
褒めるだけの記事では宣伝のようになってしまうので、それらについても触れさせていただきます。
■会長がわいせつ行為によって辞任
2009年に、当時の会長だった寺田寿男氏が高校2年生の女子に対してわいせつ行為を働いたということで書類送検されました。これで寺田会長は引責辞任をしましたが、この事件は裏の事情が少し複雑です。
というのは、その少女は芸能事務所所属のタレントで、このタレントと関係を持ったことを「ネタ」にして、その事務所の社長が寺田会長から現金を脅し取っていたのです。
この社長も恐喝容疑で逮捕されたのですが、タレントと関係を持たせる段階から計算ずくだったとしたら、「壮大な美人局」に会長が引っかかってしまったのだと言えます。
■ゴミの不法投棄、労基法違反
その他の不祥事では、引っ越しのゴミを不法投棄したり、長時間労働で労基法に違反したとして告発される、ということがありました。
不法投棄は客から指示を受けた家財道具を不法投棄したというもので、アルバイトなどではなく、社員さんが実行していました。
労基法違反については、本来月45時間までの残業しかさせてはいけないところ、最大で179時間という、ルールを遥かに超える残業を命じたとして問題になりました。
アート引越センターの歴史は以上のようなものです。
詳しくはWikipediaも参照してみてください。↓
(Wikipedia「アートコーポレーション」)
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