引っ越し業者はどんな荷物もすべて運んでくれるわけではありません。
プロの業者といえども運搬が困難な荷物もありますので、業者によっては運送を拒否されることがあります。
国土交通省では、トラブルを防止するために「標準引越運送約款」というものを取り決めしています。
実はこの標準引越運送約款の中で、引っ越し業者が「運送を拒否することのできるもの」を定めているのです
「運送を拒否することのできる荷物」は、各引越し業者によってそれぞれ対応が異なり、運んでくれる業者もあれば、くれない業者もあります。
見積もりの段階で、お互いにすべての荷物を確認しておくと良いでしょう。
よくトラブルになるのが「動物」と「植物」
一番のトラブルの元になる荷物が、いわゆる動物です。
犬や猫も引越し業者が運んでくれるものと思っていたら拒否されてしまった、というケースはしばしばあります。
遠方への引っ越しなどで、人がホテルに泊まる必要がある場合などには、犬猫同伴では宿泊できないので困ってしまうことがあるかも知れません。
近距離であれば犬猫や鳥などの場合には、カゴに入れて自分たちと一緒に運ぶことも可能なので、マイカーなどを利用してなんとか自分たちで解決できる場合もあるでしょう。
しかし、意外にやっかいなのは、金魚や熱帯魚です。
水槽をそのままは移動することは困難です。
魚を酸素の入ったビニール袋等に入れ、保温などをして水槽とは別に運ばなければなりません。
移動の際に魚が死んでしまうリスクも高く、多くの引っ越し業者が拒否をします。
生物については「標準引越運送約款」で「拒否できるもの」となっているため、業者は堂々と拒否をすることができます。
移送中に弱ったり亡くなってしまったりした場合に、大きなトラブルに発展するリスクがあるためです。
大切な生き物を飼っている場合には、見積もりの際に引越し業者と十分打ち合わせをしておきましょう。
どうしても引き受け手がない場合には、ペット搬送の専門業者に依頼して、ペットだけを個別に移動させてもらうしかありません。
尚、植物についても「運べない」と拒否されるケースが多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
万が一枯れてしまった場合、トラブルになる可能性があるからです。
ペットの引っ越しについて詳しく解説・・・左記のページも参考にしてください。
危険物・高額な物・ピアノ・骨董品などなど
現金や有価証券、貴金属・宝石類、絵画や骨とう品などの高額なものや、火薬や灯油・ガソリンなどの危険物、不潔なものも拒否される可能性があります。
現金や貴金属類は紛失した場合に責任を負いにくいため、業者にとってはなるべく引き受けたくない荷物です。
携帯することのできる貴重品は、できる限り他の荷物とは分けて自分で運ぶ方向で検討した方が良いでしょう。
絵画や骨董は汚損や劣化のリスクもあるため、特別な管理をして運ばなければなりません。
そのためプロの引越し業者といえども、一般の荷物と一緒に運ぶのは難しいと言えます。
大切なものであれば、扱いに慣れた専門業者に任せるべきでしょう。
ピアノも非常に重量がありデリケートな楽器ということで、運送にあたって特別なノウハウが必要な荷物となります。
引越し業者によっては、拒否されるケースも多いでしょう。
その場合は、他の荷物とは別便で、ピアノ専門の業者に任せる以外にありません。
また、一般家庭で使われていることはあまりありませんが、コピー・プリントの大型複合機なども、慎重に移送しなければならない電子機器です。
こういった機器はとても高価ですし、移送中に不具合が生じても外見的にはわかりにくいので、どの時点で壊れたのが証明するのが困難なためトラブルのもとになります。
そのため、引越し業者によっては扱いを拒否してくるでしょう。
火薬などの危険物や不潔な荷物は、やはり拒否されるケースが多いです。
一般の荷物とは別に運ぶ方法を別途検討すべきでしょう。
運送条件を定めた標準引越運送約款とは?
国土交通省が定めた引っ越しのための約款で、第三章で、引き受けを拒絶できるものを定めています。
引越し業者が拒否できるものは、現金や宝石などの貴重品と、動植物や美術品などの特殊な管理を要するもの、火薬類など他の荷物に損害を及ぼすリスクのあるものとなっています。
この約款にしたがって引っ越し業者は荷物の運送を行ないますので、問題となる荷物はどこの会社でも同じです。
その中で、受けるか受けないかは、それぞれの業者ごとの判断ということになります。
大手の引越し業者の場合には、移送が難しい荷物の場合には、提携している専門業者に橋渡をしてくれるケースもあります。
自分で専門の業者を探すのは大変なので、そういった橋渡しをしてもらえると引越しを依頼する側としてはとても助かります。