引っ越しの時に敷金返還でトラブルを起こすケースが少なからずあります。借主にすれば、敷金返還は当然だと考えている人が多く、貸主にすれば返すことの出来ない理由があるわけです。
いずれにしても、これから新生活をスタートするというときに、無用のトラブルは未然に防ぎたいものですね。ここでは、引っ越しの際の敷金返還トラブルを防ぐためのアドバイスを書いてみたいと思います。
敷金と礼金の違いは?
お部屋を借りる際に必要になるのは家賃だけではありません。それ以外にも敷金や礼金といったものを払っているはずです。一般的にはそれぞれ2か月ずつくらい払ってお部屋を借りているはずです。礼金に関しては「お部屋を借りたお礼、感謝の気持ち」というものです。
つまり礼金に関しては決して返還の対象となるお金ではありません。これは戦後間もないころから始まった日本独特の風習で、海外にはないそうです。
敷金は家賃の滞納時の補償金的な意味合いや、転居後に行われる修繕・クリーニング代に利用されます。しかし、ほとんどの場合は全額それらに利用されるわけではありませんので、残りの敷金は返還されます。大家さんにとっては他人に部屋を貸すというのは多少なりとも不安があるものです。
最初はとても人柄はよく誠実そうに見えたような人でも、いざ部屋を貸してみると気性が荒く壁に穴を空けるというようなことも、なきにもあらずです。
また、仕事を失って家賃を滞納されることもあり得るでしょう。そういったときに保険として利用されるのが敷金になります。大家さんと部屋を借りる人の「信用の証」がそこにはあるわけですね。
敷金返還のトラブルもあり得る
信用の証である敷金ですが、その返還に関して近年トラブルが増えてきています。というのも「敷金を返還してもらえなかった」「返ってきたがわずかだった」と訴える人が増えてきているためです。本来であれば、敷金はほぼ全額返還されるのが普通です。
ただ慣習として「クリーニング代」などがそこから出されるという考え方があって、全額丸々返還されることは稀なケースと言えます。ほとんどの人はそれに渋々納得しますが、中にはそうでない人もいます。
敷金返還トラブルにはいろいろなケースが考えられますが、大きく分けて「大家側に問題があるケース」と「入居者側の問題」の二つがあります。どちらかが不満を感じ、爆発してしまうと敷金返還トラブルへと発展してしまうわけです。
揉め事を回避するためのポイント
トラブルを少しでも回避するためには事前にある程度、取り決めをしておくことが大切です。大家の負担か入居者の負担かをケース別に理解しておくことが必要です。一般的にどんな契約書でも「どちらが負担すべきか」については書かれています。
注目したいのが、退去時は原状回復が義務づけられているという点です。一見「入居前の綺麗な状態に戻す」と思ってしまいますがそんなことはありません。普段の生活で当たり前のように起こる劣化、汚れやキズに関しては大家さん側で負担し回復させるのが原則となっています。
なので少しくらい壁にキズがあったり、畳が擦れてしまっていたとしても敷金は返還されるのが当たり前というわけです。もちろん、引っ越し業者によってキズつけられた場合も入居者に非はありません。もし引っ越しで破損があった場合は速やかに業者に対応させるようにしましょう。
証拠をしっかりとっておこう
しかしどこまでが「生活による劣化か」というのは判断の難しいところです。元々汚れていた部分なのに、立ち合いで「こんなに汚して!」なんて言いがかりをつけられて敷金が減らされるなんてことはあります。そういったことを未然に防ぐためにはまず入居したらすべての部屋の写真を撮っておくことをオススメします。
特に目立つ汚れや傷は事前に証拠として撮っておきましょう。もし立ち合い時に大家さんから「この汚れは・・・?」と聞かれても写真を見せれば納得してくれるはずです。面倒なことかもしれませんが、ちょっとの手間で数万円もの敷金が返還になると考えたら、絶対にやっておくべきです。なので、ぜひ入居時には部屋の状態をしっかりチェックをしておきましょう。
掃除をすることも回避につながる
引っ越し後に掃除などをしておくと、大家さんの心象も多少良くなります。経年による劣化は仕方ないとして、「綺麗に使ってくれたんだな」と思ってくれれば敷金多めに返還してあげようと思うのが人情というものです。退去時は、なるべく丁寧に心をこめて掃除をしましょう。
また引っ越し業者が掃除をしてくれるサービスもあります。玄関先など簡単なものから、床拭きやその他の掃除も引き受けてくれる場合もあります。お願いできる場合は頼んでしまって、少しでも敷金返還の足しにしましょう。