イタリア人はパスタが大好きなイメージですがお米も大好きです!
イタリアでは、お米もむかしからよく食べられてきたことはご存知でしたか?
日本でもおなじみのリゾットだけではなく、サラダ風にして冷やして食べることもあります。
パスタと比べて手間を省きやすい米料理は、共働きの多い忙しい家庭で、とてもよく食べられています。インスタントにも加工しやすく、忙しいときほど理想的な食材だというわけです。
この国の米食事情をみていると、イタリア人もスローフードを忘れたかと思うこともあります。とはいえさすがにグルメの国だけあって、食材には独自のこだわりもちゃんとあるのです。
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イタリア語では、お米は「リーゾ riso」といいます。現代イタリアのリーゾ文化をご紹介します。
インスタントも登場したリゾット
一番有名なイタリアのリーゾの料理といえばリゾットでしょう。これは、炒めた米をブイヨンで煮込む料理の総称です。具や調味料を変えることで、何十種類ものリゾットにアレンジできます。
リゾットは地方色も豊かです。気温の低い北部ではチーズやバターをたっぷりと加えてコクを出しますし、南部へ行くとオリーブオイルや魚介を使う利リゾットが増えてきます。
手間をかけて作られた伝統食リゾットは、どの地方のものであっても格別のおいしさです。ただ若いイタリア人のお母さんたちは、料理にあまり時間をかけなくなってきました。
共働きや母子家庭は増える一方ですし、家での料理の手間をはぶく傾向はますます進むはずです。
料理が苦手な人のために、熱湯にいれるとわずか数分で完成するインスタントのリゾットが最近販売されました。スローフードを愛する国だというのに、時代の流れというべきか、この即席リゾットはイタリアの若者にはなかなか好評です。
スーパーへいけば、こういった商品が何種類も売られています。
こちらの味は手作りにはとてもかないません。ただ、忙しくてもリゾットを食べたいという気持ちだけは、インスタントでも十分感じることができます。
シンプル化していく「リーゾ・サラダ」
夏を代表する料理として、お米のサラダもあります。細かく刻んだ野菜とご飯を混ぜて、オリーブオイルと塩胡椒で味つけするシンプルメニューです。イタリアでは珍しく、これは冷蔵庫で冷やしてから食べます。
ほかほかのパスタを食べる気にもならない暑い夏、どこの家でもこれはとても重宝される一品です。
レシピも簡単です。準備といえば、リーゾを茹でることと、野菜を刻むことだけ。唯一面倒なのは、たくさんの野菜をすべて細かく切らなければいけないことでしょうか。
パプリカ、オリーブ、タマネギ、ズッキーニをすべてみじん切りにしなければいけません。みじん切りといってもこの場合は粗い切り方で十分なので、日本人には短時間で問題なくできます。
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細かい作業が嫌いなイタリア人にとっては、これでも立派な重労働だと感じられるようです。野菜を刻みたくない人のために、電動のみじん切り器がこの国では急速に普及しました。
これで、野菜下ごしらえの時間は大幅短縮できます。作り置きのできるリーゾ・サラダは、本来は忙しい家庭の優良メニューです。
みじん切り器が普及したおかげで、この料理が今のイタリア人家庭でここまで愛されるようになったのだと思います。
さらに手抜きをしたい人のために、刻んだ野菜をオリーブオイルに浸けた製品も販売されていました。
リーゾのサラダ専用の製品なので、野菜の歯ごたえも丁度よく調節されています。これを使えば、茹でたリーゾと和えるだけで5分もかからずに料理が完成です。
手早く、安く、おいしくを求めるイタリア人にとって、お米サラダは今や理想的なメニューだといえます。
香りの強いお米を愛する人たち
調理プロセスはどんどん簡略化されているのに、リーゾの素材へのイタリア人のこだわりはむしろ強くなってきています。数年前までは小さかったリーゾ売場が、最近ではどこのスーパーでも拡大されました。
とくに販売スペースが大きくなったのが「香り米」と呼ばれる高級米コーナーです。その名の通り強い香りが特徴で、これはいくら洗っても茹でても匂いが消えません。
これをリゾットにして食べると、とてもくせのある匂いが口の中に残ります。最近の一番人気は、香りの強い黒米です。
日本でも健康にいいということで黒い食材がブームになったことがありました。この国の人は健康効果にはあまり関心がなく、この食材の豊かな香りとめずらしい色が好きなようです。
とくにサラダにすれば最高だというのですが、匂いが強すぎて、日本人だと食べにくいと感じるでしょう。
もともとイタリア人は香りの強い食べ物が大好きです。どんな料理あっても調理前にお米を洗わないのは、ヌカの匂いが残るくらいがおいしいと考えているからです。
標準米のヌカの匂いくらいなら、コショウで十分に消すことができますが、香り米だとそうはいきません。
最高のリゾットを食べさせてあげると、イタリア人からもしもいわれたら要注意です。同じ米食文化をもつとはいっても、イタリア人の求める最高のリーゾは日本人の好みとは大きく違っているのですから。
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