
自動車保険の特約にはいろいろなものがありますが、本当に必要かどうかの判断は案外難しいものです。保険料が安くなるような直接的なメリットがあればすぐに考慮できるのですが、それ以外の特約は頭を悩ませ、保険決定を滞らせる原因ともなります。
なかでもつけるべきか悩ましいもののひとつが、弁護士費用等補償特約でしょう。保険料を高くしてわざわざつけるべきものなのか、その答えをズバリお教えいたします。
意外と多い「もらい事故」
車でのトラブルはいろいろとありますが、なかでも意外と多いのが「もらい事故」です。たとえば、信号待ちの停車中に後ろから追突されるといった「オカマを掘られた」というケースはけっこう耳にすることがあるでしょう。
統計では相手がいる自動車事故のうちおよそ3分の1はもらい事故だとされています。年間で200万人以上が相手方の責任によるトラブルに巻き込まれてしまっているのです。
示談交渉をしてもらえない!?
「もらい事故でも保険に入っているから大丈夫」と思われるかもしれませんが、実はもらい事故の場合、自動車保険会社は示談交渉に入ってくることができません。こちら側が過失ゼロの場合に仲介してしまうと「非弁行為」として弁護士法違反になってしまうためです。
とはいえ、相手方は保険会社が代理人として交渉をしてくる形になります。つまり構図的には被害者である自分は素人である個人で対応することになり、加害者である相手はプロの交渉人がでてくるというなんとも不利な状況になってしまうのです。
当然、保険会社としては「少しでも支払う保険料を減らしたい」と考えています。契約者である加害者を優先し、被害者であるこちらが不利になるような条件で話を進めようとしてくるわけです。
交渉はプロに任せてしまうのが吉
被害者なのに損をして、知識がないために泣き寝入りするしかない。こんな状況はとても耐えられたものではありません。「こちらもプロの人を雇いたい」そう思うのが筋ですよね。そんな理不尽な状況を打破してくれるのが弁護士費用等補償特約です。
もらい事故などのゼロ過失時において、弁護士費用を負担してくれるという特約になります。弁護士ならば法の専門家ですし、場慣れもしていますから交渉ごとを丸々お任せしてしまえますよね。
とはいえ、相手も保険会社としてプロの仕事をしてきます。時には納得のいかないような交渉を進めてくることもあるでしょう。そうした場合は訴訟を起こすことも可能です。個人での対応ではそこまでできないものですが、弁護士がいれば「出るとこに出れる」という強みがでてきます。
相手方の保険会社としては「裁判までもつれ込む」というのは避けたいものです。大抵、和解交渉で済むようになるでしょう。
最大300万円まで負担してくれる
もちろん、弁護士費用等補償特約をつけていなくても、弁護士を立てることは可能です。「ならばつけてもつけなくても同じじゃないか」というのは早計です。交通事故における損害賠償請求をしようとすると、弁護士事務所にもよりますが、だいたい100万円前後のお金がかかります。
それ以上とれれば問題ないといえばそうかもしれませんが、どうせなら弁護士費用分ももらいたいですよね。弁護士費用等補償特約ならほとんどの自動車保険で限度額300万円まで負担してくれるので相談料、着手金、弁護士報酬、訴訟までいったときの費用まで充分まかなうことが可能になります。
たった数千円でもらい事故の不安を解消できる
かなり良い内容の補償特約なので「つけると保険料が一気に高くなりそう」と思うかもしれませんが、実際はそんなことありません。会社によって違いますが、ほとんどの場合は基本の自動車保険料に数千円上乗せした程度で付帯させることができます。たった数千円でもらい事故の不安が解消できるというのはかなりお得です。
全ての事故のうち30%をカバーし補償してくれる弁護士費用等補償特約。過失ゼロなのに、損をしたり泣き寝入りをしたりすることがないようにするためにも、つけておいて決して損はないものといえます。よほどのことが無い限りは迷わず付帯させておきましょう。
この記事へのコメントはありません。