
自動車保険はノンフリート等級制度によって保険料が決まる仕組みになっています。普通は、初めて自動車保険に加入すると、「6等級」からスタートし、事故を起こさなければ翌年には「7等級」にランクアップし、掛け金が1割ほど安くなります。事故がなければ、毎年1等級ずつランクアップし、料金はどんどん安くなる仕組みです。
ノンフリート等級制度によるランクは20等級まであり、最高で6割程度の割引が受けられますが、逆に事故を起こせば等級は下がります。最低ランクは「1等級」で会社によって異なりますが6割前後の割増料金となってしまいます。1等級と20等級とでは料金に数倍の開きが出るわけです。
ここでは自動車保険に加入する前に知っておきたい、ノンフリート等級制度について詳しく解説いたします。
事故を起こしたときの取扱い3パターン
ノンフリート等級制度では、事故を起こして保険金を請求すると必ず等級がダウンするわけではありません。3等級ダウンする場合、1等級ダウンで済む場合、事故としてカウントされず翌年は通常通り1等級アップする場合の3パターンがあります。
3等級ダウンとなる、一つめは、人身事故で相手を死傷させ対人賠償の保険金支払いが生じた場合。二つめは、対物事故で相手のものを壊し保険金支払いが生じた場合。三つめは、自分自身の車が損壊し車両保険の支払いが生じた場合です。この場合には、3等級ダウンし、かつ3年間は「事故あり等級」の適用を受けます。
1等級ダウンで済むのは、車両保険の請求事故のうち、車の盗難、落書き、火災、爆発、水害、窓ガラスのみの破損などです。
事故としてカウントされない「ノーカウント事故」となる、一つめは、人身傷害保険、搭乗者傷害保険などの搭乗者のケガ。二つめは、ファミリーバイク特約により担保される原付事故。三つめは、ファミリー傷害特約により担保される家族の入院や通院の請求です。ノーカウント事故の場合、事故として扱われないため、翌年は「事故なし」として1等級アップします。
1等級ダウン事故とは?
1等級ダウン事故についてもう少し説明を加えます。これは契約者にとって不可避の事故のケースです。「火災、爆発」「台風、竜巻、洪水、高潮」「落書き、いたずら」「窓ガラスの破損」「飛来・落下した物との衝突」「騒じょう、労働争議に伴う破壊」「偶然の事故によって生じた損害」となっています。
損害額が大きくても1等級ダウンで済みますが、事故ありの等級が適用されるため割引率は大きくダウンします。事故がなければ本来なら1等級アップするわけですので、窓ガラスの破損など修理代があまりかからない事故で保険を使うと、むしろ得にならないケースもあり得ます。少額の損害の場合には、よく計算してから請求するとよいでしょう。
3年間割引率に大きな違いが出る
以前のノンフリート等級制度では一つの等級には一つの割引率となっていましたが、2013年の料率改定によって2つに別れました。等級ごとの割引率は会社によって異なりますが、7等級の場合で10%程度、8等級以上ではで20%程度の差がつけられています。
仮に事故前の保険料が5~6万円だった場合、事故をした場合としなかった場合とでは、翌年から毎年2~3万円程度の料金の差が出てしまうことになります。
これが3年間続きます。修理代よりも掛け金のアップの方が大きいというケースもあり得ますので、気を付けてください。事故を起こした際には、損保会社に等級ダウン事故になるのかどうかも確認するとよいでしょう。
保険金が支払われなければ、事故としてカウントされません
ノンフリート等級制度において、「事故」としてカウントされるのは、実際に保険金が支払われた場合です。かりに自動車事故を起こしても、小損害だからと請求しなかった場合には事故とはカウントされません。
また、事故を起こして損保会社に通知をしたのち、結果として過失割合が100対0となったり、自分に過失がなくなった場合にも保険金の支払いがありません。その場合も事故にはカウントされません。
自動車保険は、事故を起して保険金を請求すると翌年からの料金に大きな影響がでます。ノンフリート等級制度についてよく知っておくと同時に、事故を起こさないように運転にはくれぐれも注意しましょう。
無事故の場合、保険料はどうなるのか、こちらもご参考にどうぞ。
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