
事情があって、車に乗らなくなったけれど、また何年かしたら乗るつもりだ、というような場合、自動車保険の等級を捨ててしまうのは、もったいない話です。
長年、無事故で過ごし「15等級」「20等級」などの高い割引率にまでなったのに、自動車に乗らなくなって保険を解約したり更新しなかったりすれば、せっかくの等級は消えてしまいます。
数年後に車を買って保険に加入しようとすれば、また「6等級」から始めなければなりません。以前に比べると倍の保険料を払わざるを得なくなります。このような「もったいない」ケースの回避策として、ノンフリート等級をしばらくとっておける「中断制度」があります。とても便利な仕組みですので、覚えておいてください。
どんな場合に利用できるのか?
「中断制度」を便利に使えるのは例えば次のような場合です。最長で10年間は「中断」できます。
・転勤などによって、駐車スペースのない場所に暮らすことになり一時的に自動車を手放したが、いずれ別の場所に暮らすことになったときには、また乗るつもりだ。
・海外留学することになり、2年間は外国で暮らすので自動車が不要になった。帰国後はまた乗るつもりだ。
・海外の支店に異動になり長期間日本を離れることになったが、いずれ国内勤務に戻されたときには、自動車に乗りたい。
・高齢になり自動車を運転しなくなったが、数年後には息子が免許をとって車に乗るようになるので、また自動車保険が必要になる。
こちらもご参考にどうぞ「家族同士で自動車保険の等級を引き継ぐことはできるのでしょうか?」
利用できる条件とは
「中断制度」を利用できるのは、車を手放したり登録抹消をしたりするケースです。利用に際しては保険会社に「中断証明書」の発行を申請しなければなりません。証明書発行の条件は会社によって異なりますが、だいたい以下のいずれかを満たしていなければなりません。
・解約日もしくは満期日までに、自動車が廃車・譲渡などの手続きがなされていること
・解約日・満期日までに車検証の有効期限が切れ、継続していないこと
・解約日・満期日までに、一時的に抹消登録していること。
なお、対象となるのは、中断後の契約が7等級以上となるものです。1等級や2等級など、割り増しとなる契約は、中断して継続することが得にはなりませんので対象外です。
手続きは、満期から13か月以内であればできますので、万が一忘れてしまった場合でも安心です。
再度加入する際に等級を引き継ぐための条件
中断した後、新たに自動車保険に加入する際には、以下の条件を満たしていれば、もとの等級を使うことができます。
・中断日から10年以内の契約開始であること。
・海外渡航による中断の場合は、出国の日から10年以内で、かつ帰国日から1年以内であること。
・新たに車を取得してから1年以内に加入すること。
・中断期間の前と後とで、保険契約者・被保険者が同一であること。(配偶者、同居の親族の場合は、「同一」とみなします)
・中断期間の前と後とで、車の用途・車種区分がおなじであること。
以上の条件を満たしている場合には、保険会社に、中断前の自動車保険の「中断証明書」と、新しく取得した自動車の車検証の写しなどを提出すれば、等級を継承することができます。
手続きや条件は、ややこしい部分がありますので、実際に中断制度を利用する場合には、保険会社や代理店に相談してください。廃車手続き、登録抹消など普通の方には馴染みのない手続きが含まれますので、難しく感じられますが、決して難しい手続きではありません。複雑に考える必要はありませんので、気楽に利用しましょう。
長年安全運転をして手にした「等級」を捨ててしまうのはもったいないです。いずれは自動車保険が必要になる可能性があるのであれば、そのままにしないで「中断制度」を利用しましょう。
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