実際にあった高額賠償の事例~任意保険には必ず入りましょう

クルマを運転するうえにおいて、任意保険は入っても入らなくてもよいものです。自動車共済なども含めた任意保険の加入率は85%ほどといわれています。およそ15%程度の人が何も保険に加入しないまま車を運転していることになります。

自動車保険に入らない理由としては、経済的なものが大きいのでしょうけれど、万が一事故を起こしてしまった際には払った掛け金などとは比較にならないほどの賠償金の支払い義務が発生します。賠償しなければならない金額は何千万円どころか、何億円もの高額賠償となるケースすらあります。一生かけても支払いきれないほどの額になるのです。

事故を起こせば被害者とその遺族や家族、自分自身と自分の家族が苦しまなければならなくなります。経済的な問題の解決策を持たないで車を運転するのはとても危険な行為だといえるでしょう。過去の事例には3億円を越えるような高額賠償の支払い事例もあります。自分の身を守るためにも任意保険にはぜひ加入しましょう。

最近の人身事故の判例を見てみましょう

死亡事故を起こした場合には、相手の逸失利益や慰謝料などを合計した賠償金を支払わなければなりません。どんな車も「自賠責保険」には加入しているため、死亡事故なら3000万円までは支払われます。それを超えた部分は加害者が自分で責任を負わなければなりません。

一般的には死亡事故の場合でも裁判で争われることはあまりなく、保険会社や弁護士が間に入った当事者間の示談で賠償額が決められることが多いです。重い障害が残ったり、被害者が高所得者だったりする場合など特殊なケースでは裁判で決着がつけられることがあります。

2000年以降、裁判での争いとなり判決が出た事例のうち、高額賠償となったものには以下のような例があります。
・3億8281万円 : 29才男性会社員 後遺障害 (判決日:2005年5月17日)
・3億7886万円 : 23才男性会社員 後遺障害 (判決日:2007年4月10日)
・3億6750万円 : 38才男性医師 死亡 (判決日:2006年6月21日)
・3億5978万円 : 25才男性大学勤務 後遺障害 (判決日:2004年6月29日)
・3億5332万円 : 37才男性アルバイト 後遺障害 (判決日:2006年9月27日)

死亡よりも後遺障害の方が高額になりがちです

賠償金額は、被害者の年齢や職業、家族構成などによって変わりますが、死亡事故よりも後遺障害の方が、おおきくなりがちです。

死亡事故の場合には、亡くなられた方が生きていたら得られたはずの利益(収入)をベースとした「逸失利益」と、その方の遺族の悲しみを癒(いや)す「慰謝料」の合計が賠償金となります。

重度の後遺障害が残った場合には、「逸失利益」などに加えて、一生涯の治療費や精神的・肉体的苦痛に対する慰謝料が加わります。両目失明、両腕喪失、両足喪失、言語機能の喪失などに対する補償はとても高額になります。

もし自動車保険に加入していなければ、こうした高額な賠償金をすべて自分と自分の家族でまかなわなければなりません。一生働いてもなかなか返せる金額ではありません。

物損事故でも予想外の高額となるケースはしばしばあります

高額賠償となるのは、人身事故だけとは限りません。物損事故でも億単位の賠償金となった判例もあります。

1994年にはトラックが別のトラックに追突し、相手の車を炎上させてしまう事故がありました。被害にあったトラックの積み荷は毛皮や高級婦人服などの高額な商品ばかり。神戸地裁が出した判決は、1億2037万円となりました。

1980年には、大型貨物車両が踏切に進入、電車と衝突するという事故で高額賠償が発生しています。電車の廃車・修理費用、復旧のための人件費などで1億2037万円の賠償額となりました。

その他にも、パチンコ店に突っ込み1億3580万円の賠償など、商品や営業利益を補償しなければならなくなる事故で高額賠償となる判例がでています。

事故は自分だけが気を付けていれば防げるものではありません。不可抗力的にも起こり得るものです。万が一の高額賠償に備えて、自動車保険に入っておくことが大切です。

「車の保険に加入するときに準備すべき必要書類は?」で詳しく解説しています。

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