車両保険の免責金額の仕組みについて知っておきましょう

自動車保険の車両保険に加入するときに、気を付けなければならないことのひとつが、「免責金額」というものです。「0-0」(免責なし)とか「5-10」だとかの種類を見ても、何のことだかわからないという人は少なくないでしょう。そこで、この免責金額について、ご案内します。

「0-0」「5-10」「10-10」などの意味は?

車両保険ではひとつの保険期間内で1回目の事故と2回目以降の事故を分けています。「0-0」であれば1回目も2回目以降も免責金額は0ですが、「5-10」であれば、1回目の免責は5万円、2回目以降は10万円となります。「10-10」なら、1回目も2回目以降も10万円です。

どんな仕組み?

「免責」ということばから推測できる通り、車両保険を使ったときに損保会社が「免責」とする金額です。例えば、100万円の補償金額で車両保険に加入している車が、自損事故を起こして修理代が50万円かかったとします。

仮に、免責「0-0」で加入している場合には、50万円の修理代全額が支払われますが、「5-10」で加入している場合なら、1回目の事故であれば50-5=45万円の支払いとなります。2回目の事故なら、50-10=40万円の支払いです。もし、「10-10」で契約していれば、1回目も2回目以降も50-10=40万円となります。

なお、修理代が4万円だった場合には、[0-0」なら4万円支払われますが、「5-10」「10-10」の場合には、修理代が免責金額を下回るため、保険金の支払いはありません。

全損事故の場合を見てみましょう

「免責」は常に差し引かれるものではありません。自動車の事故には、車の一部だけが壊れて修理すれば乗れるようになる「分損」と、修理が不可能な「全損」とがあります。「全損」事故の場合には、免責を引かずに、保険金額全額が支払われます。

なお、「全損」は必ずしも修理ができないときだけではなく、修理をすると車両保険の補償金額よりも高くなるケースも含みます。例えば補償金額100万円で加入している自動車が事故にあい、その修理代を見積もってみると130万円になるというようなケースは「全損扱い」となり、保険金額全額が支払われます。

相手がいる事故の場合、適用されない場合があります

自動車事故の多くは、自動車同士のものです。相手がある事故によって車が破損した場合、「過失割合」が問われます。事故はどちらか一方がすべて悪いというケースは少なく、お互いにある程度の過失を負うことが多いものです。

例えば、両者が同じ程度悪いと判断されれば「50対50」の過失割合となり、こちら側が30%悪いということになれば、「30対70」の割合となります。

過失割合があり、相手から損害額の一定割合が支払われる場合には、「免責金額」が差し引かれないことになります。

例えば、修理代が50万円かかり、過失割合が50対50の場合、相手から25万円を支払ってもらい、自分も25万円負担することになります。自己負担分の25万円を車両保険から支払う場合には「免責」は差し引かれません。相手からの賠償金は免責金額に充当されるのです。

ただし、たとえば損害額が20万円で、こちらの過失割合が70%あるときには相手からの賠償金は20万円×30%で6万円になります。もし、加入しているのが免責金額「10-10」の場合なら、10-6=4万円は自己負担しなければならなくなります。

設定次第で保険料にも差が出る

「免責」は小さな事故での支払いをなくして、自動車保険料を安くする仕組みとも言えます。どの程度料金の差が出るのかは、損保会社によって異なります。ざっくりとした比較ですが、「0-0」「0-10」「10-10」と免責がアップするごとに、保険料は1割程度安くなります。

たとえば「0-0」の車両保険料が10万円だった場合、「0-10」なら9万円、「10-10」なら8万円程度です。等級が低いときや車両保険金額が大きいときには、保険料が高額となりますので、免責金額の設定次第でかなり保険料が安くなることになります。

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