カンボジアで詐欺に遭って10万円の金品を奪われました(涙)
私は2014年の3月にカンボジアのプノンペンで、詐欺被害に遭いました(笑)
現金6万円と、3万5000円の一眼レフを奪われたので、合計約10万円の被害です。
同じような被害に遭う方が減るよう、私がどんな手口で騙されたのかを詳しく紹介します。
(写真はプノンペンの街角で撮影したもので、イメージです)
まずは流れを簡単に説明
流れを箇条書きで説明すると、
・タイ人女性に話しかけられる(カンボジアだけどタイ人)
・その人の家に遊びに行く
・その人の「叔父さん」が迎えてくれる
・叔父さんは「豪華客船で客のトランプゲームの相手をするディーラー」と名乗る
・そして、ブラックジャックの手ほどきをしてくれる
スポンサーリンク
…ここまでは普通なのです。雲行きが怪しくなるのはここからです。
(怪しいというのも後から気づいたのですが)
・叔父さんが「今から来客が来る」という
・その来客は「リー夫人」というシンガポールのお金持ち
・「嫌味な金持ちなので、ゲームで一泡吹かせたい」とおじさんが言う
・そして「協力してくれないか?」という
…で、ここからイカサマゲームの協力を頼まれます。
・「君がリー夫人と勝負して欲しい。大丈夫。絶対に勝てるように細工する」
・「リー夫人は毎回大金を賭けて、勝っても負けても屁とも思わない。40万くらいの負けなら何も感じない」
・「彼女と40万かけて勝負して、20万ずつ山分けしないか?」
…というものです。今こうして文章化すると、もう怪しいことこの上ないです(笑)。で、続き。
リー夫人とのご対面
打ち合わせが終わってしばらくすると、リー夫人が来ました。
そして、簡単に挨拶をすると、年齢を聞かれたので「29才」と答えました。
するとリー夫人は「ふーん。私の恋人は20才で、あなたと違ってイケメンで、筋肉もたくましいのよ」と言ってきました。
この演技は結構うまくて、今振り返っても本当に見下された感じでした。
それでカチンと来て「なるほど、叔父さんの言うとおり、確かにムカつく金持ちだな」とまんまと騙されました。
こうやって「共通の敵」を作ることで自分を信用させるというのは、ヒトラーがユダヤ人を使って行った、詐欺のテクニックの一つなのでしょう。
リー夫人をわざと勝たせて、調子に乗せる
まずはお互い小さな金額をかけて、自分が連続で勝たせてもらいました。
正確にはリー夫人もちょこちょこ勝っていたのですが、全体的には自分が勝っていました。
これで「なるほど、イカサマをすれば素人でも勝てるんだな」と安心しました。そして、ここから叔父さんと自分の「次の作戦」が始まります。
それは「リー夫人にわざと勝たせる」ということです。わざと勝たせて「今日は運がいい」と思わせ、大金勝負に持っていくということです。
そして、その勝負ではこっちが勝ちをもらう、というやり方です。
そうしてリー夫人が連続で勝つようになると、彼女は確かに調子に乗り始めました。
この時点で自分は、人を騙すことの快感に酔いしれていて、しかももうすぐ20万円という大金が入るということで、完全に浮かれていました。
「やっぱり、お金というのはお金を欲しがった人のところに突然転がり込んでくるもんなのだな」などと、考えていました。
本当に愚かなことです(笑)。
いよいよ、お互いに大金を掛け合うが…
リー夫人がいよいよ待望の一言を口にしました。「ねえ。男だったらもっと大きな勝負をしたくない?」というのです。
自分と叔父さんは「待ってました」とばかりに、大金勝負を受け入れました。
リー夫人はいきなり札束で40万円をかけてきました。札束といっても、100ドル札40枚なのでそんなに分厚くはないです。
しかし、逆にそこにリアリティがあり「へー。これが札束か」などと思ってしまいました。
恥ずかしながら、まだこのレベルの札束も見たことがなかったのです(笑)。
叔父さんはその札束を手に取ると「Oh!」といい、空に掲げて大げさにキスをしました。
そして、自分の目の前にも「ビッ!」とかざして見せてくれましたが、また嬉しそうに空に掲げて眺めていました。
その時は「へー。お客を盛り上げるためにこういう演出をするんだな」と思っていましたが、あれは自分に札束を触らせないためだったのです。
それを自分がてにすれば、偽物なのが簡単にバレてしまうからです。
なので、ごく自然に自分に渡さないように、ああいう仕草をしていたのでしょう。
40万を持っていない自分に、彼らがやらせたこと
自分は40万を持っていなかったので、まず手持ちの2万円を出しました。
次に「この銀行口座に6万円ある」といって、そのカードを見せました。
リー夫人は「話にならない」という顔をしましたが、叔父さんがフォローしてくれました。
「彼は安全のために、現金もメインの銀行カードも持ち歩いてない」
「でも、彼も彼の父親も金持ちだから、少し時間をくれれば40万は確保できるはずだ」と。
で、リー夫人がこう言いました。
「まあ、あなたが言うなら信じるわ。じゃあ、少し外出してくるから、その間に残りの32万円を用意しておいて」
「私が返ってくる3時までに、お金が用意できていなかったら、私にムダな時間を使わせたのだから、悪いけどこの8万円はもらうわ」
そして、叔父さんが「OK。それでいい」と言いました。
そこから「3時までに32万円を集める」という、自分と叔父さんのミッションが始まりました。
自信満々だった叔父さんが、突然うろたえ始める
自分がこんな危険な賭けに安心して乗っていたのは、おじさんが終始落ち着いていたからです。
しかし、リー夫人がいなくなってから、叔父さんは急にうろたえ始めました。
スポンサーリンク
「で、ミスター誠二。君は本当の所、あといくら持っているんだ?」
「ゼロ円?話にならない。まさかそんなに持っていないとは思ってなかった」
「日本人で君の年齢なら、数百万の貯金はあると聞いていたから…」…と、突然うろたえて、真っ青な顔をするのです。
「話が違う」と言いたいのはこっちの方でしたが、リー夫人と誓約書にサインまでしてしまったので仕方ありません。
叔父さんは「OK。私が今から方々に頼んで残り32万円集める。代わりに、君もこの8万円以上、できるだけ集めてくれ」と言いました。
そして「あ、そのカメラも念のため置いていってくれ。それだけで数万円足りなくても何とかなる。実際より高い値段のことにすればいい」とも。
そして、自分は最初のタイ人の女性と一緒に、ATMに6万円を下ろしに行きました。
女性がすっかり登場していませんでしたが、彼女は賭けの最中、ずっと流暢な日本語でガイドをしてくれ「大丈夫だからね」といつも満面の笑みで「励まして」くれていました。
彼女がいたから自分は安心して賭けに乗ることができていたのですが…。
見知らぬ場所で現金を引き下ろし、そのまま放置される
女性はわざと、思い切り遠い場所に自分を連れていきました。
(彼女の甥がバイクを運転し、3人乗りで行きました)
遠くに行く理由を彼女は、「この辺のATMは、カードが吸い込まれることがあるから」と言いました。
カンボジアではこれは事実なので、自分も納得しました。
そして、ATMでお金をおろして渡すと、「うん。確かにあるわ。じゃあ、これを今から叔父さんに届けてくるわね」
「あなたはそこのゲストハウスに入って待っていて。そして、1時になったらまた電話して」
ここで自分は初めて「何か変だぞ」と思いました。
それで「何で僕も行ってはいけないんですか?」と言いました。
彼女は「実は、叔父さんの家は、明日姪が結婚式なの。叔父さんの家は今その準備をしているから、他人は入れないのよ」
納得がいかなかったのですが、確かにこの結婚式の話は出会った時からしていたので、何となく信じるというか、押し切られてしまいました。
そして、「何かおかしい。でも、オバさんはいい人そうだし、自分を信じてくれてるのに、こっちが疑っては申し訳ない」などと思って、遠慮してしまいました。
そして、彼女と甥は「じゃあ、1時にまた電話してね」と言い残し、バイクで立ち去りました。
10分ほど考えて「これは完全に騙された」と気づきましたが、もう後の祭りでした。
「道を思い出しながら帰れば?」と思われるかも知れません。自分もそうしようとしました。
しかし、バイクに乗った時、自分は3人乗りの真ん中に挟まれ、オバさんから「危ないから、しっかり運転手のヘルメットを見ていてね。首を振ったり、ずらしたりしないで」と言われていたのです。
自分は単純に「確かに3人乗りは危ないもんな」と信じてそうしました。で、このせいで途中の道がまったく見えなかったのです。
自分が「完全に騙された」と気づいたのは、帰ろうとしてこれを思い出した時です。
被害を防ぐためにどうしたらいいのか?
長くなってしまいましたが、被害を防ぐ方法をまとめます。
・知らない外国人の家に絶対に上がらない
→それで友情を作るチャンスを逃しても、仕事など、確実な出会いで友情を生むチャンスはたくさんあります。
・賭博など、絶対に付き合わない
→日本でも外国でも、そもそも賭博などしないことです。
・日本語が流暢な外国人を信用しない
→今回の女性は本当に完璧な日本語を使っていましたが、こういう人はいわゆる「ハイリスク・ハイリターン」です。
いい出会いになる可能性もありますが、信じてしまうために、こういう被害に遭うこともあります。
とりあえず、自分のような旅の初心者は無視することをおすすめします。
・他人に自分のお金や財布を触らせない
→どんなきっかけにしても、他人に自分のお金や財布を触らせるということは、「心臓をむき出しにしている」ようなものだと思いましょう。
触らせた時点で、彼らがそれを奪う選択肢は一気に増えるのです。
相手が例え悪人でも、騙していいはずがない
上で書いたことはすべて一般論で、今回自分が一番学んだことは「たとえ相手が悪人でも、絶対に騙してはいけない」ということです。
今回の自分の失敗は「嫌味な金持ちだったら、別に騙してもかまわない」と思ってしまったことです。
もし自分の中にもっと絶対的な正義感があったら、たとえ詐欺の情報に無知でも、イカサマを持ちかけられた時にはっきり断れたはずです。
つまり、今回悪かったのは女性でも叔父さんでもなく、自分なのです。
「20万円のために、リー夫人を騙してもいい」と思った自分は、その時点ですでに詐欺師の一人だったのです。
詐欺師が詐欺師に騙されても、何も文句は言えません。なので、自分はこの件では、自分が120%悪かったとわかっています。
ただ、中には自分が悪役に回らない方法で騙されてしまった方もいるでしょう。
そのような方は、上のような一般論に注意していただければと思います。
■ まとめ
この件について、自分は彼らを恨んではいません。
「どんな時でも悪事を働いてはいけない」という言葉を、文字通り体で学ぶことができました。
(その後数日間、次のお給料日まで食べ物がなかったので)
カンボジアにいた2ヶ月間、自分の一番いい思い出はこれです。
これから先、目先の利益のためにせこい行動を取ろうとした時も、自分はこの思い出のおかげで少し踏みとどまれるでしょう。
自分のメインの収入源はWEBですが、GoogleはすべてのWEB管理者に向けて「悪事を働かなくても、お金は稼げます」と唱えています。
自分はもう、WEBで人を騙すような記事を書いたり、サイトを作ったりはしないようにします。
(これまでは随分してきました)
人に騙されるというのがどういう気持ちなのか、10万円の授業料で教えてもらえて、本当によかったと思っています。
なお、この「ブラックジャック詐欺」は、タイの詐欺師の常套手段だそうです。
自分は被害に遭ったあと、知る蔵の他のライターさんの記事で知りました。
後悔はまったくないですが、できるだけ多くの方に、こうした情報は共有していただきたいです。
興味がある方はぜひ読んでみてください。↓
タイの詐欺師は言葉巧みにあなたに近づきます~家で遊びませんか?
長文を読んでいただき、ありがとうございました!
スポンサーリンク
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (1)
未だにこれに引っかかる人がいるとは。僕もベトナムで同じ経験をしましたが、お金の話しになり、100円なら出していいけどそれ以上は嫌だ。無理。と言ったらあっさり返してくれて、結果おいしいお昼ご飯をただでごちそうしてくれただけでした。これは日本人の旅行者には良く知られた話ですが、白人は誰も知りません。騙されるのは日本人くらいだからです。