医療現場で使われる「隔離」と「逆隔離」という言葉の意味の違いは?
「隔離」という言葉を聞くと、あまりよいイメージを持たないかも知れませんが、医療現場ではとても大切な対応です。
またそれとは反対に、「逆隔離」という対応もあります。聞き慣れない言葉かも知れませんが、こちらも隔離と同様に大切な意味があります。今回は病院での例を挙げながらこれらの対応をご紹介していきたいと思います。
感染症が疑われる場合は別室へ隔離
まず隔離から説明しますと、主に感染の危険性を疑う場合に行われます。
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たとえば、熱が40℃あり、咳が止まらないくて呼吸が苦しく、全身に発赤や発疹が見られるといった症状がある場合は、感染力の強い病気が疑われ、すぐに隔離されるでしょう。
もちろん、このような所見以外も観察はしていきますが、まずは、診察前でも看護師などが症状を聞き、早い段階でほかの方に感染させないよう別室で待ってもらうなどの方法がとられます。
感染させられたら困る人を保護する逆隔離
一方で逆隔離という手段もあります。あまり聞き慣れない言葉かも知れませんが、簡単に説明すると、感染させられたら困る人を隔離するということです。
たとえば、小さな赤ちゃんや白血病の患者さんなど、免疫能力がきわめて低い状態にある方や、あるいは感染しやすいような状態にある方は逆隔離の対象となります。
また、抗がん剤を投与している患者さんは、その治療後にがん細胞だけではなく正常な免疫細胞も減少させてしまうため、外界からの感染に特に注意が必要です。よく耳にする無菌室というのは、逆隔離の代表的なものといえます。
換気システムにも工夫がされています
また病院の換気システムにも隔離と逆隔離ではまったく違う構造になっています。
隔離は感染している患者さんの菌やウィルスを外に出したくはないので、陰圧換気といって、天井や外壁から空気が抜ける仕組みになっています。
反対に逆隔離の場合は、菌やウィルスを寄せつけたくないので、専用の機械を用い、陽圧換気といって、圧を清潔域から不潔域に流すことを行います。
このように医療現場では、隔離と逆隔離は必要不可欠な手段であり、それらを状況に応じて使い分けることにより新たな感染から患者さんを守っています。
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