カスタマー・ユーザー・クライアントは全部お客様だけどその違いは?
和製英語に関しては「カタカナの新しい造語」日本語として肯定的にとらえられる場合もあれば、誤った言葉として否定的に語れる場合もあります。
WEB文化がこれだけ浸透してくると、造語ですら追いつかない時代になってきました。
外来語として正しいかどうか、よりもその言葉が使われるケースごとに分類してみると非常に面白いものが見えてきます。
特に客商売に限っただけでも実に多くの「カタカナ言葉」が使われます。あなたはその使い分け、わかりますか?
ビジネスにおける和製英語はどこまで曖昧なのでしょうか?
まずここでの「ビジネス」の定義を、「お金を払う側」と「受け取る側」というシンプルな切り口で話を進めていきましょう。
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必ずしもサービス業だけに限るものではありません。
この意味で言いますと、病院と患者の関係も含まれます。
さああなたも一緒に考えてください。
Q:お金を払って物を買ったり、サービスを受けたりする人に使われる「英語」のカタカナでの表現方法はいくつあるでしょう?
ざっと並べるだけでもこれだけの言葉がうかんできます。これらの言葉は和製英語ではなく、英語圏も普通に使われている言葉ばかりです。
きっとあなたも一度は耳にしている言葉ですが、その使い分けはできるでしょうか?
・カスタマー
・ユーザー
・クライアント
・ビジター
・ペイシェント
・コンシューマー
その中で一番難しいのがこのような「お客様」を表す言葉でしょう。
一般的な商品やサービスなどの取引の場合の使い方を見てみましょう
ビジネスがらみになってくると非常に複雑な使い分けが必要になってきます。
この場合一番多く使われるのはカスタマー、ユーザー、クライアントという3つの言葉でしょう。
場合によってはここにコンシューマーが加わります。
■クライアント:CLIENT
基本的には法人などの「取引先」を表す言葉として使用されることが多い表現です。
もちろんこれが個人に対して使用される場合もありますし、使用しても差支えはありません。
ただこの言葉そのものに「お客様」という意味がありますので、「クライアント様」という日本語はあまり正しい使い方ではありません。
特にアメリカでは、心療内科などの病院や心理カウセリングのクリニックなどでは、「患者」という言葉に対して過敏な反応を避ける配慮が行われています。
▲アメリカのサイトでも言葉の使い分けを説明しています
その場合は患者を意味する「ペイシェント」という言葉はあえて使わず、よりソフトな「クライアント」や「ゲスト」と呼ばれるのが日常的です。
■カスタマー:CUSTOMER
一般的に個人の消費者に対して使用される言葉です。
もともと「custom」には「習慣」という意味がありますので、習慣的にリピートして物を買ってくれたり、サービスを利用する方に対して使われる言葉です。
良く「カスタマー・サービス」という言葉は日本でも使われますね。
「顧客」という日本画が一番イメージしやすいかもしれません。
従ってクレジットカードなどの利用者は、カード会社からしてみれば「カスタマー」と呼ばれるわけです。
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不思議なことに我が国では、大切な個人のお客様(特にリピーター)に対しては「カスター様」とは言いませんよね?
どうせ「様」を付けるなら、こちらに付けたほうがまだ理解できますが。
■ユーザー:USER
さてこのあたりになると、日本の企業でも間違った使い方をしているところが少なくありません。
本来「物を使う」(use)するからユーザーなわけですね。
例えばマックPCを「物理的に」使っている方なら「マックユーザー」となるわけです。これは正しい使い方ですね。
ところがこの基本部分を勘違いして使っている業界があります。
それがなんと日本のアダルトビデオ業界なんです。
彼らはビデオやDVDを観てくれる人のことを「ユーザー」と呼んでいます。あきらかに間違った使い方ですね。
もちろんこのDVDを使って玉子が焼ける機能がついているなら、ユーザーでかまいませんが…
例えばテレビの視聴者のことを、決して「ユーザー」とは呼びませんよね。
「私はフジテレビのユーザーです!」という人はいないでしょう。
本来「観る人」ということで言えば英語なら「VIEWER」=VIEW(観る)と呼ばれます。良く動画の配信サイトなどで「PPV」という言葉が使われます。
1本ごとに課金されるシステムですがこれは「PAY PER VIEW」の略で「観た分だけ払ってね」という意味です。
ここでようやく「ペイ・パー・ビュー」で、ビューという英語が出てきました。こんな感じでサイトには表記されています。
ちょっと特殊な医療業界や金融業界
日本では病院やクリニックに行く人は全て「患者」=PATIENTと呼ばれます。やはりドクターという比較的権威的な職業に対しては、この呼び方が一般的なようです。
これは大きな病院から小さなクリニックまで、専門性にかかわらず「医者:患者」というスタンスは崩れないようです。
アメリカの事情は上記しましたが、日本でも療法を受ける側が唯一「クライアント」と呼ばれる業界があります。
それが心理カウンセリングや催眠療法など、「資格はあっても医療行為に属さない」療法の場合は一般的にクライアントと呼ばれます。
このあたりの線引きは微妙ですが、これはアメリカの習慣を受け継いでいるのかもしれません。
また最近では「銀行名」+コンシューマーサービス、のようなネーミングで以前の消費者金融はイメージチェンジを図っているようです。
本来コンシューマーは「消費者」という意味を持ちますので、アメリカではデパートで買い物をする人もこのように呼ばれるのが普通です。
どうしてもこれを日本語にすると「消費者」という言葉が入ってしまいますので、あえて避けているのかも知れませんね。
文・床田仁グッチ
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